富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-11-01

十一月朔日(土)朝八時に尖沙咀重慶マンション。H君らホテルから連れ出し徒然に散歩。スターフェリーで湾仔に渡り散歩続け龍門大酒樓にて點心頬張り飲茶。路面電車西環。普仁街。東華三院見学。若い二人も道教に多少の興味あり百姓廟など太平山街の寺を巡る。孫中山記念館(旧高雲臺)参観。此処でもこの三人だと「此ハ誰、彼ハ誰」、袁世凱つて孫文を襲ひ臨時総統に就任して皇帝にもなりたくて最期はいつたいどうしたんだつけ?、蒋介石が十間握るまでとか知識が抜け落ちてゐるなぁ……と。知つてゐるやうでアタシも淺学。A君もK君も海南鶏飯が好きだと言ふので昼にFCC海南鶏飯を食す。香港公園。三人とも「茶飲み」なので茶具博物館。此処でも二人の見方が「無印良品の陶器つて宋代のコピーだよね」なんて下らないコト話してゐるアタシらより若い二人の見方がぢつくりで可笑しい限り。付属の茶藝館で茶談義続け茶を喫し銅鑼湾。老成しちまつてゐる。アタシらも十代のあの頃はずいぶん爺臭かつたが。嗚呼、もうすつかり酒で出来上がつた(中環の酒場も昼から盛況だつたが)洋鬼ばかり。新年の元朝参りの衆の如く表参道(Caroline Rd)香港大球場へと向ふ。ANZ Bledisloe Cup 2008なるラグビーの試合見物。若い二人がラグビーしてをり築地のH君がスポーツ観戦好きなのが彼の芸風に合はぬから驚き。今回三人の来港のメインイヴェントがこれ。4万人収容の大球場は八分の入り(主催者側発表は四万人近い満員御礼だつたが)。それぞれの国のラグビー協会などの大きな升席の他、スポンサー企業のボックス席多数。モーガンスタンレー、メリルリンチAIGやJPモーガンなど十月は世界的に話題の大手金融企業がづらり(笑)。悠々とゲーム楽しんでゐるからさすがリスクのなか生き抜く金融投資専門家は大したもの。その中に看板なく閑古鳥のボックス席がいくつか。ありやリーマン兄弟かしら、どこの投資会社かしら、と訝む。兎に角スポーツ観戦といふものに全く興味なきアタシも「せつかくの機会だから」とご一緒に物見遊山気分でご同行。アタシの人生でスポーツ観戦は小学生の時に郷里で巨人対ヤクルトのオープン戦とB級のボクシング巡業、高校野球の応援が2回(いづれの年も1回戦コールド負け)、で高校3年の頃に代ゼミの夏季講習であんまり時間を持て余し(勉強しろッ!)西武球場でライオンズの野球試合観戦。当時の四番打者は田淵。それ以降、香港で前回の蹴球のワールドカップで韓国の試合中継をヴィクトリア公園で応援した程度。あの時だつて飲みに行つたやうなものだが。ラグビーはボールは後ろにしか投げてはいけない、くらひは知つてゐるが、何故、相手しかをらぬ敵地に球を蹴り放つのか、とか、スクラム組んでゐる時や縺れた時にどういふ行為で審判が反則として組み直しになるのか、とか皆目不明。だが新西蘭と豪州となると力は互角、拮抗が面白くないわけがない。前半が14点の同点で後半、新西蘭が1ゴール、ぢやなくてトライであるくらゐは知つてゐる、を決めて19対14の僅差で新西蘭が勝ち。観衆も「アンタが試合に出れば?」のやうな猛者ばかり。ℓの量り売りのピッチャーで麦酒飲むのはやめて! こんな連中相手に戦争したんだから当時の日本人は何を考へてゐたんだか、明らかに誤算だが度胸だけは大したもの。太平洋戦争の緒戦の連戦連勝で当時の日本の知識人の多くが「神風」だの信じちまつたのも道理ありかしら。こんな連中を捕虜にして肉を日に500gくらゐ食べさせなきや虐待、と言はれても仕方あるまい。戦争と言へば航空自衛隊の幕僚長により先の大戦の見直し歴史観の論文が書かれ幕僚長更迭。どうであれ「我が国が侵略国家といふのは濡れ衣」だとか「蒋介石の罠に嵌つた」等といふコトは事実だどうか以前に「思つても言はない」のが大人のルール。陶傑さんも日本軍に南京への無血入城、占領赦した国民党の失策であるとか指摘してゐるが、だから「民衆虐殺がなかつた」とか「太平洋戦争の目的はアジア解放」と言つても結果的に日本の対アジア政策は失敗で戦争にも負けたのだから、侵略国家だらうかなからうがダメだつたものはダメ。足掻いても仕方がない。それを幕僚長の立場にある者が主張しちや、しかも民間企業の懸賞論文に応募したのは拙事としか言ひやうなし。更迭先が資料室とかで幕僚長時代以上に歴史見直し研究に専念か、とH君と笑ふ。話は逸れたが、これくらゐの強豪のラグビーの試合はやつぱりアタシのやうなラグビー音痴にも面白い。最高にハッピーな洋鬼どもに囲まれ銅鑼湾に戻り時代広場のPage One書店で鳥渡時間潰して四人で太湖海鮮酒家。かなり久々に大閘蟹。A君の麦酒の飲みつぷりがなか/\大したもの。自分の若い頃のやう、と思ふのが年寄り。タクシーで山頂。かなり風強く寒いほど。ピークトラムで下りスターフェリーまでバスで向ひ九龍に渡る三人と別れ帰宅。

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