七月三十日(土)雨。昨日も朝、全く気付かず寝ていたが新聞の配達遅れキオスクの新聞もかなり濡れており雨の強さを知る。今朝も早くに驟雨あり。「加害者 がどのような理屈で弁明したところで無駄である。それより、曖昧な言葉で逃げず、まず一言「ごめんなさい」と、素直に謝り、態度に示すことである」と渡辺 淳一君が朝日新聞で述べる。「あゝ、女性とのトラブルでの彼なりの処世術か」と思ふかも知れないが、さにあらず、小泉三世の靖国参拝についての歴史の反省 について。その謝罪を「いやと言っても仕方がない。われわれと同じ血が流れている、家族思いで優しかった父や祖父やその上の人たちが、戦争という狂気のな かで、狂人になったことがあるのだから」と。優しさと厳しさの入り交じったいい言葉。同じ特集で、朝生にも出演の、歌舞伎・演劇鑑賞と茶道が趣味の同志社 大学の村田晃嗣君 の主張するところは一般論。で、もう一人、ロバート・ドゥジャリク君なる日本国際問題研究所の招聘研究員は靖国問題は中国の国益となつている、と中国の国 内状況でのガス抜きばかりか韓国の取り込みであり、小泉三世の靖国参拝と発言はアジアでの日本の孤立が中国にとつて好ましいもの、と。でドゥジャリク君の 指摘で一つ驚いたのは「歴史問題が香港にまで波及したこと」で「香港には言論の自由があり、インターネットを無検閲で利用できる社会だ。反日感情は香港を 中国寄りにする一方、日本は中国に影響を与えるルートを失うことになる」と。多少認識不足。まず日本の歴史認識が香港で取り上げられたことは今に始まつた ことではなく七十年代の尖閣列島問題から八十年代の教科書問題の頃から存在する。そして「反日感情は香港を中国寄りにする」ことは、確かに反日感がナショ ナリズム高揚させもするが、では中国(正しくは中国政府)寄りになるか、といふとそれほど単純な問題ではない。日本が「中国に影響を与えるルートを失う」 といふ意味はわからぬ。香港について語る部分なので親日的な香港を介して日本が中国に影響を与える、といふことだろうか。これはもともと「ない」こと。中 国は鄙南なる香港から政治的影響など受けぬ。資金調達に利用する程度。朝日は社説で東京都の中高一貫校での教科書採択を批判。「つくる会」教科書が採択さ れたが東京都教委の選考が「北朝鮮の拉致」「日本の神話や伝統」「竹島や尖閣列島の扱い」の三点で歴史教科書を比較した結果、これについて「つくる会」教 科書が最も望ましいと判断したこと。国旗国歌の取扱い見ても都知事の下で都庁でも最もファッショがかつたのがこの教育委員会であることは明白。政治は教育 から、である。この中高一貫校は都立ではなく石原慎太郎といふ人を塾長とする私塾であり「つくる会」の教科書採択しなかつたら寧ろ驚き。問題はその私塾に 公費が用いられること。この学校に子供通わす親の了見の問題。都知事は昨日の定例会見で衆院解散の際に石原新党での国政復帰が取り沙汰されていることに 「ご推察を」と言葉濁す。良識ある都民の希望は都知事の国政復帰。都知事辞めれくれれば具体的は弊害解消。だが結論から言うと石原君自身に国政への欲望は あるが都知事留任のはず。石原君では国政ではとても国家の舵とる程の影響力は今更持てず首相になど政財界の圧力でなれる筈もなし。鷹派とはいへ今や阿倍 チャンの時代で青嵐会が暴れた時代は過去。で、それを思えば東都の城主であることの快楽。適当な出勤、勝手な人事、国家で出来ぬ愛国教育推進、と理想を現 実化するに地方自治体の首長ほど面白い職もなし。而も鳥取県知事ぢゃなく東都である。一国の首都、陛下の御座す東都で、なのだから。……で本日。雨空。昼 に旺角。楽 園牛丸大王で牛丸粉食す。萬成カメラ店にてニコンの画像処理ソフトNikon Capture 4購入。ContaxのG2に28mm、 45mmと90mmのレンズ三本と専用ストロボついてHK$12,600はお買い得。ContaxのNXもHK$3,900はカメラに失礼である。知る風 呂屋にて指圧と擦背。ジム。ホンハムからフェリーで北角。豆乳購い帰宅。ドライマティーニ。画像処理の手習い。夕餉は牛タン塩焼と黒豆で焚いた黒米。 