富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月廿二日(金)「鮎魚飄忽全城戒備」と新聞(香港蘋果)の見出しは踊るが台風・鮎魚(Megi)は広東省東北部に抜ける見込みで雨らしい雨も風もない一日。デンタルフロス使つてゐたら右の上の小臼歯二本の銀のクラウンが外れてしまふ。ここ数年馴染みの歯科医は来週土曜が直近といはれ七年ぶりだかで湾仔の某歯科医に。香港でフィリピンの大学の医学コース(所謂、大学の医学部なのか……)出の歯科医は少なからず、そりゃ香港大学英米の大学出の歯科医より低く見られるわけで、湾仔のそこはその一つ。だが七年前より格上のビルに移り診療所も拡張。クラウンをつけるだけで、今日のうちに治療出来るのはありがたい、と赴いたがC医師も当初はクラウン接着だけで、と思つたやうだが、その小臼歯二本とも神経をもう何十年も前に抜いてをり無髄歯といふやつで歯の外装は辛うじてエナメル質があるが内部はかなり劣化してをり、歯根のあたりの残骸を除去しセメントを詰めクラウンを被せ、でたつぷり一時間。かなり治療予定の時間も狂つたやうで(待合室に三人の患者が……)、C医師も最初に(クラウンを被せ直すだけ、と思つたので)治療費を説明できず申し訳なかつたが、と1本あたりHK$800、で都合HK$1,600のご請求。一時間で、と思ふと高級クラブで飲んだやうな感じ。用いたセメントがそんな高価なものとは思へず、結局、香港の場合、弁護士のやうに歯科医拘束の時間=診療費なのだ。円高もあるが日本で三割負担として五千円余。しかも日本なら間違ひなく二度通院。保険適用なしで全額負担は辛いが篦棒に暴利貪られてゐるとは思へず。先週が音楽会、観劇三昧だつたら今週は血圧、捐血、歯科と医療週となりぬ。
▼この台風で、マスコミ以上に「ここぞ」とばかりに仕事してる態をば見せようと凝つたのが香港地方政府で昨日、普段あまり目立つことのない天文台高級科学主任(陳積祥)、渠務署副署長(高泳漢)、保安局署理局長(黎棟國)、民政事務總署副署長(梁振榮)、消防處副處長(陳楚鑫)、樹木管理辦事處總監(周錦超)と六人の「副」が共同記者会見に臨み台風警戒への政府対応を誇らしげに発表……完ぺきに空回り。確かに台湾東部の大雨被害大きかつたが蘋果(台湾)によれば中颱(中型台風)梅姬(Megi)が東北からの季節風と相乗効果での大雨。宜蘭、蘇澳での昨日の雨量は939mmで、台湾観測史上、平地で17番目の降雨量を記録……で最大級の台風に非ず。いかに情報を香港なら香港で見ていると惑はされるか、の好例。だから余計に日本で限られた情報のなかでテロとか中国の脅威、インフルエンザ、SARSに怯へると一億総白痴、ファッショ的怖さとなりかねない。
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