富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

林郑不封關 全面罷工


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武官肺炎疫禍で大公報は(昨日からだが)一面にとても記事書けず無名士の意見広告を載せる。連日、このテーマカラーを変えてが美しい。

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中環で昼となつたが中環なんて昼餉得るにも高値に閉口。昭隆街の永樂園でHK$16の「熱狗」買ひ求め陋巷にて立ち食ひ。中環は街道の名前が比較的といふかかなり英語名が多くて初代香港総督に肖るPottinger Stが音訳で砵典乍街だつたりTheatre Laneが意訳で戯院里だつたり。そのPottinger StとTheatre Laneに挟まれた昭隆街(Chiu Lung St)と利源東街(Li Yuen E St)と利源西街(Li Yuen W St)といふ細い路地は何も英語名は漢字の音訳と中環では珍しい逆転。利源東街は香港で中国人名が街道名になつた初めて。埋立地を手に入れたのが広東省台山出身の金利源で1894年に4階建ての高層ビルを建て街道名が利源東街に。昭隆街は広東省南海出身の大商人・區德(1840〜1920)がこの地で営んだ昭隆泰商店に由来。この通りには永樂園はじめ中環では手頃な価格の食堂やテイクアウトの店が並んでゐて重宝。 


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西湾河は大安樓にある果物やはもう店じまひの時刻で商品売り切れの棚に看板娘。HK$12/lbsとあり。この子なら9lbsくらゐかしら。できるなら買つて帰りたい。

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林鄭が昏刻に緊急の記者会見。公立病院職員ストへの対応か……期待できず。行政会何某成員が口岸閉鎖数カ所増といふ政府予定をリークしてゐたが(明報)たぶんその発表程度か余り期待もできず。会見に現れた林郑、市役所高官率ゐて颯爽たるもの。「マスク着用せず」で宣戦布告感あり。武肺防疫で新たな措置をとるといふが、これは旧正月明けの対応が手緩く、それの方針変更ではなく更なる効果期待の建設的方策と前置き。口岸の一部閉鎖はすでに効果あり。空港除く(つまりほとんどが陸路で大陸との間で)1月29日の入境者は171千人が昨日は73千人と51%減で、そのうち内地居民は62%減の7千人のみ。同時に香港市民の出境も43千人から32千人に減少。それでも連日、平均で7万人が入境してをり3万人の香港市民が出境してゐる現状で香港政府は更に一歩進めた防疫措置をとると。

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何故に全面封鎖せぬか。香港と内地の連携は密接で香港市民が大陸で就業、また家庭がいずれかにある家族の往来もあり食品や日用品などの物流など考慮すれば完全封鎖は困難。「而傳染控制無分種族,難辨認任何一種族存在較高感染風險,需一視同仁」と大陸人ばかりを疫禍で蔑視することの問題まで指摘(その前に香港市民の防疫を優先せよとふのが世論なのだが)。そして在港の各国総領事館に書簡で香港の疫禍発生から今日までの防疫状況に鑑み香港市民の各地での入境制限をせぬやう要請したといふ。そこで更に一歩進んだ措置といふのが口岸の一部閉鎖を増やすといふ。全面封関ではない。本日深夜24時で羅湖、落馬洲と皇崗それに港澳碼頭の4カ所を閉鎖し残すところは空港、深圳湾口岸と港珠澳大橋の3カ所だとする。結局のところ大陸から来港と思へば飛行機か深圳蛇口と珠海からの陸路が開いてゐる。何とまた中途半端な。ちなみに香港の口岸は全部で14カ所ださうで上述の今日で閉める4カ所、今後も開けっ広げの3カ所除くと已に1月30日から閉鎖の口岸は7カ所となり、それが何処かといへば頭の体操で調べずに考へてみたら鉄道站は紅磡(MTR東鐵)と西九龍(高鉄)、陸路は文錦渡と沙頭角(いずれもアタシは未踏)で海路は中港客運碼頭と海運(尖沙咀)と啓徳郵輪碼頭……であと1つ足りず。調べてみると地味ながら屯門客運碼頭あり屯門から澳門(路氹)への定期航路あり。尖沙咀の海運碼頭(オーシャンターミナル)は高級クルーズ船来港の場合のみの口岸設置で定期航船ないため、こゝで口岸には含まないか。閑話休題。結局のところ会見でのネタは上述の行政会何某成員仄かした通り……で林鄭は記者から、この今日の岸口閉鎖追加がなぜ「全面」ではないのか、全面閉鎖を求めてゐるのが医管局の看護師ら防疫の前線で命がけで従業する職員たちと疫禍恐る市民であり、その〈医管局員工陣線〉組織が今日から段階的に罷工(ストライキ)企画してをり今日のこの中途半端な口岸封鎖増加もその圧力に対する多少なりの妥協なのか?といふ辛辣な質問に「この防疫対応の引き揚げは罷工の影響受けたものではない」「員工陣線と対話する意思はない」と断言。また余計なことを。

