富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十八日(月)曇。昨日葉巻を吸ってから晩と今朝と二度もシャワーを浴びているのにジムで汗をかいたら葉巻の香りがまだする。すごいことだ。▼東京都知事は不審船が中国から覚醒剤を積み込んで日本への密航を企てたことと日本で覚醒剤が蔓延し若者たちの精神も肉体も蝕みそれが引き金となって凶悪な犯罪が頻発する、この二つを関連させて「これは侵略、戦争ですよ」と語るほどの馬鹿者であるが、保守反動がこれなら中道左派リベラルもまったくの無能であることは同様にて、武蔵野デパート社主でしない堤清二辻井喬として近著『伝統の想像力』(岩波書店)にてセゾングループの飛躍の舞台となった渋谷について「1960年代のはじめから小売・流通・ファッションといったビジネスの中にいた私は、自分が推進してきたのはこうした猥雑な都市を造ることだったのだろうかという不安に捉われないわけにはいかなかった」と堤氏とは対局にいる猥雑な民衆としての若者に渋谷を席巻されたことを嘆いていることを今日の朝日(「生活総合産業」セゾンたそがれ)で知り、どちらもいずれにしてもどうしようもないことに唖然とする。高校卒業生の25%が就職内定を得られぬ状況なのである。大人の責任とは社会に巣立つ若者に就職の機会のある社会を提供することではないのか。それが自らの世代に責任があるのをシナ人のせいにしてみたり(石原)、成熟した資本主義での消費社会の未来図のようなものを描いてみせた一大企業の社主が結局はご破算で今度は作家きどりで社会の儚さを嘆いてみたり(堤)、本当にどちらも情けない姿である。▼Edward Saidは今年に入ってもエジプトのAl Ahram紙で積極的に提言を続けている。今週は、マスコミはパレスチナ過激派によるヨルダン河西岸とガザ地区イスラエル移民40名の死亡と赤十字スタッフの死傷を取上げるが35年に及ぶイスラエルによるパレスチナ不法占拠については語らない。オスロを舞台にした10年に亘る和平交渉が結局は合州国イスラエルの<言語>はこのパレスチナの地面から浮いた世界にあったこととアラファトではパレスチナは和平を得られぬことが明白となっている。サイードは次の世代こそがこの硬直した世界を打開すると希望を述べるのだが……。