富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-04-29

農暦四月初一。朝日で地味に漱石の『こころ』読んでゐるのだが「まどろっこしい」。新潮文庫で読んだときに確かに退屈な書きぶりのところもいくつかあるが、これほど窓六個しいとは思はなかつたのに……と思ふ今日は第八回。鎌倉の海岸で遭遇した「先生」の東京の家に繁く通ふ「私」が、やつと先生の家で夫人と一緒に酒を飲む機会があつた時のこと。小説で初めて打ち解けた雰囲気。文庫ではアタシはここまできつと数分で読み進んだのが今回の連載では(週末は連載なしも含め)十日もかかつてゐるのだから。本日、昏刻に銅鑼湾掃桿埔南華會。熊本T氏、青森H氏とInnside outバーでハッピーアワー。勢ひつきバーSでウヰスキー飲む。
▼昨日、行革担当の大臣稲田某が会長つとめる「伝統と創造の会」議員9名が靖国参拝。「伝統と創造の会」って会の名がイカしてゐる。さう。「近代の超克」と一緒で、かういふ伝統を創造してしまふのが革新の凄さ。保守的なアタシには理解できぬ。
毎日新聞山田孝男専欄が「ヤブの中の合意」と題して、件の読売新聞「日米 TPP実質合意」に触れてゐる。読売が「合意」と見たのは(誤報ではなく)日本が米国の輸入関税大幅引き下げに応じたと判断したからか、合意なら政府ななぜ伏せるのか、鹿児島の衆院補選への影響懸念か……(山田孝男は突っ込んでゐないが)それぢゃ何故に自民党政府御用新聞の読売がスクープしたのか。寧ろ「TPPは何も間違ってゐないのだから正々堂々とやれ!」と農家に気兼ねで逃げ腰の自民党に発破をかけたからなのかしら。山田記者に戻すと、TPPを見る目は二つあり一つは参加国が互いに経済成長高める「夢と希望のサロン」か米国グローバル企業だけ潤ふ危険な罠か。日本の新聞は毎日を含む全国紙全てが「希望のサロン」説、地方紙の多くは「危険の罠」説で山田記者は後者だと。ここで(孫引きになるが)水野和雄『資本主義の終焉と歴史の危機』引用。近代資本主義は2割弱の先進国が地球上の資源を独占的に入手できることを前提として成立してゐたが21世紀のグローバル資本主義は先進国が500年かけて達成した生活水準に新興国が数十年で追ひつかうとするもので資源は有限で全人類の近代化は無理、あたかもそれが可能であるかと進んでいけば一握りのグローバル企業に富が集中し一般人は貧困に喘ぐ、さうならぬやう先進国から率先垂範、強欲と過剰にブレーキをかけ新しいシステムを築くべき、と。晋三とオバマの交渉はヤブの中の真相は不明だが問われるべきは「歴史の危機に対する自覚の深さではあるまいか」と山田記者……と書いてゐたら山田記者が日本記者クラブ賞受賞とニュースあり。