員工陣線は本日夜までに林郑が完全封関に応じぬ場合、明日の罷工のレベルアップ主張してゐたが交渉に応じぬどころか林郑が記者会見で中途半端な口岸維持に言及し員工陣線罷工に妥協せぬときっぱりに対して医管局総部前に集合してゐた罷工方の職員らは「現場隨即喝倒彩,繼續叫口號,部分人情緒激動,不滿仍未全面封關」は当然で明日から9千人の職員が4日の罷工に入ることを宣言。かうなつてしまふのが林郑の決定的な思慮不足。とにかく姿を現して口を開けば誰彼が不愉快に思ふことばかり。火に油を注ぐ。頭脳明晰で晋三のやうな原稿丸読みかワケのわからない空疎な弁明ではなく見事に言ひたいこと順序正しく整理して話す技量は大したものだが空気が読めず相手がそれ聞いて何う思ふかの思慮に浅い。この林郑の存在こそ諸悪の根元と化してをり、もはや退散いたゞく以外にない。次の行政長官選出となるとまた中共の出しゃばり厄介なのでいっそのこと臨時で妻の責任をとり林鄭亭主・林兆波博士(Dr. Lam Siu-Por)に現任期の残りを行政長官代理で見ていたゞくのは如何だらう。

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林博士は英国剣橋大学の数学博士で主専は代数的位相幾何学だだから、これが何かアタシの頭ではポワンカレなのだが、この複雑な香港の状況をこの数学の碩学なら何らかの理論で対処できるのではないかしら……なんてSNSに書いてゐたら今日の明報で 沈旭暉「給林兆波教授的信:到了「一國兩制4.0」了……」(明報)あり。

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もはや林鄭に誤謬を説き、そのシステムのプログラミングを修正できるのは林博士のみとする。

你當年鼓勵林太當政務司長,但不贊成她參選特首,足見睿智。不少朋友對身為劍橋大學數學博士、曾在香港中文大學當副教授的你寄予厚望,認為唯有你們夫妻的愛,才是挽救香港的最大希望。

このテキストの白眉は林鄭が語る大陸からの来港者大幅減少といふ説明での不正確さについて。

一旦因為人口流動原因令疫情加劇,香港醫療系統的承受能力又是多少……這些,只能讓數據說話。可惜林太的政府從沒有誠實交代數字,卻聲稱「偽封關」已令內地人入境數目大跌「超過九成」。作為劍橋數學博士,相信你對她刻意把內地入境大戶的機場入境數字剔除,並以新措施公布前「14日」這個毫無統計學概念的日期作為比較基礎,定必搖頭嘆息:反正是吹噓,何不乾脆說自她宣布新措施的一秒,和14日前相比,要光有光,立竿見影「大跌九成」?你是香港少數algebraic topology權威,要是你的學生交這樣的功課給你,不及格的可能,九成九吧。

大陸からの来港者数9割減少はなぜ空路の来港者数を含まないのか、14日前との比較に何の科学的根拠があるのか、代数的位相幾何学の専門家として学生がこんなレポートを宿題で提出したら間違ひなく不可だらうと。


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▲医院管理局(HA)の有志が同僚にスト中止して職場復帰呼びかけるメッセージが政府公務員T君から送られてきた。これからふと二二六事件の「下士官兵ニ告グ」彷彿。

プリンセスダイヤモンド號に乗船した香港客の感染は今日になり日本のマスコミも具体的な船籍名や航路なども報道。政府も横浜入港後の検疫など対策を検討。これにつきこのクルーズ船運行する会社(プリンセスクルーズ社)が本日深夜、プレスリリース発表。新型コロナウイルスへの対応について(2020年2月3日付 23:30)重要なお知らせ|プリンセス・クルーズ

プリンセス・クルーズは日本の保健所による検査を実施するためダイヤモンド・プリンセスの乗下船手続きを予定より約24時間延期することを決定いたしました。本検査は1月25日に香港で下船したお客様が下船6日後に新型コロナウイルス陽性の診断を下されたことによる、感染者発見に伴う通常の手順の一環です。なお、このお客様は航海中に本船のメディアルセンターへ診察に訪れておりません。ご乗船中のお客様及び乗組員の安全と健康を最優先とし、私たちは現在日本の保健当局と緊密に連携し検査に協力しています。

といふ文章の独特の筆致が興味深い。日本でかうしたことがあると会社は「この度は世間様にご迷惑をおかけし」的な意味不明のお詫びとなるがプ社のこのテキストには一切「お詫び」がない。現状の事実のみに基づく説明。潔いと評価すべきか「これでいいの?」と苦言すべきか。クルーズ運行側に瑕疵なく香港まで乗船の客が感染してゐたことで当局がとるべき措置に従う「通常の手順の一環」とは。しかも、この香港客が航海中に何うだつたのか?といふ誰もが気になる点について船内の「メディカルセンターへ審査に訪れておりません」の一言で済ます。見事。かうしたニュアンスであるとか「私たちは」といふ通常オフィシャルな文章では使はぬ主語などGoogle先生が翻訳のやうだが何度読んでも面白いテキストである。そして本来は明日出航予定であつたクルーズについての「お知らせ」はテキストはまさに白眉。

ダイヤモンド・プリンセス2月4日(火)横浜港発「陽気に沖縄・台湾クルーズ 9日間」について、出発が2月5日(水)以降に延期されることになりました。それに伴い、ご乗船されるお客様の船内へのご案内も2月5日(水)以降となります。
お客様へはご迷惑をお掛けしますことをお詫び申し上げます。

このお知らせで「陽気に」といふ勿論、正式なツアー名とはいへ「日本人の日本語的には」こゝでは憚られる言葉。「延期されることになりました」といふ表現もまるで他人事でクール。本来であれば「延期せざるを得なく」だらう。「ご乗船されるお客様の船内へのご案内も」も乗船日時確定のお知らせと実際の乗船のご案内の曖昧さが何とも。

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ダイヤモンドプリンセス号


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医療従事者が企図してゐる明日からのストライキが何うなるか。林郑との面会要望を林郑は拒絶。武肺の防疫が話題なのだが林郑への要求には労働組合が五大訴求に対する回答も求めてゐる。反修例風暴は新たなステージに突入してゐる。 

