農暦十一月十一日。昨晩は早々に晩十時半くらゐに寝たが隣宅に引っ越してきた家族の母子がキチガイの如く騒ぎ夜中に下手なピアノまで弾かれ目が覚めてしまふ。週刊文春のパズル初めてしまつたら今度は解決するまで眠れず。二時間ほどで起きるが頭痛ひどし。Z嬢と元旦恒例で長洲島での10kmのレースに往く。ゼッケン受け取らうとすると已に該当ナンバーのランナーにゼッケン渡し済みだと埒明かず。10時のスタート10分前に別のナンバー渡されアタフタ。3kmほど走った崗の折り返しでアタシの番号のゼッケンつけたランナー見かける。頭痛治まらず5kmでリタイア。ゴールでこの番号のランナー見かけ問ひかけるとゼッケンには確かにアタシの名前があるが彼もそれに気づかず、たゞメールで届いた確認証では確かに同じナンバー振り分けられてをり登記所で主催者側のミス指摘。昼前のフェリーで香港島に還る。晩に上環の大班樓。A氏家族、S夫妻と元旦の会食。金銭鶏は要予約で注文してゐたが「鶏の供給が止まったので」と供せぬといふ。三鞭酒はPommery Cuvée Louise 1989年←四半世紀前か、のマグナムボトルで口開け。白ははアタシの持ち込みはLes Combes Saint-Aubin 2011年、S氏のDe Chevalier Pessac-Léognan 2008年、赤はA氏持参のLa Lagune Haut-Médoc Grand Cru Classé 2008年とBranaire-Ducru Saint-Julien Cru Classé 2004年の5本、いずれも美味い。今年も何本の葡萄酒を飲めるのかしら。
▼「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」と戦後70年で陛下の元旦にあたつてのお言葉から。なぜ今が「極めて」なのか、推して知るべし。築地のH君曰く、加害責任こそ触れていないが陛下も十五年戦争史観。陛下がさう仰つても、さおいふやうな歴史は右翼的であるはずの扶桑社や育鵬社の教科書では学ぶに能はず。ジョン W ダワー先生が戦後70周年は前の戦争とその後の「二つの厳粛な側面」として一歩退いて考へるにはいゝ機会、と(朝日)。一つは自分たちだけではなく他者の苦難と犠牲、もう一つは日本で今もしつかり根付いてゐる理想主義、戦争から生まれた平和とより良い世界への大いなる希望と夢。同じ朝日でスリチャイ=ワンゲーオ先生(社会学、チュラロンコン大名誉教授)が日本のアジアへ指針となるのは戦後日本の一連の「日本の経験」そのもの、と。
過ちを含めたすべての経験と、挫折からの回復力。アジア地域の諸国は多くのことを学ぶことができます。日本人は自らが歩んできた道を直視し、経験の一つひとつが人類にとって重要なものだったと捉えてほしい。そのうえで隣国、アジア諸国の人々と付き合っていけば希望は大きいと思います。
このコメントを陛下がお読みになつたら一字一句同意されるだらう。だが晋三にはこれが解らない。同じ朝日の元旦紙面で今が旬、でトマ=ピケティ教授のインタビューあり(聞き手は大野博人•論説主幹)。もうすでに何度もいろんなメディアで語られたピケティ先生の格差拡大の理論と富裕層への課税といふ話ではあるがピケティ教授の、日経の12月22日のインタビューでは語られてゐたアベノミクスへの肯定的なコメント
安倍政権と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい。2〜4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退につながった。
については朝日では触れてをらず。同じ朝日に(くどいか)1982年のサッチャー&善幸の首脳会談で善幸さんが尖閣諸島所有権につき中国との間で問題を実質的に棚上げしてゐると説明してゐた由。英国公文書館が年末に機密解除した文書にあり。中国政府は朝日の取材に対して、これに注意してゐる、中国の立場は明確で「両国の先代の指導者たちは大局に目を向け、この問題を適切に処理することについて重要な了解と共通認識に達した」とする。が日本政府は「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり」と、さう主張するのは情勢的判断だとしても「中国側と「棚上げ」で合意したことなどもない」「そもそも棚上げするべき領土問題は存在しない」と(外務省幹部が取材に対してのコメント)。棚上げ合意は、今はそれでは分が悪いとしても歴史的事実なのは明らか。それの否定はダメだろ。