富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月廿六日(木)。昨晩は深夜一時半くらゐに床に就いたのに今朝は五時すぎ目が覚めちまふ。それも鳥渡、蕁麻疹。疲れてゐるねぇ。中環からAirport Expressで朝八時前に香港空港。CXのラウンジで朝食は炒麺をほんの少し。CX548便で一路、成田。機内かなり空席目立つ。搭乗して「あつ」と気がついたらCクラスは昨年搭乗の新型シート。Z嬢に「絶対にお勧めしない」と教へられ前回の東京行きは空港で急きよ、台北経由に変更。フルフラットが売り物だが、この極端に狭い新型シートなら同じCXでもアジア向けの旧来のシートの方がまだマシ。CX贔屓のバンコクのY氏は「慣れると意外と楽」とおつしやる。絶対に他のどの航空会社の同クラスの方が快適だらうしYクラスでも隣席が空いてゐれば絶対にYクラスの方が安楽。どうしてこんな窮屈なのにしてしまつたのかしら。比較的小柄なアタシで左右のパテーションとの余裕が15cmほど。ちよつとガタイの良い乗客には身動きとれまい。新聞すら見開きで読めないどころか頁を捲るのも難儀。もと/\機内食が嫌ひなのでサラダとフルーツをほんの少し、とチーズだけ頬張り伊太利はEventusのピノグリージョ、豪州はMoon Mountainのシャルドネいづれも07年をほんの少し味見。機内から出て比較的早く出てきた荷物受け取り14:30の六本木行きのリムジンバスが「今、出ましたが止めます」とカウンター嬢。「止める?」と驚いたが無線で現場に「1名ご搭乗の方がゐますので北2で……お荷物は1つです」などと指示。このお嬢さんはアタシの乗車券など持つて「バスまでご案内します」と早足で歩き出す。ターミナルを出ると「お荷物お持ちしますから」とアタシを走らせようとするが22kgくらひのトランクをどうしてお嬢さんに持たせられようか。でトランクをガラ/\引摺つて「北2」に小走り。すると向かうから乗り場係の兄さんが走つてきてアタシの荷物を抱へ!「急ぎでください」とバスまで走る。「北2」に緊急停車中のバスは別な兄さんが荷物室の扉を開けて待機。アタシが乗り込むと同時に「荷物積み込みOK!」でバスが2分遅れで発車。一人の客を乗せるためにこゝまでするか、が東京。リムジンバスの中での後部座席の袖振り合ふも多少の縁、の二人のアメリカ人の会話。一人は六本木在住の米国人のヲバサン。もう一人はハワイからのビジネス客。日本に慣れぬハワイ野郎にヲバサン曰く「日本は意外と生活は楽」と語るは「空港だつてイミグレも税関も5人の職員がゐたら5人が決まつて同じ質問をする」と。「ただ笑顔でうなづけば問題ない」とは言ひ得て妙。成田から1時間40分と言はれた六本木山荘のグランドハイアットに80分で到着。すごいところやなぁ、と驚きつゝタクシーで国際文化会館。投宿。早晩に麻布十番から南北線飯田橋。村上湛君と津久井町の「さゝ木」に食す。かなり久々の神楽坂。日剰を紐解けば03年の暮れ、有馬記念の晩に故・月本裕さんらとの宴会で鳥茶屋に来て以来。晩にだいぶ寒くなるなか神楽坂のバーHに飲む。大江戸線で新宿。東口駅地下のベルグに麦酒一飲。御苑に近いバーに飲む。半夜三更、雨のなかタクシー自動車雇ひ六本木に戻る。
▼村上湛君との話。コンビニとか夜遅くまで眠らない東京がどん/\便利になつてゐるのか。コンビニがなくても近所の酒屋、乾物屋が御用聞きに来た時代もあり、さらに戦前の省線は数分間隔で走り都電は深夜まで東都を網羅して走り続けたこと。実は戦前もじふぶんに足の便の良かつたこと。
▼CXの機内で「お読みになりますか?」と、見れば昨日の香港の新年度予算のリーフレットはビジネス客への迅速なサービスだらう、でKMPGとキャセイパシフィック航空によるもの。内容は単に新年度の税制の紹介だがKPMGの分析でも少しは勉強しようか、と読んでみたが
Although the financial crisis is clearly more severe than most observers would have predicted 12 months ago, Hong Kong does have the financial resources, skilled workforce and legal and regulatory framework to come through the downturn stronger than many other economies. Hong Kong remains the gateway to China, and continues to position itself to benefit from its growth and economic success.
こんな提灯分析ならアタシでも書ける、といつた内容。その香港政府の新年度予算。昨日の立法会にて財務官「文革曾の舎弟」曾俊華より報告あり。08/09年度の政府赤字はHK$49億が当年度はHK$399億。だが政府は所得税を50%、といつても上限HK$6千は寂しいが一応は所得税削減。どうせなら年収HK$1M超えるやうな方には累進課税適用を。固定資産税も優遇継続。煙草は50%の増税で1箱あたりHK$24.1が税金。どんな安煙草でもHK$30以下はまづあり得ず、で愛煙家にはつらからう。
▼香港金融管理局の、億の報酬貪る任総(ジョセフ=ヤム総裁)が噂通り9月に引退の後任は特首辦主任の陳�霖、と蘋果日報。陳�霖は元々が任総の薫陶受けた金管局高層で里帰りだが任総に比べ手腕疑ふ声あり。
▼数日前の信報に京劇名家匯演を看た劉健威兄が「看京戯」と題して京劇のマイクで役者の歌唱放らうPAな何故にあゝも喧しく照明は目がチカ/\するほど眩しいのか、と指摘。御意。アタシなど耳栓して観劇、で充分。
▼先週末のThe Economist誌にホテルに関する興味ある記事あり。多くの世界的ホテルチェーンが、えうするに名義貸しで名義とサービスのノウハウ提供で地場のデベロッパーなどが資金提供してホテル業、といふのは誰もが知る事実だが、ホテルチェーンは株主への配当確保のため自社所有のホテル不動産さへ売却で利益獲得してをりホテルチェーンのホテル施設の自社保有率は下がる一方。とくに、と名指しされたのがインターコンチネンタルでホテル業界の指数ださうな「1客室あたりの利益率」は、フランチャイズでのホテル経営で利益率下がるばかりで6%といふ。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/