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先月10日に深圳に数時間滞在した80歳の香港市民、先月17日に東京に飛び20日に横浜発のクルーズ船に乗船、鹿児島経由して25日に香港に到着し下船。30日に発熱で状況安定してゐたが一昨日、武肺感染を確認(本日の明報)。19日には日本滞在中に咳の症状あつたさう。このクルーズは陶傑先生も参加してゐたもので陶傑先生が武肺から遠い遠海で日本からのクルーズがいかに快適だつたことかと蘋果日報に綴つてゐたが(この日剩でも紹介)実はそのクルーズ船でも武肺があつたとは。

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香港の80歳が新型肺炎 クルーズ船で横浜から帰国 これを日本のメディアも香港電で報じてはゐるが明報はこのクルーズ船がダイヤモンドプリンセス号であることまで報じてゐるが日本ではそこまで記事で言及せず。何ゆゑに。本来であれば、そのクルーズ船を確証した上でダイヤモンドプリンセス号は香港からベトナムを回つたあと明後日(4日)に横浜に帰港することまで報じるべきと思ふのだが。

同船有七成半至八成搭客為日本人,兩成為其他國家旅客,亦有香港旅行團,另有數名操普通話的年輕人,其間沒留意到有乘客咳嗽。

しかもこのクルーズ船は4日に横浜帰還後、当日からまた次のクルーズへ。横浜・神戸発着!陽気に沖縄・台湾クルーズ|プリンセス・クルーズ とても「陽気に」とは言つてをれぬ疫禍なり。


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新型コロナウイルスへの対応について|重要なお知らせ|プリンセス・クルーズ

今回の武肺に対する対応に異常なものを感じざるを得ないところだが、それでも感染があるのは事実で日本の武肺に対する防疫の甘さ。近隣諸国のなかでベトナムとフィリピンが中国からの旅客扱ひ、殊にフライトについて運休決定など徹底した防疫体制を敷いてゐるのが興味深い。ベトナム中共と同じ共産党一党専制社会主義国であるが中共と越共には中越対立など痼りあり。同じくフィリピンも海洋占有問題で中共とは対立。かなり政治的な背景もありやなしや。 


TBS【サンデーモーニング】「新型コロナウイルスにどう向き合う?」鎌田實 さすが鎌田實先生の見てゐて喉の溜飲が下がるやうな解説。「自分の身体は自分で守れ」それが防疫につながる。手の接触感染のリスク。「心配しすぎるな」。武肺だけではなくインフルエンザ(の感染症も含む)ですでに8.2千人の死者あり(これは今年になつて?日本で?)。濃厚接触が危険。濃厚接触は2mで30分の場合。そして何よりも健康に関する、命についての読み書き教養の「リテラシーをあげること」病院に診察待ちで溢れ阿鼻叫喚はひどい。そして〈差別〉をしないこと。ハンセン病結核でその過去あり。


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外を無防備にふらふらすることも憚られるやうな世の中。どこに武肺のウイルスあるかはわからぬが蛇も怖い。食料品屋の店猫はまさに連日、命がけでネズミ退治をしてゐる。


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武肺の疫禍不安での物不足が深刻といはれる。市中からマスクに加へアルコール系の消毒関連品など消えてゐるのは事実。また自宅籠城に備へ食料品の買ひ込みもあり超級市場や食料品店で見事に米が品薄なのは、さすが華南は米食文化なのだと思ふが、それを除けばどの食料品も十分に棚に並んでゐる。けして食糧危機のやうな状況ではない。

香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ

香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ

 

昨晩、土曜日の夜だといふのに先月24日だかに日本のアマゾンに注文した荷物が届く。日本から中国へはマスクの大量送付が影響して郵便のEMSなど受付も制限するほどの混乱と配送遅延ださうだがアマゾンは順調に届いた。日本から空輸で送料は860円。土曜晩にこれ一つ届けた宅配業者にどれほどの利益があるのか。かなり薄利の厳しい業界だと思ふが、この恩恵を享受。注文したのは先月24日だつたことを思ふと、ついでにマスクも注文したら入手できてゐたかもしれないが已に遅し。だがアタシはマスクを積極的にしてゐないのも事実。この荷物で倉田先生ご夫妻編の『香港危機の深層『逃亡犯条例』改正問題と「一国二制度」のゆくえ』(東外大出版)も届く。とても充実した内容。昨年末ぎりぎりまでの状況把握で見事な内容。ことに倉田徹教授の第一章は英国領の時からの政治状況から今日の逃亡犯条例がどういふ「政治構造の危機」に至つたのかを昨年11月の区議会選結果まで詳細のデータまで含め現時点でできる最大の分析をされてゐる。敬服。60頁ほどのテキストを読むのに熟考しながら数時間を要した。

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大澳に遊ぶ


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香港が大陸からの「封關」せぬことで香港は中国の一部であるから各国で中国に対する交通遮断等の措置で「香港も含む」になりつゝある。香港市民は“Je ne suis pas chinois”と叫びたくとも。越南が香港とマカオを含む中国とのフライト運休を決定。感染した国や地域を「赤」で示す地図では連日の拡散で世界中「赤化」してゆくのがまるで毛澤東思想席捲のやう。世界第2位の大規模經濟体である中国がこれほど世界に疫禍もたらすこと。世界の常識が全く通用しない中国の特色ある全体主義。当然のやうに黄禍論が現れる。

