富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-08

八月八日(土)曇り。山間の高齢者施設に客居の数へで九旬の大伯父を母と見舞ふ。常陸鴻巣の木内酒造で菊盛購ふ。郷里は夏祭り。アタシが子どもの頃はそりや押すな押すなのたいさうな賑はひだつたが地場の商店街、観光協会が主体の祭りで地場の小売業が落ち込んで次々と大店が店仕舞ひする中では祭りも年々華やかさには陰りあり。午後、自宅で母のMac機の調整や居間の額縁の取換へなど夕方まで。昏時、母と出街。祭りの路上でのコンテストなど眺める。アタシは子どもの頃から祭りとか運動会とか大の苦手で今もそれは変はらず。参加した皆さんが楽しくやつてゐるのを傍観ばかり。祭りに水をさすやうに雨模様。妹も来て夕食をどうしやうか、といふ事になりアタシの所望はファミレス。フライングガーデン。爆弾ハンバーグつてのが評判の由。ハンバーグはジューシーでファミレスと思へば大したもの。何かと割引特典などあり、のお得感。生麦酒を飲み終はる頃に新聞の折り込み用のチラシ持つてきて「宜しければお使ひください」と見れば麦酒百円割引券つきで直ぐに「もう一杯如何ですか?」と誘はれ断らると「失礼いたしました」と謝つてみせる。親身懇切な接客態度に感心するとともに不愉快に思ひ出すは地場の飲食店の憮然とした態度なり。中華料理屋で「タンメンはあります?」と給仕役の女将に尋ねれば「メニューにある料理だけ」と答へ「麺は細麺ですか、太麺ですか」には「他の店のは食べたことないからわかんねぇ」と突き放す。それで「無愛想で突慳貪だけど美味い」ならまだしも美味くもない。今晩も最初、鰻の蒲焼にしようか、と鰻屋の暖簾を潜り「夜の七時半に三名でお願ひできますか?」と尋ねると素つ気無く「わかんねーけど、大丈夫だと思ひますよ」と答へてみせる。食べさせて欲しくば食べさせてやらう、の不遜な態度。「お願ひできるんですか、できないんですか?」とこちらが客なのに恐縮すると「いゝですよ、夜七時半ね」……と知己の客には愛想も良からうが見ず知らずの客にはこの呆れるばかりの傲慢欠礼。これぢや宮台先生の指摘するコンビニやファミレスの<システム>が地元商店街の生活社会を全面的に席巻していく<郊外化>もある面あつて当然、社会の“底抜け”はけしてシステムによる統合だけでなく弱者たる地元にも様々な問題があるだらう、と思はざるを得ず。

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