富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十四日(土)薄曇。三連休といふのに朝七時に起床。雑用済ませ十時よりN君主宰でハッピーヴァレイ競馬場場内にて土曜日のランニング朝練あり参加。といつてもタクシーで参上では運動にならず。場内のジョギングトラックで走るがどこかしつくり来ず芝コースに沿つたアスファルト道走りだすがそれでもしつくり来ずふと思えばジョギングする人たち時計と反対回りで、つまり競馬の場合と逆。常に第一コーナーの傾斜から1000Mのスタートに当たる第二コーナーのバンク、ハッピーバレーの虎F君命名の乞食岩からアミーゴの谷を経ての第三コーナー、そして直角に近き第四コーナーと常にレース展開目まぐるしく変わるハッピーヴァレイ。やはりそれに沿つて走らぬとどこかしつくりせず。結局、走るといいつつデジカメでコースの写真撮影に終わつた感あり。場内はサッカーする若者多し。気がつけば本日の沙田での競馬開催でハッピーヴァレイも中継あり開場。タイムズスクエアのシティスーパーで元八らーめん食そうかと寄ったが餃子の王将あり初めて食す。日本では有名な店だと聞く。何気なく餃子定食頼めば餃子十二個!に炒飯と玉子スープついて唖然。小一時間走つても意味もなし。期待せし餃子は残念ながら灼くのに油多く用いすぎて閉口。ぼんやり眺めていると余の注文出来上る迄の僅か十分で焼きの担当が三人変わる。これぢゃいけない。銅鑼灣のジムでシャワー。帰宅。雑用片付け、ついサントリー角でハイボール二杯も飲んでいたら午後も遅くなり慌てて出支度。地下鉄で彩虹。タクシーで大老山隧道潜り沙田競馬場。ぎりぎりで地場G1の冠軍一哩競馬に間に合ふ。木曜日晩に成田からシンガポールに向かい今朝シンガポールからこのレースのため駆けつけた『ハロン』のS氏と再会。S氏慧眼でずつと前から「サイレントウィトネスはマイルは難しい」と仰つていたが本当にSWの連勝記録十七で止まろうとは。出走時から安定してハナとつてこのままいくかと思われたが第四コーナー回つていつもの余裕の伸び見られず牛精福星(bullish Luck)に止される。確かにBLのマイルの時計も調教も確実。SWの連勝記録を同厩舎のBLが止してはクルーズ調教師も複雑な心境か。SW馬の馬主ダシルヴァ氏の何ともいえぬ穏やかな表情。日本から参戦のコスモバルク沈没。余の期待の芙蓉鎮も格の差で振るわず。クルーズ氏は記者会見でSW馬は安田記念への参戦取消しと述べたとS氏に聞く。元ニッポン放送アナのI氏夫妻紹介される。一昨年の香港国際でお会いしていたが大人数でお話もロクにせず。かつて香港の花形若手騎手の銭健明君の姿もあり。やはり華のある騎手だが未だ香港競馬には戻れず。気分的に今日の競馬は終わつてしまひ次ぎのレース見て早々に引き揚げ中環まで戻りFCC。結局ここでも競馬中継見るのだが。いくらか回収。ジャックダニエルソーダ割注文せば明らかにコーク割で「可楽だよ、これ」(って噺家の可楽師匠ぢゃなくて中国語のコーラだが)と指摘しても見て「ソーダ割」としか判断できぬ若い給仕、作り直し願えばジャックダニエルソーダ割に檸檬皮ツイストする女バーテンダー。結局三杯。老練なるバーテンダーが懐かしきかぎり。黄時帰宅。搭つたタクシー自動車明らかな遠回り。金鐘から東往のGloucester Rdが海底隧道入る自動車で渋滞の際に銅鑼灣以東に往く車が最も海沿いのConcention街回る間道はあるが土曜の早晩で明らかにGloucester Rdの渋滞もない時にそれをされ「ちょっと運転手さん、なんでこちらを通るのでしょうか?」と質せば運転手無言。彼の表情に焦燥あり。銅鑼灣に出たところでもう一度上品に尋ねるが返事がないので「聞こえていらっしゃいますか?」と質すと「運賃を減らして降りてくれればいいよ」と開き直り。「何を根拠に遠回りしたんですか?」と執拗く質せば「渋滞してるからだよ」と銅鑼灣から海底隧道に入る渋滞を示すので「あれは西行きの渋滞でこちらとは関係ないでしょう。こういう遠回りで運賃稼いぢゃいけません」の話。結局運賃を5ドルまけさせる。競馬場でお会いしたI氏、晩餐にQuarry Bayは太古坊の同楽軒をばすでに予約されておりS氏のお誘いでZ嬢同伴で参る。名前失念の白葡萄酒で開胃。海折頭(折の字下に虫)、素鵝に酔香鴨と皮蛋。酔香鴨と白葡萄酒は秀逸。清炒河蝦仁も白葡萄酒に実によく合ふ。葡萄酒に明るいS氏とI氏は葡萄酒庫まで案内され選んだのがGevrey Chambertinだったかの01年Chensonで料理は特に鼓油鶏が絶品。この料理屋の名物の炒麺は勿論だが「富豪」炒飯も香港で食べた何処の店の炒飯より美味。葡萄酒は豪州のPeter LehmanのMentorでS氏とI氏に言わせれば葡萄酒の高い香港でこの店は「楽天で買うくらい」良心的な小売現価で驚くほど、と。給仕の慇懃さも立派。黒服君が愛想よく葡萄酒の知識も確かで競馬の話となりS氏がシンガポール国際レースで今回香港との往来で、などと話すと「ドバイとかも行かれるんですか?」とS氏の素性まるで熟知したかのような質問。安田記念どころか菊花賞まで知る競馬好きで驚く。葡萄酒の価格設定が低いこと指摘せば「お客さんはみんな葡萄酒の値段知ってるから。高くしたら喜ばない」と。S氏らが馬主だとわかると給仕長の黒服氏まで名刺持参で挨拶に来る(笑)。料理の質の高さと葡萄酒の良心的価格に給仕の見事さでこの店はS氏ら競馬関係で知人ら来られた時の指定料理店となろうこと間違いなし。少し飲み足りずタクシーで銅鑼灣。バーYで智利産の葡萄酒飲み深夜十二時に散会。S氏は明朝一番の飛行機でシンガポール戻り。バーYでチーフのH嬢にこのサイトがあるらしきこと指摘され、先日或るお客さんがご覧になってると聞きました、との事。自ら富柏村とは名告らぬが御存知の方もいらっしゃるか。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/