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本日土曜日で朝イチにFCCに周末の新聞読みに赴くと、いつも閑散としてゐるのに今朝はずいぶんと賑やか。ビュッフェもあり。何事かと思へば英国のEU離脱が31日のブリュッセル時間24時で英国は23時、それが香港で今朝7時で、それをテレビ中継で見ながら祝ひ悲しんでゐたやう。ゲストは英国人ばかりで他の欧州人は呆れて土曜早朝に英国人の面など見たくもないか。

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家人と10時半の船でランタオ島の梅窩へ。快晴。 


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12月の下旬も梅窩に来たが今日は梅窩からすぐに路線バスで大澳へ。正午過ぎに大澳につくと普段なら土曜日の昼すぎならかなり遊客で賑はふ大澳も閑かなもの。これくらゐの静けさがとてもいゝのだが。 


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いつも昼食に寄る大澳蓮香酒家が街道であれ見当たらない?と思つたら建物かなり壊しての改修中。かなり老朽化してゐたので旧正月前に閉めて、の工事なのだらうが疫禍で客足もパッとしないなかでタイミングは良かつたか。家人の発案で近くの横水渡小厨はかなりの盛況で鮮蝦乾荷葉籠仔飯を頬張る。


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食後の甘味は大澳飯店の沙翁(揚げパン)は美味。快晴で店猫たちも日向ぼっこ多し。


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〈茶果財〉 で紅豆糯もいたゞく。大澳の郵便局や旧・消防署のある石仔埗街には日本の神社模したのか桜と絵馬がありアート系のへんなモニュメントなどところどころにあり。


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午後3時の東涌行きの船に乗る。最初乗船はアタシら2人だけで愛想のよい乗員も苦笑してゐたが数名増えて出発。何度も乗つた航路だが港澳珠大橋のまだ工事中で、この橋がきちんと架かり開通後は初めて。橋桁一つ/\に釣り人あり。空港への離発着の飛行機眺めつ東涌へ。武肺など何処の話かといふやうな明るさ。


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東涌から大仏へのロープウェイも運休中。東涌のMTR站や商場を遠巻きにして東涌公営プールの前のバス停から天后行きのE12系統に乗る。空港から市街直行はAでEが東涌経由。バス停の広告は尽くスプレー書きで汚される。


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日曜日でもソフィア陳肇始がメディア対応で週明けに予定される医療従事者のストに対して前線の職員の心労を思へばと思わず涙。この人は元々、自身が看護師でマンチェスターやハーバードで公共衛生学専攻し香港大学の博士で公共衛生学の専門家。政府の医療政策のアドバイザー的に活躍しCY梁が行政長官のときに食物及衛生局の副局長で入局、林郑で局長となる。反修例風暴でも当初は立場的に距離があつたが暴警の催涙弾が医学的に身体に影響あるか?で問題視せぬあたりから批判の的となり、そこに武肺に襲はれる。

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香港市役所が防疫で今度は九龍・美孚の翠雅山房(Heritage Lodge)を暫定的に隔離施設にすると発表したことで美孚新邨の団地住民が急な決定に反発し抗議。それに勇武派集まり抗議活動がレベルアップし暴警出動で夜半まで抗争となる。

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美孚地区選出の区議会戯院(公民党)も警察に身柄拘束されるなか美孚新邨の警備担当する民間警備会社の一警備員が暴警の集団を前に対峙して美孚新邨は私有地であり警察進入は住民の反発くらひ住民感情逆撫で混乱になるからと身体を張つて警察を説得、警察の侵入拒み警察も退散。住民らこの警備員に喝采をおくる。

武肺蔓延のX地域


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林郑が大陸との「封關」断行せぬことに医療従事者、業を煮やしこのまゝでは週明けに罷工実施。公立病院では看護師らの1割が罷工に参加で防疫ばかりか緊急医療にも支障ありといふ。例年越冬の季節は通常の(じつは武肺より深刻な)流感だけでも対応が深刻なところ武肺で大陸から不特定対数来港で感染者ありでは医療機関での感染リスク高まるばかり。なぜ「封關」せぬのか、と。これに対して医療従事者が職場放棄とは!と倫理問題として批判する意見もあるが医院管理局トップも香港大學の免疫学の碩学・袁教授も医療前線に企つ看護婦らに同情的、その恐れに基づく罷工であり一概に非難されるものではないと。

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 「封關」には応じぬ林郑はせめてもの火消しにと「即時開始非本地居民出現武漢肺炎症狀就診都要收費」と大陸から香港に武肺での治療目的ででも来やうものなら医療費免除せずと宣ふが香港市役所の官報によれば「病人患上或懷疑患上現行〈國際衞生條例〉所列疾病,入住公立醫院毋須繳付醫療或住院費用」とあり。WHOが武肺で「緊急事態宣言」となれば林郑のこの費用徴収は能はず。(沈旭暉 20200131)

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そこで武肺はどれほど深刻なのか。武汉での深刻な状況を映像で見せられると怖いものがあるが感染者数こそ多いものゝ「最悪のケース」でも中国での死者は1,000±500で「一般可能」な状況で300±100であればSARS以下。香港も10〜20人の死者ではSARSの299人に比べ1割にも満たず。気になるのはX地域で中国大陸以外で疫禍爆発の可能性のある地域でタイ、日本はその可能性かなりあり(2月1日に感染者数で日本はタイを抜きトップに)。


