富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

白先勇の世界

fookpaktsuen2016-06-21

農暦五月十七日。酷暑。夏至。晩三更に油麻地のCinematiqueでドキュメンタリー映画「他們在島嶼寫作二」のうち白先勇(奼紫嫣紅開遍)見る。とにかく美学の人。美ではなく、美学。改めて考へるに1971年の『臺北人』は、まだクールに台北を眺めてゐるが『寂寞的十七歲』に萌芽あり1983年の『孽子』で到達する若者世界にせよ晩年の崑曲への偏愛と崑劇〈青春版牡丹亭〉の完成と評判にせよ、とにかく白先勇にとつて彼の描くその世界は世界で最も美しいものであり、だからこそそれを、その美しさを知らぬ人々に授けたいといふ情熱。『孽子』の世界などホモフォビア的には戦後の台北の汚らしい同性愛者群像だが、その彼らがどれだけピュアで美しいか、をヘテロにも共有させてしまふ力量。〈牡丹亭〉とて恋愛のこんな美しさを知らずに死んでしまふのは中華民族にとつては考へられない、だから若者にこれを見せたい、と。まぁこれほどの美学にはただ/\敬服。
毎日新聞の連載(チャイナセンセーション第3部)国境を越える民「共産党幹部「子供に日本国籍を」代理出産で逃避準備」(こちら)。読むに値する連載開始。共産党幹部が甥を日本に遣り日本人による代理出産日本国籍有する子を授かり20億円の隠し財産をこの子に。共産党幹部が悪どいかぎりだがリスク回避の手口はお見事。