富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月二十日(日)快晴。朝五時半起床。Z嬢と銅鑼湾06:20発のバスで新界は天水圍。一時間、バスで仮寝。天水圍に着き天水圍循環の軽鉄に乗り換え湿地公園。Nike主催の10kmのロードレース。若い人の間でこの参加記念Tシャツが人気。実際には事前に参加者ゼッケンとTシャツ配っており一万人だかの定員のうち当日参らぬ者も多し。それでもかなりの数。キロ6分もきびしい今シーズンであったが結果58分でゴール。日ごろの運動不足と不摂生思えば1時間以内で完走できただけでも御の字か。終わってレース参加のK氏が太古城のユニーで買い物、とおっしゃるので送ってもらうがK氏が大欖隧道潜るはずが話に興じ間違えて粉嶺に向かってしまい思いがけずの新界ドライブ。雲ひとつない快晴で心地よし。ユニーで日本の駅弁を揃えて特売中で昼飯に、と富山の鱒寿司とばってら購い帰宅。駅弁と昼からお酒一合半。昼寝したいが、たまった新聞読み。午後遅く九龍の知る風呂屋にて擦背と按摩。灯刻、Z嬢と中環のNike直営店で待ち合せ。本日の参加者特典で2割引だったが別段、何も買わず。FCCにてステラアルトワ半パイント、ハイボール2杯。アイルランド風のシチュー。スターフェリーで尖沙咀に渡り香港文化中心で香港管弦楽団の演奏会はEdo de Waartが音楽監督に就任直後の最初の演奏会(確か去年の夏?)以来だが今回のお目当てはZ嬢が予選から殆ど観ている九月の香港国際ピアノコンクールで一位になったピアニスト、Ilya Rashkovsiy君が今日この香港フィルでラフマニノフのピアノ協奏曲2番を演奏のため。今晩の演目は香港フィルのメンバーによる室内楽のサイズでドヴォルザクの管弦セレナーデ作品44、続いてベートーベンのGrosse Fuge(大フーガ)。 大フーガは弦楽四重奏曲だと記憶していたが今晩の演奏は木管楽器やホルンなど入る。ベートーベン自身が、この曲をピアノ連弾のために書き直した直筆の楽譜が発見されたとか先日、新聞で見た記憶があるが今晩の編成がどこまでオリジナルなのかもよく知らない。いずれにせよドヴォルザクの管弦セレナーデも大フーガも個人的にあまり興味はない。而も室内楽の大きさは香港フィルにとってはWaart先生にとってもまだまだ難儀。楽譜を見て譜面を追って弾いています、の域。実力のわりに公演多く、Waart氏にしてみれば公演の数と経験を踏むことが最も大切なのかもしれないが、香港フィルにとっては練習も十分なのだろうか。休憩はさみIlya Rashkovsiy君の登場でラフマニノフのピアノ協奏曲2番。確かに上手であるし、この若さ(二十歳くらいだろうか?)でいくら香港で、とはいえ物怖じもせず、とにかくミスタッチがほとんどない。立派なもの。だが、そつなく上手に弾けてしまうのだが「Ilya君ぢゃないと」というほどの個性の域にはまだまだ達しておらず。香港フィルは、こういった「大袈裟な曲」であれば、しかもピアノなりの協奏曲であれば、その合奏のオケとしてなら(室内楽などに比べれば)それなりに演奏。これはWaart氏の1年でのかなりの成果だろう。だがフレーズのしっかりした第1楽章や第3楽章に比べ、2楽章など聴くと、まだまだオケが歌うほどの力量には遠い。アンコールでは、Ilya君がソロで、おそらくラフマニノフのであろう、独奏曲を一曲。ラフマニノフの曲かどうか曲名も我にはわからぬが「これはラフマニノフである」と思わせてしまうくらい、恐らく、だがIlya君のラフマニノフへの思い入れが伝わってくる(これでこの曲がラフマニノフでないと困るのだが)。帰宅してラジオつけるとBBC World Serviceで日曜の晩の11時に自殺に関する番組で「人はなぜ自殺するのでしょう?」と。日曜の晩なんて、それでなくても憂鬱なのに、こういう番組編成は嬉しくない。

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