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政府関係が今週いつぱい臨時閉鎖をきめこんでしまつてゐるので郵便局もやつてゐなければ郵便配達もない。それに対して銀行は開いてゐるが来週は営業する支店の数を減らすといふ。それに対して小売店はどんなことがあつても営業し続けなければならない。銅鑼湾で昼に長蛇の列に何事かと思へばマスク特売で200mくらゐの列で「もうここまで」で打ち止めの看板持ちも立つてゐるが、それでもあきらめぬ人が先まで並ぶ。

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昼に東京渋谷だかに本店のある「俺流塩らーめん」の銅鑼湾世貿店で塩らーめん。「俺の」とか「俺流」と屋号にする飲食店入つたのは初めて。あまり好きなネーミングぢゃないが香港で「とんこつ」でないラーメンに惹かれて。熱々の美味しいタンメンが食べたい。私設読書空間の〈打書釘〉に寄ると(公立図書館は臨時閉館続けてゐるが)こゝは入場に際してマスク着用でアルコールで手の消毒、換気のため窓は開けてゐて人数は15人が上限とするが今まで数回の利用で他の利用者に遭遇したことはない。こゝではマスクして入場したが物静かなスタッフと少し話してゐると「マスクはちゃんと入手してゐるのか」「マスク販売の情報はネットとかに中文でしか出ないので情報が入らないのではないか」とあれこれ指摘され何かと思へばアタシがしてゐた黒いポリウレタンのマスクで、これではウイルス防疫にならぬといふ。本人は安っぽいサージカルマスクをしてゐる。それなら防疫に効果があるのか疑問だが、いずれにせよ狭い館内で微妙な距離を取られ気が散るのですぐにそこを離れる。逃亡犯条例もさうだつたがこの武肺でもお互いの認識差異で余計な関係の拗れが生じる。


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太古で康怡側の高台・西灣臺のあたりで「行き止まり」がいつくかあり。以前にジョギングしてゐて気になつたがいくらデレデレでも走つてゐるとさすがに立ち止まり写真も撮らなかつたが今日、通りかかつた。赤瀬川先生のトマソンを思ひ出す。 


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ジム運動するときにマスクを着用している人も少なくない。それどころかシャワーでスチームサウナでまでマスク着用には恐れ入るといふかむしろマスクが菌床になつてしまひさう。武肺疫禍で身体のアルコール消毒が必要。太古坊の白耳義酒場 Fritesでレフ啤酒(ブロンド)飲む。何事も「安全のためなら多少の不便も致し方ない」といふ民草のものわかりの良さが怖い。

(荻上チキ Session-22)特集「激突のあった香港中文大学では何が起きたのか?」TBSラジオ 先週末にチキさんが倉田先生と来港されて中文大学で取材などされたものが昨日から2夜連続で放送され、それをまとめて聴く。中文大学のK先生の案内で日本からの留学生数名も同行で11月中旬の「ニノ橋」戦役の現場などから。ラジオで実況中継といふのは難しいとは思ふ。それでも野球や相撲でも実況中継が成り立つのは状況と結果を一刻も早く知りたいから。戦争でも越南戦争の現場からとか……これは当時、映像もなく新聞の報道は遅いから。それに対してすでに嫌なほど現場の映像まで見た「戦役」について現場からの言葉での中継はかなり難しいところあり。中文大学のなかで地元の学生と反修例の日々をシェアしてきた日本人学生は香港の地元学生の政治意識の高さに「内に秘めている不満を街で声に出していいんだ」といふことを学んだといふ。そのやうな言論の自由は日本でも憲法に認められたものでデモも合法的にで出来ることなのだが……それすら日本で若者の意識では封じられてゐるのか。数年前にもSEALsのやうな動きはあつたが今の一般的な若者にとつて街でいいたいこと叫び、そのために行動起こすことなど何れほど躊躇はれることなのか。それが香港であれだけ行動伴ふ政治運動となつたこと。それも一昔前までノンポリどころか子どものやうに幼稚だつた香港の大学生が。社会が若者を政治的にする。それにしても、あの大学での暴警と武勇派との抗争のそも/\の発端は何だつたのか。市街で続いてゐた反送中の抗議活動と警察による鎮圧が大学に移つたこと。中文大学K先生が披露してゐた「反送中も抗争が長期化して打開もなく区議会選前のタイミングで何かが仕組まれた」といふ見方。具体的には大学敷地から隣接する鉄道や幹線道路に障害物落とし交通封鎖の実力行使に出たことで武警がこれの防衛に出て勇武派がその武警進入に抗議激しくなつたことだが、やはり何かの演出があったのだらう。一寸したことだが学生さんの「共産党に対する不満」といふ物言ひで、これは中国共産党とか中共(これは今は日本のメディアで自粛される表現だが)、中国の党政府といつてほしいと思ふのは自分が実はアカだからなのかしら。2日目の(今晩の)放送には日本語堪能な沈・区議会議員や香港の「民主の女神」アグネス・チャウ出演。香港は2003年のSARSから何かを学び、それが今回の武肺で対応に効果は?といふチキさんの問いに沈先生曰く「あの疫禍で経験から学んだものは多く香港市民の衛生意識は格段に高まつたが、あれから16年、今まで日に150人もの〈新移民〉が大陸から香港に移民してをり「新移民の衛生感覚の低さ」が災ひして香港で疫禍が深刻になる」。新移民はマスクをする意識がなくクシャミするときも大袈裟で……。あまりの極論に驚くばかり。アグネスさんも日本語が格段に上手になつてゐるが自論が「香港では市民がみんな」になつてしまつてゐるのがちょっと耳に障る。

