富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

東京建築祭と小澤征爾師お別れ会

辰年四月十九日。気温摂氏13.5/24.5度。晴。昨日から開催の第1回東京建築祭の2日目に家人と出かける。神田駅から鍛冶町の丸石ビルヂングへ。昭和の初めにこんなロマネスク様式の高層ビルが建てられようとは。

「特別公開」はこの丸石ビルの場合はロビーだけだが別に各見学先とも「ガイドツアー」なるものあり。そのツアーは予約制で建物の内部まで専門家の解説付きで案内してくれるものなのだが各所毎に3千円だかの参加費かゝり余程ピンスポットで「こゝだけは!」といふことでなければ幾つも周遊したらとんだ散財になつてしまふ。

f:id:fookpaktsuen:20240527094836j:image

この丸石ビルのロビーを見るだけでも午前10時開始で50人くらゐは並んでゐる。アタシらは少し早めに着いたので3番目だかだつたが。折り畳み椅子持参で正解。

この建築祭のスポットも面白いが普段歩いてゐない街中で偶然に発見するスポットの方がむしろ面白かつたりする。

f:id:fookpaktsuen:20240527094912j:image

日本橋本町の刷毛とブラシの江戸屋は店内でご主人が説明までしてくれるので長蛇の列で1時間は待つかしら。通常営業のときゆっくり買ひ物に来ればよいか。かうしてスポットをまはり散歩してゐるだけでも楽しい。神田から日本橋までかうして路地から路地へと歩く機会もない。

道路角の商売家でも近い将来取り壊されるのを待つ建物もあれば見事に再開発で高層ビルの一角に収まる古い建築もあり。

f:id:fookpaktsuen:20240527094758j:image

何気ないモダニズム建築もあちこちに残つてゐる。両側がマンションやオフィスビルになつてゐることで「再開発」から取り残されてゐる。

日本橋では、といふか今日は中央区で地元の住民らによる路上清掃活動が実施されてゐた。画像(左)は室町の蕎麦砂場の前にて。日本橋はいくつかの飲食店で昼前からの行列。かなり大多数が海外からの旅行者。広東語と台湾国語がよく聞こえる。

昭和通りを自動車で江戸橋を渡つたことはあつても日本橋ダイヤビルディング(左)をかうして見上げるのも初めてだし兜町東京証券取引所だつて兜町で初めてこゝにあるのだと見上げた。

f:id:fookpaktsuen:20240527094949j:image
日証館ビルディングも見学の行列は100m近いのではないかしら。本日都心の気温は摂氏26.6度。とても炎天下で行列に並ぶ気もせず。茅場町から日比谷線で築地へ。

f:id:fookpaktsuen:20240527094915j:image

聖路加病院だつて敷地内に入つたのは初めてだつた。

築地カソリック協会は午前中は日曜日のミサ挙行されてゐて東京建築祭の見学は午後1時から。結局、今日は最初の丸石ビルを除きすべて外観のみの見学。それでもスポットを拠点として歩き回るのが愉しい。

f:id:fookpaktsuen:20240527094800j:image

明石小学校。大宗旅館は以前宿泊したときに女将さんが「明石町」は町名が残つたけど、こちらの小田原町は「築地」になつてしまつたから、と一寸寂しいわよね、と。今日も好天で布団など欄干にかけてあつたので、まだ営業されてゐるのでせう。

ちょうどお昼どきに築地。日曜日のお昼でインバウンドの旅行者も多くとても旧築地市場の場外エリアに入りたいとも思へない。晴海通りの東側に入れば飲食店も週末は勤め人のランチがないから空席もあり。通りかゝりで笠岡らーめん TAKETONBO | 食べログに入り醤油らーめんを啜る。期待以上に美味。岡山の笠岡はらーめんが評判なのださう。

f:id:fookpaktsuen:20240527094908j:image

築地本願寺はこの建築祭で貴賓室公開されてゐるがこちらも列が長いのでパス。

ところ/\に残る古い建築を眺めながら新富町へ。中央区役所なんて京橋のこんなところにあるとも知らず。

f:id:fookpaktsuen:20240527094944j:image

この井筒屋は大正時代の建物でかつては向かひの新富座の芝居客相手の甘味やだつたさう。震災と空襲でも崩壊免れたが老朽化著しかつた建物は今はギャラリーとして蘇生されてゐる(こちら)。

昭和通りの旧宮脇ビルは大震災の復興建築だが2013年に老朽化進み廃墟寸前で解体決定していたものを建築好きの現オーナーが保存決断し自ら現場に立ち改修されたのださう。大部分はおしゃれなブティックで裏の階段部分をギャラリーにするといふ奇抜な発想で面白い。オーナーご自身が外で建物の説明をしてくれてゐた。もうこゝから昭和通りを渡れば銀座なのだが折角こゝまで来たので八丁堀まで歩いて「本の森ちゅうおう」(中央区立図書館)へ。新富町で、この図書館に行くことを思ひつくべきだつた。少し遠回り。

図書館好きにはもう垂涎の何とも居心地の良い図書館。明るくてあちこちに本を読んだり勉強するスペースがあつて、バルコニーもいくつもあつて自分の場所を確保できる。

f:id:fookpaktsuen:20240527094922j:image

各階を連絡する階段スペースも本棚があったり。図書館員の図書整理は大変だろうけれどこんな図書館を利用できる住民が本当に羨ましいかぎり。

f:id:fookpaktsuen:20240527094956j:image

水谷橋公園は屋上が公園で公衆便所建築としては著名。このあたり昔は堀割りが通り水の豊かな場所だつたのだが首都高で本当に無残に割かれてしまつてゐる。

銀座は本日は奥野ビルを眺めたくらゐで通り抜け。数寄屋橋から丸の内へ入る。

f:id:fookpaktsuen:20240527094917j:image

お濠端の国際ビルディングも還暦で近々取り壊しで再開発なのださう。エレベーターホールのグラデーションの見事なタイル模様。

国際ビルから新東京ビルヂングへ。日本の戦後のモダニズム建築の様式の美しさ。京橋から日本橋などどんどん新しい複合ビルが建てられてゐるがシックでクールなばかりで、こんな様式美はもう見受けられないのが残念。本日の最後の見学先は旧GHQ明治生命館。こちらも外観とせめてロビー程度の見学かと思つてゐたら明治生命館はこの建物の二階部分を常時見学公開としてゐて、それで内部をじっくりと見学。

