甲辰年四月十八日。気温摂氏14.8/24.8度。晴。晩に水戸芸術館。水戸室内管弦楽団(MCO)の第113回定期演奏会。
予定されたプログラムに先立ちしめやかにバッハの〈G線上のアリア〉の献奏あり。そしてRadek Baborákの指揮でブルックナー交響曲1番(リンツ稿)。MCOの音はほんとうに美しいがブルックナーのこの曲の良さがアタシにはわからない。後半はマルタ アルゲリッチ刀自のピアノでプロコフィエルのピアノ協奏曲3番。アルゲリッチによるプロコフィエフのこの曲といへば歴史的名盤であるクラウディオ アバド指揮でベルリンフィルがあるが1967年の録音。それから57年、82歳のアルゲリッチが同じ曲を弾いて聞かせてくれるとは。
弱音でのパッセージなど音のキレは多少鈍つてゐるかもしれないがテンポの速いフレーズも強音部も見事に弾きこなす。齢を重ねることに音がどう変化してゆくのかを今でも愉しみにさせてくれるのだから。下手したら百歳でこの曲を弾いてゐるかもしれない。ほぼ全員の客がスタンディングオベーションで刀自とMCOのこの演奏に感動を表すなかアンコールはアルゲリッチのソロでバッハのイギリス組曲第3番ト短調(BWV 808)よりガヴォット。そしてプロコフィエフの第4楽章の後半をMCOと再演。
この四月(陰暦)は月の望を見ることもなかつたが水戸芸術館から歩いて帰宅の途中、東の空にぼんやりとそれでゐて明るく月が上り始める。まさにアルゲリッチな月。
アルゲリッチによる気持ちの高揚を抑へようとブラッディマリーを氷はステアで冷やして濃いまゝで飲む。二杯目はバーボン。こちらも氷をステアして。とても薄めたりする気分ではない。
茨城新聞に矢祭町の根本良一元町長の訃報。矢祭町は福島県だが茨城からすると県北の大子町から福島に入ると矢祭。根本元町長の地方自治への業績は記憶に残るべきもの。哀悼。
本日は先考誕生日。生きてゐたら92歳である。