農暦正月初六


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武汉から来港の老夫婦武肺患者で香港にて隔離されるまで六日間「播毒」かと騒がれる。宿泊は尖沙咀の九龍站上にあるW Hotelの高層階、そのあと同じ開発区の摩天楼ICCにあるRitz-Carlton Hotelに移らうとしたが武汉者といふことで宿泊能はず香港島に渡り中環のFour Seasons Hotelに下榻のところ数時間後に商場悪化での搬送。武汉疫禍のなか香港に来て超高級ホテル連泊で富裕層かと思へば娘が香港在住。その娘を「新移民」と呼ぶメディアもあるが娘は上海系証券会社の投資職で住まひも油麻地の御金・國峯(The Coronation)といふ名前も何とも成金ぽい高級マンション住まひで香港にて中国資金動かす我が世の春。この娘が両親を疫禍の武汉から香港に迎へ急正月でもあり両親のホテルに同居。でこの娘も本日、感染見つかる。実に今の大陸の金満と香港の関係がよく表れた事例。

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毎年、春節直後は食料品や生活用品の供給が滞り小売店は品薄に。今年はそれに武肺が災ひして市民の漂白剤や消毒液、食料品の買ひ求めに拍車かゝり超級市場はかなりの品薄に。 


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先週、香港市役所が感染者と接触した医療関係者などに感染の疑ひある場合、一時的にそれらを収容し経過観察する施設を深圳に近い粉嶺の新築で未入居の団地建物で対応と発表のところ付近に万単位の住民ゐることから地元で反対運動が起き、これは建制派も民主派も議員の意思が一致し政府もこの計画を止むを得ず中止に。それに対してLIHKGのサイトにあつた意見だが「禮賓府旁咪有間廢置醫院 可以做隔離中心」といふ意見。港中醫院(Hong Kong Central Hospital)は1966年に創立で数年前に閉鎖となつた私立病院で中環の一等地にまだ建物がそのまま(写真下)。そこをその一時観察施設に転用すればよいだらうと。名案。林郑官邸に隣接で林郑による慰安、見舞ひにも便利である。

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今日の信報・林行止専欄が指摘してゐたがSARSと今回の武肺でウイルスの意欲も違ふのだらうがSARS疫禍で広東省は当時、1日の鉄道利用者が20万人そこ/\だつたのが今の武漢は45万人だとかで高鉄網も整備著しく人々の移動頻繁で而も旧正月に当たりSARSのときに「広州脱出」はなかつたが今回の500万人といふ武汉脱出劇。海外への飛行機での渡航者はSARSの時に中国全体で日に3〜4万人だつたのが今では20.5万人/日(2018年)なのだといふ。これほどの〈交通〉で疫病が広がるはずがない。


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そのやうな状況では防疫のためヒトの移動を制限するしかないのだが林郑(写真左上)は中共との往来を完全封鎖に応じない。

特首林鄭月娥任內除咗搞出反送中運動,佢處理武漢肺炎嘅手法,亦差到連著名堪輿學家楊天命都忍唔住冒住風險向中共國家主席習近平上書進諫,要求盡快炒林鄭魷魚。

林郑に勝るとも劣らず悪相の葉劉(写真右上)も大陸との交通封鎖に反対で禁マスク法貫徹の意識表示か立法会の防疫討論でも頑なにマスク着用せず。顔が怖いのだからマスクしてほしい。林郑と葉劉の悪相をお札にして貼つておけば武肺ウイルスも怖がつて撤退するのでは?といふ気もしないではないが見てゐたくない悪相なり。


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(左上漫画)香港の行政長官は初代・董建華基本法23条に基づく国家安全立法反対の50万人デモに倒れ二代目の貧官曽は任期こそ全うしたが退任後に収賄で逮捕され三代目の党員梁は雨傘運動に遭遇で1期で退散。さて林郑は如何に。(右上漫画)武肺で防疫のため中国との交通封鎖手段取らず中途半端でマスクも半分だけの風刺。 


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各国の武肺防疫の対応を見れば中共と陸続きの香港の対応がいかに不十分かは一目瞭然。日本も言わずもがな。香港が感染例12に対して日本が14なのである(1月31日現在)。 

▼外をふらふらすることも時節柄憚られかういふときは陋宅にて静かに読書に限る。中島恵『中国人は見ている。』 (日経プレミアシリーズ)  はタイトルと何だつたか内容紹介の文章からして日本との往来頻繁となつた中国人が日本の習慣などを見て奇妙に思へることを面白可笑しくかいてゐるのだと思つて読み始めたら逆で中国に明るい著者が中国人の習慣や風習などを興味深く書いてゐる内容。それも何も知らない読者には興味深いことも遉がに中国人との付き合ひも長くて読むとあまり目新しいこともなし。その上で読んでいていくつか「ん?」と首を傾げるところも散見される。

中華人民共和国になってからもお茶は飲まれていたが、文化大革命の際、贅沢品の象徴として弾圧され、栽培が制限された時期があった。以後、お茶文化は香港や台湾にも広まり、現在では中国の福建省や台湾でさかんに栽培されている。

