富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-12

五月十二日(火)快晴。早晩に年長の畏友G氏よりお誘ひうけハッピーヴァレイの英皇駿景酒店(The Emperor Hotel)の駿景軒の四川料理。久々に歓談款語。評判は聞いてゐたが慥かに美味。客筋も佳し。従業員が全員、マスク着用は「やりすぎ」と思ひつゝ、このホテルなら英皇集団の親分筆頭に傘下の芸プロのジャッキー=チェンら芸人、政財界関係者からその筋の方まで「インフルエンザ感染させたら一大事」な上客多く、でマスク着用かしら、とG氏と語る。噂をすれば食後、玄関を出ると車寄せにGG38ナンバーの巨大なベントレーありホテル周辺も超豪華車づらり、と並ぶ。福臨門酒家か此処か、の光景。
岩波書店荷風散人生誕百三十年、歿後五十年で(無理矢理だが)荷風全集を第二次刊行(慥か四月から)。荷風の愛読者はまだゐるだらうが、それが日剰であるとか「濹東綺譚」「おかめ笹」「つゆのあとさき」くらゐならわかるが全集をもつか?と言はれるとチヨートク先生が慥か「日記は面白いが荷風の花柳文学は鳥渡」と言はれるのも正直なところ。アタシは奈良の古書店で数万円で良品の全三十巻見つけたので勢ひで買ひ成田空港に直送したが、全集となるとそれが鴎外、露伴丸山眞男ならなんだが荷風となると「どうしても」揃へたい、かどうか。なのに岩波の第二刊は大胆。今回は全三十巻に補遺の「資料篇」がつくが内容は小品や草稿、ちよつと見たいのは1945年用の手帖、でそれに谷崎の疎開日記や樗牛、春夫ら代表的な同時代作品評を収める、つてちよつと全集から逸れてゐないか。多喜二がブームでも荷風が復たもてはやされたら本当に時代は末世かも。

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