本日は神田から日本橋を経て茅場町、築地から丸の内へとかなりハードな散策で歩数27千歩で15kmほど。東京もそれなりに歩いてゐるつもりでゐたが、こんな機会でもないと歩いたこともないエリアがこれほどあるのだとよく認識してしまつた。

水戸に午後6時すぎに戻り帰宅して急いで着替えて家人と水戸芸術館

小澤征爾さん悼み献奏 館長務めた水戸芸術館で:朝日新聞

水戸室内管弦楽団(MCO)の定期演奏会(第113回)の二日目が本日午後の開催。そのあとこのお別れ会が挙行された。

f:id:fookpaktsuen:20240527094823j:image
母はもう先に来てゐた。30数年前の開館当初から芸術館での音楽会を楽しんできた母にとつては感慨深いこの会であらう。開会。黙祷。市長の追悼の辞。手許の文章を読まず話すのは立派だが些か話が軽妙すぎて15分は長すぎる(この会は18〜19時で1時間の予定だつたが10分延びたのは市長のトークが長かつたため)。本日流された映像は2017年10月の記念すべき第100回定演での第九の第四楽章後半(この時は指揮は前半がバボラークさんで後半が小澤先生)と小澤さんにとつて最後のMCOの指揮となつた2019年5月の第103回定演でのベートーヴェンピアノ協奏曲第2番の第3楽章でピアノはアルゲリッチさま。そのあとMCOによる献奏。バボラークさんがホルン独奏で指揮を兼ねモーツァルトのホルン協奏曲4番変ホ長調K.495より第2楽章。バボラークといふ世界最高のホルンの音色。バッハの〈G線上のアリア〉。小澤征良さんが息子さんとこの会に遺族代表として参加。MCOの演奏をかうして聴いてゐると父が亡くなつたとは思へない、まだここに楽団と一緒にゐると思へて、と涙ながらに言葉を絞り出して舞台上の楽団員もこれまでの小澤征爾との演奏を思ひ出し感極まり咽ぶ方少なからず。

閉会のあと芸術館のロビーに献花台が設へられて参加者が献花。母はコンサートホールからの階段を下りるには足腰に不安あり知己の職員が客常用ではないエレベーターに誘導してくれたが階下のエレベータ口はちょうどロビーから楽屋方面への通路のところで先に献花を終へたバボラークさんらが楽屋に戻るところ。マエストロの尊顔を拝んだ母が少し頭を下げたのかバボラークさんが丁寧にお辞儀された。献花の行われてゐるロビーに出ると献花台の近くで献花のため一般参加の皆さん並んでゐるのに母は優先して献花となり恐縮。MCOで今は現役退き楽団長としてはまだ楽団をまとめてゐらっしゃる堀傳さんが母に「お元気ですか」と声をかけてくださる。小澤さんと同い年で今年米寿の堀先生は矍鑠としたもの。敬服の至り。ロビーでは小沢幹雄さんが献花の知己の皆さんと旧交温めてゐる光景。幹雄さんは本当に小澤征爾か、と見間違へるほど齢を重ねれば重ねるほど似てゐて。本日のお別れ会には発起人の筆頭に名前のあつたアルゲリッチ刀自はお姿が見受けられなかつたが新聞記事(朝日)によれば会のあと最初に献花されたさう。コンサートのあと式のため会場にはお姿は見せなかつたがお別れをされてゐたのだつた。芸術館隣接の駐車場で母を車に乗せて駐車場を出てると芸術館の楽屋口の車庫でシャッターが開いて一台の車が出ていつたのはアルゲリッチ刀自だつたのかもしれない。

茨城空港にビジネスジェット初飛来 羽田発着で試乗会(Aviation Wire)

アルゲリッチ刀自が茨城空港からプライベートジェットで大分空港へ……なんてことはないだらうが春からの別府での音楽祭、東京での演奏会などを終へて本日がこの季節の日本での演奏活動は終了。またお元気な姿を拝みピアノを聴かせてもらひたい。

五月場所千穐楽。小結大ノ里が阿炎を圧倒的強さで破つて優勝を決めた一番を常磐線の特急のなかでネットでABEMA TVの中継で見てゐた。家人と思はず「おっ!」と声を上げてしまふ。初土俵から7場所目での快挙。二所ノ関部屋の所在は茨城県阿見町阿見町といつても道路の向かひ側は牛久市二所ノ関親方稀勢の里)が牛久の出身(実際に育つたのは龍ヶ崎市だが入門時の実家が牛久にあつたため牛久出身とされてゐるのださう)で地元に部屋を開いたといふわけ。お相撲さんたちも最寄駅は常磐線ひたち野うしく駅で、そこから場所のときは両国に通ふことになる。

本日は第91回ダービーで9番人気!のダンノデサイル(横山典)が1番人気の◎ジャスティンミラノに2馬身差つけ優勝。今季本当に不振のアタシは★アーバンシック(横山武)に期待込め◎とレガライラ、シックスペンスと絡めてハズレもハズレ。まだ息子(武史)に勝ちを譲らない横山典騎手に脱帽。