中国人の茶文化につき「中華人民共和国になってからもお茶は飲まれていたが」といふ表現もさうだし文革の混乱の「以後、お茶文化は香港や台湾にも広まり」とはあまりに不正確。香港や台湾の茶を好んで飲む習慣など昔からのことで文革後云々はない。広東人はプーアール茶を朝の飲茶の際など「1回の食事で50杯以上は飲んでいる」といふのも余りに誇大な表現。サントリーの烏龍茶で1990年代のテレビCMについての言及でも、1992年の話なのだが「当時中国に行く日本人はまだ多くなく、天安門事件後で日系企業も少なかった」と書いてゐるがこれも事実として何うか。訪中の日本人旅客数はさっと調べてみたら1992年は58万人で、その後増加の一途を辿り2010年の360万人をピークに、こゝ数年は250万人。確かに今に比べると1992年は少ないが、その年の海外渡航者数は1,179万人で行先が中国は4.9%である。これが2019年は海外渡航者数が1,895万人なので中国行きは13.2%と確かに中国行きは増えてゐる。しかし80年代から中国で外国人のなかでは日本人は多い方で1992年にはもう日本にとつて中国は竹のカーテンの向かふ側ではなかつたはず。「天安門事件後で日系企業も少なかった」といふのは天安門事件でビジネス引き揚げた日系企業などかなり少なかつたと思ふと、この表現も疑問の余地ありである。

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春節休暇延長


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今日は正月明け。だが市役所は今週末まで正月休暇延長を決め公共施設は閉鎖。これに倣ふ民間企業も多し。それに対して小売店は平常通り営業せねば商売にならぬ不条理。外を歩くとマスク着用の市民多数。マスクせぬのはオヤヂ連中か外人だけなのはSARSの時と同じ。何より大切は頻繁な手洗ひ。不用意に手で目、鼻と口を触らぬこと。トイレで手洗ひも普段なら水で手を濡らす程度なのが石鹸で几帳面には大切だが男性の場合はことに小用の後より小用前の手洗ひではないか。こゝ数日、最低気温摂氏11度の「厳寒」なのにバスなど「防疫で」かがん/\冷房に凍えて風邪ひきそう。

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香港市役所で武肺専門家顧問団に任命され陣頭指揮の梁卓偉医師(香港大学医学院院長)の眼鏡は何うやら白山眼鏡店謹製。正月初一の記者会見でマスク着用してをらずマスクでの防疫には限界ありといふ発言が批判され「軽率だつた」と謝り昨日の記者会見では市役所高官らとともにマスク着用。この医師はかなり信頼おける。

港大醫學院院長梁卓偉教授說的,應對瘟疫只有一種態度,就是科學的態度,其餘全是廢話,尤其是「政治考慮」,最助紂為虐。(李純恩)

武漢の邦人206人帰国 機内と到着後検査 4人都内の病院に:朝日新聞

日本政府による武汉からの邦人救助は渡航費用8万円だとか早朝に羽田到着で肺炎症状ない帰還者はそのまゝ朝の通勤通学ラッシュの公共交通機関に乗るのかとかネットでも散々騒がれてゐるが、これもANAが手配したフライトは昨晩遅くに羽田を発ち深夜に武汉着で未明に武汉発ち羽田に還ることでパイロットや乗組員が現地滞在せず往復できるぎりぎりの時間配分であること理解すべき。

▼今回の武肺対応で香港が澳門に比べ対応後手/\に批判多し。

有泛民中人認為,林太不願宣布封關是與中港矛盾有關,但認為平日處理民生問題「慢幾拍」的澳門,今次面對疫症亦雷厲風行,強調港府遲遲無作為、致有內地人來港「搶資源」,甚至與港人出現衝突,只會令中港矛盾更深。(李先知、明報)

澳門は行政長官が疫爆後の記者会見で今年に入つてからの大陸からの入境者数のうち武汉からが何人で何ういふ対応したか全てデータ手許に明確に答へたのに対して林郑外遊中の香港政務司は数字の用意もできてをらず。

為了應對肺炎,香港和澳門在各口岸都實行旅客入境健康申報,但早於上周,澳門已可供電子健康申報,但香港至今仍是紙本,那不單是不環保的問題,更關係到追蹤個案時爭分奪秒的效率。另外,陳肇始周一在電台節目中承認,旅客是否去過湖北,要靠他們誠實申報,不知她是否知道,其實大陸鐵路訂票有個叫「12306」系統,且如今大陸訂票用實名制,乘客是否路經湖北,其實是可以一清二楚的。(蔡子強、明報)

香港に入境は口岸や空港での渡航者による問診票記載と検温だけなのに対して澳門は予めネット上での健康カード記載ができて対応は迅速。中共では鉄道利用も実名制でネットの「12306」系統での切符購入なのだからデータさへ掌握できてゐれが誰が武汉からなのかも一目瞭然のはず。さうしたIT化した社会のノウハウが防疫で全く役にたつてゐない現実。
▼信報で林行止専欄が面白い話を披露してゐる。印裔の経済学者Amartya Sen(1998年のノーベル経済学賞)による2013年の小論“Press freedom: what is it good for?”で指摘してゐるのは生活環境が「污糟邋遢遍地糞便」と劣悪な印度に於いて何故に大規模な疫病がPandemicに発生せぬのか。

不可忽視的原因為印度有絕對的言論和新聞自由──沒有新聞檢查,坊間一旦發生怪病奇症,蟻民奔走相告,消息瞬間傳遍全國,驚慌失措的民眾藥石亂投、求神拜佛、爭相走避,瘟疫遂無法「流行」!

