十二月朔日(月)快晴。秋の香港は涼しく青い空が広がるものだが今年は格別。経済混乱で珠江デルタの工場減産との関係は有りや無し哉。晩飯がコンビニでパン一個をRed Bullで流し込むのは寂しいもの。東空に下弦の月、今晩は二十年に一度、下弦の月の上方に右に木星、左に金星が浮かぶ「月亮笑哈哈」なり。
▼北京の全聚徳の香港湾仔の店が廃業の由。経営者側(新光集団)は賃貸契約満了で家主の華潤集団が他の用途に改装で金融海嘯とは無関係と述べる。が新光も華潤も北京中央直属の企業と思へば北京の老舗の香港支店はさう易々とは廃業しまい。
▼航空自衛隊前幕僚長の田母神氏の論文、懸賞論文審査で主催のアパ代表のみ最高点。審査員の数名が選定に疑問呈すが審査委員長の渡部昇一先生は「審査はスムーズだつたので特に記憶に残つてゐません。(略)他の方の記憶と違つてゐるかもしれませんが、それはその方の記憶です」と宣はれる(朝日)。「他の方の記憶との違ひ」こそ渡部先生の歴史観そのものか(嗤)。
▼麻生首相動静(三十日)。14:37に帝国ホテル。ホテル内の一室で書類整理……つて日曜日にわざ/\豪邸と官邸を出てホテルの一室で書類整理するかね。誰かとの密談か、にしても目立ちたいのかしら。で17:41に八重洲ブツクセンターに出現。つてことは3時間近くホテルにゐたのね。で書店では日下公人・竹村健一・渡部昇一共著『強い日本への発想』や日下公人の『日本はどれほどいい国か』購はれる。言葉もなし。
▼「いい国」と言へば朝日で若宮啓文氏が「自衛隊の君へ 守るべき「いい国」とは何か」。若宮氏らしい、筋は正しからうが読んでゐて当方が赤面しさうな「青さ」。同じ朝日に市川速水氏が「胡耀邦氏がまいた友好の種」。市川氏の若い頃からの市川氏らしひ「平易な日本語」の文章は見事。もはや筆致の藝の域。
▼武漢で共産中国初の本格的な競馬開催(廿九日)。これまで北京や深圳など「スポーツとして」の競馬はあつたがギャンブル性ありの商業競馬は初の由。市井の民のガス抜きの一環かしら。
▼文化人類学者のClaude Lévi-Strauss先生が生誕百年。IHT紙の“A party fit for a 100-year-old anthropologist”を読んで知る。アタシが若い頃に拝読の頃に「すでに亡くなつてゐる」と思つてゐたほど。『悲しき熱帯』読んでも“who altered the way Westerners look at other civilizations”といふほどの衝撃もなかつたのはアタシが在アジアだからなのかしら。
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