富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-01-01

一月一日(土)晴。元旦恒例で長洲島で10km走に参加。風光明媚、山あり海岸線あり市街地、団地から高級別墅、修道院から墓地、火葬場まで人生と社会を濃縮したやうなこの行程が好きでアタシは毎年参加。終はつて知己の面々と軽くお昼とお酒。午後イチのフェリーのデッキで暖かな日ざし浴びつゝ中環に戻る。ちょうどH1ルートの無蓋の観光周遊バスが出るところでアタシは先月乗る機会あつたがバス好きZ嬢は乗つたことがない、と天気も良いので始発から香港大学の先まで行き更に中環まで戻る小一時間。アタシは復路のフェリーで飲んでゐたジンでほとんど夜船ならぬ白河昼船。ジムに浴し帰宅。晩に簡単にお節のやうなもの食す。岩波『世界』十二月号読む。四方田犬彦氏が韓国併合百年振り返る講演の記録あり、そこで韓国の近代文学の始まりとして李光洙(이광수)の、十六歳のときの明治学院留学中の「愛か」なる作品を取り上げてゐる。四方田は韓国人の手になる最初の近代文学が韓国語ではなく植民統治者の言語によって執筆されたといふ触れぬに厳しい事を光州でのこのシンポジウムで言及してゐる。その「愛か」なる作品で「操君」として登場するのがモデルが山崎俊夫なのださうで山崎の「耶蘇降臨祭前夜」に李宝鏡といふ名で登場するのが逆に李光洙その人といふ四方田の話に夜な/\久しぶりに俊夫の作品集(上館、奢覇都館)開き「前夜祭」読む。足穂のやうに宇宙の夜空に旅したり、この俊夫のやうな耽美の世界、むかしは何も通信機器もネットもなくても(むしろなかつたから)想像がどん/\旅してゐたのでせう。
▼アタシは皇后陛下の御歌が好き。元旦に発表された昨年歌はれたなかでは

ブブゼラの音も懐しかの国に笛鳴る毎にたたかひ果てて

が素敵*1。スポーツの「戦ひ」は笛が鳴れば終はり闘球的に言へば「ノーサイド」となる。がそれに比べ実際の「戦さ」は終はりがないことへの悲しみ。ふつうブゝセラからこゝまではゆけぬだらう。
▼ところで二ヶ月前といつても、もう昨年となるが十一月末の議会開設百二十年記念式典。天皇皇后両陛下がご臨席で秋篠宮が夫妻で従ひ皇太子殿下は?と怪訝に思つたが宮内庁の宮様動静見たら、この日に皇太子殿下夫妻は公務なし。
iPhoneで年が明けたら時計のアラーム鳴らぬ不具合ありの由。アタシは幸ひ元旦の朝はかけてをらず。試してみると確かに鳴らず。iPod Touchも同様。三日になれば治るさうだがあまりに拙なすぎ。

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*1:宮内庁の解説によれば「本年六月から七月にかけて南アフリカ共和国においてFIFAワールドカップが開催された。ホイッスルの鳴るごとに戦いの終わるスポーツの世界の喜ばしさを詠われた御歌」。