印度には報道の自由があり何か疫病でもあればすぐに発生から実情が報道され人々は疫病蔓延にヒンズー神への加護求めることも含め即時対応が可能なのだといふ。それに対して中共では2003年のSARSからの反省善処も足りず昨年12月以来、ネットで武汉疫禍を呟いた者は身柄拘束され当局はデマに惑はされるなと叱り国家政府の医療水準は高まり過度の心配を抑制。李克強総理が武汉入りして現地の関係者励まし「党政府の指導の下」と精神論的世界に陥つてしまふこと。香港政府も市役所職員を頻繁に中共に送り「合作」に忙しいが学ぶのは政府プロパガンダ的な観念の世界。それに対して澳門は一昨年の台風被害のあと小役人を多く中共に送つたが学ぶのは災害の際の実務的対応のノウハウで今回も疫禍深刻のあと一早く対処したのは隣接する珠海市政府との跨境者で肺炎疑ひある者を何う扱ふかの実務であつたといふ。香港市役所は深圳市政府とそれもまゝならず。 

▼武肺で中共も危ないが我が国の首相のこれを見ると日本のほうが段違ひにヤヴァいのではないかと思ふばかり。桜を見る会で後援者は「募集」なのか「募る」なのか以前に防疫のため指を舐めてはいけない。

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正月初四


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香港市役所は遅ればせながら内地との交通管制を敷いてはみたが全面拒絶ではなく武汉のある湖北省以外からの旅客は少なからず健康状態の自己申告では虚報も多し。

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香港市役所は林郑以下関係幹部記者会見で明後日(30日)から高速鉄道と在来線の廣九鉄道の鉄道運行を当面中断と発表。明らかに後手/\。記者会見に列席の林郑市長以下これまでマスクしてゐないと非難されマスク着用。反修例風暴でマスク禁止法出した手前、マスク着用すれば「ほら見たことか」と嗤はれるの確かで不着用に拘つたか。今日は林郑と衛生局長のSophia陳肇始博士は二人とも白衣ならぬ白色のジャケットでお揃ひ。こまどり姉妹か。

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武漢市長稱封城決定非常艱難 願意「革職以謝天下」 - RTHK 武漢で市長と湖北省省長ら記者会見で武漢肺炎の状況につき釈明。気になるのは中共は党が政府、司法や軍、公安を指導する立場であるとしつゝ省や市でも人民政府より遥かに権限のある党委が存在するのだが、その湖北省や市の党書記が一切かうした会見等には出てこぬこと。これは行政の職責であり党は免責か。それでも武漢市長が自らと党書記は今回の疫禍については「革職以謝天下」(辞職で社会の許しを乞ひたい)と述べ間接的にだが武漢党委の責任に言及。これにつき武漢党委書記の合意は取れてゐるのかしらと気になつてゐたら

“这一点大家要理解,因为它是传染病,传染病有传染病防治法,它必须依法披露,作为地方政府,我获得这个信息以后,授权以后,我才能披露,所以这一点在当时很多人不理解。”

武漢市長「権限なしに情報公開できぬ」 政府の責任示唆:朝日新聞

と釈明。それが中央電視台のニュースで流れる。武官肺炎も政治的に文革での権力闘争のやうな色彩を帯びてゐるのか。


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正月も四日目で日曜挟んだため香港は今日まで祝日。家人と出街すると団地の花壇に植物名の表示は親切だが「福建茶」では「摘んでください」といつてゐるやうなもの。薬局にはマスク買ひ求める客の列。 

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中環から歩き始め文武廟参拝。門外に長蛇の列。傍門前の香燭屋への列でやり手さうな女が仕切る。横を通り抜けやうとすると「列に並んで!」と叱られるが正面の門からは出入り自由。香燭屋がいゝやうに参拝客騙くらかす神仏恐れぬ手段。


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太平街から東華三院に向け歩く。この一帯はかつてペスト流行したことろ。それを思へば武汉肺炎もまだおとなしいか。 


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西營盤から皇后大道西を石塘咀に向けて歩く。泰通超級市場は大手スーパーに負けず地道に営業続ける。店猫を愛でる。


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石塘咀はかつて西營盤の水坑口にあつた淫賣宿が都市化で追ひ払はれこの地に集まり戦前は「塘西風月」といはれた場所。日本橋人形町にあつた吉原が日本堤の新吉原に移つた如し。高級遊女おいた「大寨」に対して二四寨(二銭、四銭の安値で遊べたゆゑかう呼ばれたさうな)多し。戦後は二階建ての娼宿もすつかり取り壊され面影もなし。家人が石塘咀の南里の崖に戦時中の防空壕など廃墟ありといふので今までそれを意識したこともなく改めて出向いてみる。香港大學の拡張した新キャンパスの崖下。駐車場の奥にかつてこゝにあつた建物の外壁が残る。裏手の外壁だけ残したのは崖が混凝土で覆はれ「整備」される前に大雨での鉄砲水、落石倒木への防ぎであらう。
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香港大學に上がる電梯を少し上がり、その建物残壁の裏手を除くと野良猫に餌をやる夫人二人が眺められ、その崖下に入る。防空壕はすでに入り口塞がれてゐるが、いくつも入り口あり。


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その猫に餌やる婦人に話かけられる。この駐車場になつた建物に20年前まで住んでたさうで崖には戦後、バラックが建てられ臨時家屋に住民も多し。それが撤去され崖崩れや倒木も深刻で混凝土で整備されたといふ話を聞く。その猫に餌やる婦人に話かけられる。この駐車場になつた建物に20年前まで住んでたさうで崖には戦後、バラックが建てられ臨時家屋に住民も多し。それが撤去され崖崩れや倒木も深刻で混凝土で整備されたといふ話を聞く。南里には何度か寄つてゐる閑かなパブあり啤酒飲みハーバー沿ひへ。こゝには石塘咀のトラム車庫ありトラム線路の分岐好きには聖地のやうな線路分岐が眺められる。 

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