四月十七日(土)Z嬢と朝十字のフェリーでマカオ。一月に渡澳のときに手続きしたHKIDでのゲートでの入境能ふ、がそんな時に限つてイミグレはがら/\。路線バスで氹仔。住宅博物館の湖畔からコタイを眺めると、それなりにカジノシティに見えるのはVenetianの向かうにCotai Strip-Four Seasons Hotelが出来、Casino City of Dreamsのコンプレックスがそびえ立つから。まぁあたしには関係ない世界。いつものパターンでCastiçoに昼を食す。食肆に入ると亭主がすでに知己の客一人と仕事始めの麦酒を飲んでゐやがる。であたしも麦酒一杯。前菜はトリッパで白葡萄酒一杯。今日は兎肉の煮込みが美味いといふ。でいたゞくと兎の煮込みを豆と米で煮込むだ鍋。小兎の胴体輪切り(肋骨と背骨つき)がちょっとエグいが美味。赤葡萄酒二杯。二人でこの二つのシェアで満腹。それにデザートのプディングと珈琲。食後、自家製の果実酒を供される。食卓でオリーブを入れる小皿が欲しいのだがマカオで食器扱ふ店覗いても目に留まらず、この食肆の亭主に尋ねるとニ、三軒先のやはり葡人経営のポートワインや趣味骨董売る店にある、と連れてつて貰ふ。Z嬢と別れ路線バスで近くの競馬場に急ぐ。あたしはマカオの競馬はもう八、九年前に一度来たきり。本日はChairman’s Challenge Cup(主席挑戦盃 芝1800m G1)、Macau Hong Kong Trophy(澳港盃 芝1500m G1)、Grand Lisboa Cup(芝1500m 新葡京盃)とマカオダービー(芝1800m G1)と重賞開催日、で賑はふか、と思つが閑散。主席挑戦盃が第一レースでこれは間合はないだらう、と香港で(史上初めてマカオの競馬の馬券発売)簡調教師とかつて香港であたしが贔屓にした余健雄騎手のパレスゼネラルの複勝だけ買つておいたら三着。香港でHK$27の配当だが現場では第一〜三着三頭ともHK$10.1だつた。第二レースの澳港盃は療養中のスタンレー=ホー博士の爆燈(Viva Hong Kong)が一番人気。香港でホー博士はViva Macau走らせマカオでViva HKといふわけ。あたしは香港から参戦のChadwick騎手のローマペガサス応援。これからViva HK、余健雄君のゴールデンピストル、銭健明騎手のEcstatic Macauに流したがViva HKが優勝(写真)。マカオ馬が一〜三着独占で香港からの三頭が四〜六着とは……。ホー博士はマカオジョッキークラブの主席。で第一レースの主席挑戦盃で来場能はぬ御大に代はり主席代理で表彰台に立つのが第四夫人の梁安琪なら澳港盃で表彰受けるのも梁安琪。もうかうなると第三レースもホー博士の経営する賭場グランドリスボアの冠レースで博士の爆發(Viva Amour)が一番人気で制作、協賛、主演のワンマンショー、勝たぬはずもなし。アタシは二番人気、余健雄君の「董事長」にご祝儀は応へてくれず。マカオダービーは(やうやくこのレースはホー博士絡まず)聯一永勝がダントツの一番人気。三歳で三勝、今季六冠三亜一負と絶好調であたしは二番人気のChadwick君騎乗のFlaming Sword応援したがブービー。Chadwick君のもうゴール手前での悔しさうな表情に結果見たら香港からの三騎手が最後尾三頭に騎乗とは情けない。馬も走らないがマカオの本芝に慣れないのかしら。……といふわけでこの四競走でアタシも撃沈。重賞と冠の主要レース終はり、さう/\に競馬場退場。全く情けない。路線バスで旧市街。セナド広場から骨董品屋など除きながら白鴿巣公園、西洋墳場をぐるりと周り漫歩。セナド広場のPinto Livros(邊度有書)でZ嬢と待合せのはずが主教堂(カテドラル)の入り口のベンチに坐るZ嬢とばつたり遭ふ。まぁ狭い街だし。十月初五日街まで散歩して黄枝記に麺を食す。セナド広場にも香港の中環にも黄枝記はあるがアタシは此処がお気に入り。黄枝記への往路、古い雑貨賞で駱駝ブランドのステンレスの茶杯見つけ購ふ。「駱駝」は香港の象印かタイガーだがステンレスのシンプルな茶杯は製造中止の由。この店でも台湾製の最近のを勧め「なんで埃かぶった駱駝印のを日本人が喜んで買うのかね?」と不思議さう。で値踏みしたが足下見られる。福隆街路地の甜杏園にデザート。マンゴーの西米露。Z嬢は紫米の汁粉。路線バスでフェリー埠頭。午後九時のフェリーで香港に戻る。フェリーのなかでPinto Livrosで購つたAlain de Bottonの“A Week at the Airport - A Heathrow Diary”の中訳「機場裡的小旅行〜ヒースロー空港第五ターミナル日記」を読む。空港の様々な物語を英国版ハルキムラカミ?の流行作家がさらり、と観察。写真が良い。読了。寝しなに文藝春秋(五月号)少し読む。「たちあがれ日本」結党宣言もひどいがナカタヒロシらの「首長決起」も騒ぐばかり。皇太子娘妃の学習院初等科不登校につき識者言ひたい事叫ぶが「武士の家計簿」の磯田道史氏(茨城大学准教授)が「学校は近代の産物であり、皇族は古代以前の産物」なのだから「古来由来の皇室を近代由来の学校制度に合わせるのに、そもそも意味があるのか」は極論だが面白い。それにしてもまた破廉恥は櫻井よしこ。「日本人は古来から子供を大切に育ててきた」と。大森貝塚のモース博士だかの言葉引用し日本は世界で最も子供が大切に扱われ育てられたと指摘し「社会全体で弱い者苛めや卑怯なことはしてはならないと、厳格に価値観を教える精神風土があった」とする。櫻井よしこ、やはりかなり虚妄癖あり。世界中どこでも子どもは愛をしまれ、だが逆に日本でも赤子殺しや人身売買など口減らしもあり。弱い者苛めや卑怯さ無しで朝鮮差別に支那侵略か。何だか「日本、日本」と異常なほどのこの愛国心の構築、虚妄の甚だしさに端から見て哀れみすら感じ入るばかり。
A Week at the Airport: A Heathrow Diary
- 作者: Alain de Botton
- 出版社/メーカー: Profile Books Ltd
- 発売日: 2009/09/24
- メディア: ペーパーバック
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富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
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