富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十九日(火)快晴。水戸っぽM氏と尖沙咀の料理屋K、お任せにて串揚げ、上品なりし揚げ具合にて串すゝみしがお任せは規定の本数ありそれを越えし串は何時ぞやからか単品にて勘定されるを知らず麒麟麦酒を飲み続けしものの二人にてHK$1,200、いくら美味かろうが串揚げは所詮串揚げ、たかだか鮨が高値になりし悪例あれども生の魚(うお)おろすわけでなく季節が魚揚げし天麩羅でもなく、串揚げは串揚げ、遊廓大門の門前にてちょいとつまみし寿司が美味きものと同じく、大阪は環状線の停車場にて立ち食いにてキャベツおかわり随意にと麦酒にて流し込みしが串揚げの美味さ、気取った店にて背筋伸ばして食うものに非ず。気の張った店なれどオシボリが蒸されしどころか水が滴り落ちるほど濡れたればオシボリに閉口難儀、正に空いた小鉢にオシボリ絞り水を捨てし程にて(M氏とさういへば上方はおしぼり濡れ具合甚だしくはないかと文化論)、給仕缶麦酒は栓をきちんと開けぬため麦酒缶より床にドボドボと滴り落ちるも興ざめ。上方は粋と思へど江戸前にては天麩羅は客の具合みて「お好みはこのかき揚げにて最後になりますが」なり寿司も板前「もう少し握りますか」なり声をかければ、この客が止めねば延々と串揚げし様は上方の流儀か、天麩羅ほど具の味の活きぬ串揚げにて揚物が続くも閉口、されど揚げれば食うが坂東の野暮か。いずれにせよ揚げ方との心智合わぬまま店を去りぬ。串揚げといえば梅田は堂島の横丁が立ち食いにて昼より麦酒にて喉を潤し串揚げ二、三本ソース臭く頬張りキャベツにて満腹になるが享楽。帰宅して冷凍庫に凍るAbsolutがウォトカ、盃にて煽るも美味、最近市場に現れし胡椒味のウォトカも亦妙にて味わい深し。