七月十九日(土)久々に山を走らうかと思へば雲行き怪しく驟雨あり。ジムで8kmほど走る。昼に中環。FCCでS君と昼食。三十すぎで父の会社の財務と投資を担当の堅実で利発なS君は米国加州の大学を出て香港に戻りすぐ父の資金でマンション投資に成功。父上の会社は日本が主な取引先で品川シーサイドにレインボーブリッジ眺めるマンションには語学留学中の弟が独り住まひの由。HMWでモーツァルトのCD漁る。モーツァルトは、ことにシンフォニーはずつと面白いと思へなかつた。音楽が、なのかモーツァルトをよく聴きもせぬ内に小林秀雄の『モオツァルト』を読んでしまつたからか、だが一番の原因はコンサートでモーツァルトのシンフォニーを聴くと、どんなオケでもそつなく出来るから、なんか騙されたやうな気がして、「もつと真剣にやれつ!」と大久保の怪しげな旅館の一室で見世物を眺めつつ叱る水上勉のやうに(?)思つてしまふからかしら。だが最近、あたくしも年をとり、モーツァルトがラジオや網上で流れるとほつとしながら聴いてゐる自分がゐる。嫌なことやちよつとつらい事などあると余計に。で聴かう、と思つたが陋宅にはモーツァルトがない。モーツァルトはピアノソナタが何枚かとレクイエムくらゐしかない。でHMWに仕入れに赴いた次第。モーツァルトのCDなんて数数多並んでゐるからクラウディオ=アバドさんに的を絞りアバドさんが編成の若手集めたOrchestra Mozartによる交響曲29番、33番、ハフナー、プラハとジュピターの2枚組、それにアバド指揮の倫敦交響楽団でピアノはルドルフ=ゼルキン師匠(この人はピアノ界の黒門町=八代目文楽だよ)で、このゼルキン師匠晩年の名盤から18番&24番、21番&23番。Citysuperで食材購ひ帰宅。モーツァルトを聴く。鮪の中落で丼ぶり。
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