農暦十二月初三。晴。まるでまだ秋のやうな雲。もう陽暦で大晦日だといふのに。早晩に中環に寄つたので今晩は新年のカウントダウンで発狂騒ぎとなる蘭桂坊を抜けてみる。すでに通行制限のための鉄柵が準備され警備の警官の数多。FCCも今晩のご乱痴気パーティの準備中。帰宅して自家製餃子。餃子は本当は夜中でも年明け、しかも春節なのだらうが。ふとベタな行為だが貝多芬の第九を聞く。それもカラヤン指揮の維納。何となく無性にスコアを追つて聞いてみたくなつたのだ。スコアもネットで気軽に下載できる時代。拍子、テンポ、調の変化だけも本当にスコアで追つてみると何て凄い曲だと改めて痛感。大学生のとき以来でオルテガ『大衆の反逆』をここ数日読んでゐた。読了。晋三のまやかしと国民の支持、英国のEU離脱、米国でトランプ当選と、こんな年にはやはりこの本で〆るにかぎる。饒舌な著作。最初の20頁くらゐ読めばほゞ内容はわかるのだが。20世紀の第二次世界大戦前に欧州で共産主義とファシズムと隣り合はせの時代に書かれた啓蒙書だが21世紀の今も全然色褪せず。我々の時代がすべての過去の時代よりも豊かであるといふ奇妙な自惚れ。古典的、規範的な時代を認めない。万物を支配してはゐるが(これはAIであるとか核や染色体など怖いところまできてゐるが)自己の支配者ではない。そして大衆の力をもつた動きが、それまで築きあげてきたはずの秩序をいつも簡単に崩壊させる……21世紀は異常はのではなくオルテガの懸念する時代と全く同じか。文明の諸原理を全く理解できぬ愚か者が社会の主導権を握る……嗚呼、まさに晋三然り、トランプ然り。過去の歴史から学びもしない。国家の権力の膨張はまるで生命をもつ有機体のやう。オルテガは当時さうした大衆と国家の怖さに対峙するなかで欧州の国家を超へる、国家の規範を凌駕する組織体が誕生することだけが世界の甦生とオルテガは語るのだが残念ながら、これだけはオルテガの時代から今日までに現実化して、そして、その限界がすでに見えてしまつたかのやう。ちょうど読了したころに遠い市街の方から人々の歓声が聞こえてくる。年が明けたやうだ。
▼ニュースキャスターは「乗客に日本人はいませんでした」と、けして「嬉しそうに」は言つてゐないだらう。あくまで身近に被害者はゐないやうだ、といふ安堵であつて。
▼毎日新聞社説:5年目の安倍政権「アベノミクス 的は外れツケが増えた(こちら)。
アベノミクス最大の罪は、重要な課題を先送りし、将来世代に回すツケを一段と膨らませたことだ。異次元緩和に出口は見えない。2017年度末の国と地方を合わせた長期債務は1094兆円となる見込みで、2012年度末から約160兆円増える。(略)せっかく働き方改革など構造問題に取り組んでも、同時に将来の不安が増大するツケ回しを続けていては効果は台無しだ。政策のコストは誰が負うのか。
@fookpaktsuen: Singapore casino at risk of Beijing crackdown over capital flight through potential misuse of UnionPay network -SCMP URL
- 作者: オルテガ,Jos´e Ortega y Gasset,寺田和夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/02/01
- メディア: 新書
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