富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月二日(日)曇。午前中、書室にて机に凭り書き物など済ます。昼に尖沙咀重慶マンションに出向きH君らと雲陽閣で四川料理尖沙咀ではマシな川菜の食肆も心なしか閑散。特段に不味くなつたとも思へず不況?と思つたが香港人にとつて川菜は今や本場は深圳かしら。食後九龍公園散歩して広東道。「糖朝」に甘味食す。かつては間口二軒の肆が今では広東道の此処は増床の旗艦店。日本のテレビ番組の取材中。当然のやうに現地コーディネーターは第一人者のT氏お見受けする。日曜午後の繁盛時に背景の卓は空けての取材に「客払ひか」とK君。本当だねぇとH君と首肯いて「鳥渡、14歳で「客払ひ」なんて言葉なんで知つてるのよ」とK君の語彙に感心するばかり。で席を立つと「何してんねん!」と奈良は生駒市在住のA嬢の声。檀那(T君)と来港、チェックインしてすぐ甘味の由。相変はらず。明後日ご一緒に食事する予定なのに、ね。尖沙咀横断して香港歴史館。学究肌のH君、A君とK君でつい/\ぢつくりと歴史学習。夕方まで。で隧道バスで陋宅にお招き。Piper-Heidsieckのロゼ。A君の飲みつぷりが、殊に杯を空ける時の高く杯を掲げ胸を張り見やう見真似なのか自然体なのか大袈裟に飲む態が若さ燦々でゴクッと酒が喉頸を流れ落ちてゆくのが眺めてゐて甚だ愉快。アタシも昔はかうして年寄りに勧められるまゝに酒を飲んでみせてゐたのかしら。でもアタシが若い頃なんて誰も本場の三鞭酒なんて振舞つてくれなかつたが。Z嬢と五人で湾仔。ハッピーヴァレイの肆は閉ぢて金融混乱の最中に湾仔に新装開店の益新美食店に葡萄酒持参で粤菜を食す。この店の琵琶鴨は格別。湾仔の路面店は地下のフィリピンディスコが日曜早晩の書入れ時でかなり地鳴り五月蝿いのは異様だが益新は昔からの常連で大盛況。マネージャーのK氏もご満悦の忙しさ。銅鑼湾の利舞台の店を閉ぢた際にいつたんは引退し数年前に渣甸山の店の開店で復帰の料理長氏は齢七旬でこの店の調理場を切り盛り。一段落で出て来られた際に敬意を表す。涼茶第一家で龜玲膏。H君らを湾仔埠頭まで見送り帰宅す。

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