NHKスペシャル「イルボンノレ“日本の歌”を歌う」はソウルでのNHKのど自慢の収録にむけての韓国の参加者たちのルポ。戦前の日本統治の頃の人や文化 に対する愛着をもつた76歳の老人は(朝鮮を侵略した国家権力や軍部とは別、と本人強調)朝鮮戦争で大きな衝撃を得て頑なに戦後の韓国受け入れずに生活。 家族とも殆ど会話もなし。老人センターで数人の日本語で話す友人との会話が楽しみ。複雑なさまざまな人間模様。古賀政男の「影を慕いて」をギターで弾き語 りの老人。都はるみを絶唱するオバサン。話は変わる。我らが子どもの頃、未来の建築はなぜ円盤型であつたのだろう。晩遅くヘラトリ新聞29日のPage Twoの記事“Finding yesteryear's house of tomorrow”といふ記事を読んでさう思ふ。手塚治虫の描く未来都市も建物は超高層建築もなぜか高層階は円盤型であつたり一戸建て住宅も、それもなぜ か森林公園の芝生地のようなところに円盤型の住宅があつた。タイトルを思い出せないが、そういう未来都市に住む未来人たちのドラマもあつた。空中都市008で はない。実写モノであつた記憶。でこのヘラトリ紙の記事で紹介されるのは、実際にこの円盤型住宅は1968年にフィンランドの建築家Matti Suuronenにより設計建築されたのが最初でFuruto Houseと呼ばれていた。結果的に普及せず(そりゃそうである、実用性はかなり低い)過去の異物のように扱われていたが、このFuruto Houseの存在に着目したRichard Pisaniなる米国のオトーサンがこのFuruto Houseの保存に意欲見せ私財投入。で昨年ウェブサイトもお目見え(こ ちら)。かなり懐かしい。森林公園の芝生のなかでこの円盤型住宅で暮らせたのは自動車はエ アカーであり人は瞬間移動装置で異なる場所にワープできたため郊外でこうした暮らしが出来たのである。
▼香港公開大学の学長の厚遇。年収400万ドル(約六千万円)。もともと香港公開進修学院といつて社会人相手の教養講座的夜学として1989年に開設され た組織が香港政府の安易な大学増設政策で97年に大学となる。原則は学生からの授業料収入だけの自弁で、公的助成金を受ける他の大学組織とは異なるが実際 には政府は98年から2年間で2億ドルの援助。今年度は950万ドルの赤字が見込まれるが公開大学内外で指摘されているのが学長ら14名の管理職の給与が 年間3,600万ドルといふ厚遇。で学長が最厚遇で年収400万ドル。ちなみに政府の批准が必要な他の大学では香港理工大学学長が同じく400万ドルだが 192万ドルから400万ドルまでかなり幅あり。公開大学の場合は校長ら学校経営者の待遇については大学の運営理事会が決定し政府批准不要のため大学(と いふ名の教養講座)で破天荒なる厚遇となつた次第。大学の研究者や医療関係者などの厚遇は香港の場合、人材流出が激しく有能な人材を徴用する場合、他地域 より厚遇にしないと人材集まらぬといふ事情もあるが実際にはこの公開大学の学長など名誉職的な存在であり年収400万ドルに値するかといえば答えは明白。 公開大学の他に8校の大学全てがそれぞれ似たり寄つたりの社会人相手の校外課程設けているのも無駄な事実。政府は社会人に学習研究の機会広く与えるといふ 名目で八大学での校外課程の拡充認めているが「似たり寄つたり」で重複する課程や運営上の無駄も多いのが事実。
▼董建華の行政長官退職後の厚遇。政府内に専用オフィス、職員の供与、守衛と自宅の防犯警備、専用車と運転手、医療歯科治療補償で〆て年間200万ドル (約3,000万円)の経費を政府が承認。これに元行政長官という公職名、特区章の名刺やレターヘッドでの利用に空港でのVIP待遇。役立たずの長官の八 年に付き合わされた揚げ句に税金がこの老人の無駄な官職に用いられると思うと腹立たしい限り。
▼中環の今では「蘇呆」地区に八十年続いた大配档の民園麺家が政府衛生担当部署の施策によ り本日で閉業(画像は本年六月十九日のもの)。雨のなか閉店惜しむ客が傘さして路上での雲呑麺食す様をテレビのニュースで見る。