富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

桜が満開の土曜日

辰年二月廿九日。気温摂氏12.2/21.2度。曇のち晴。隣の那珂市の市立図書館へ。先日読んだ表章先生の『梅原猛の挑発に応へて』とか数か月前の甘耀明『真の人間になる』とか近隣の公立図書館(県立図書館も含む)にない書籍が那珂市にはあるから。図書館に行く前に中学時代のK先生に上野池之端十三やの耳かきを届ける。K先生は「こだわり」があり小物も好きなので柘植の耳かきは好きなのではないか?と思つたのだが大変喜ばれた。そのアシで那珂市飯田のスーパーヒロセヤへ。昔からある地元スーパーで大型チェーンの進出にも負けず盛況。家人はこちらが豚や牛の各種部位など充実で牛のハチノスなどあつて好物のトリッパが作れるとか最近とてもお気に入り。図書館から戻り、お昼はヒロセヤの調理パンとアップルパイ。とても美味しい。パイナップルは台湾産。

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水府も桜が満開。水府といふと偕楽園の梅の印象があるが光圀公の頃から桜の景観は大切にされてきた。

水戸桜川千本桜プロジェクト

時代を遡れば世阿弥謡曲〈桜川〉も常陸国の岩瀬が舞台。午後、競馬のテレビ中継え桜花賞は馬券を外したのを見届けて千波湖から桜川に桜を愛でに家人と出かける。

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千波湖畔は梅、桜そして湖畔の土手道(Causeway)は光圀公の時代に築かれたもので杭州の西湖の柳堤に見立てられた由来通り柳も美しい。だがやはり桜は壮観。

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千波湖はかつては水戸城下(市街)の南に位置して「郊外」のはずだつたが今では市街地が南に発展したことで千波湖がまるで水戸の中心になつてしまつてセントラルパーク。さう思ふと市の中心に風光明媚な湖(厳密には千波沼なのだが)があるのはそりゃ景観ではある。


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今年は桜の開花は遅れたが桜も毎年タイミングがさう易々とは合わないのか蕾がある一方で開花を待たずかなり葉桜になつてゐる部分もあつたり。千波湖で今いちばんの盛りは里桜が賑やか。遅咲きだと聞くがソメイヨシノがまだ満開になつてはゐない。千波湖の湖畔には花見の人々が散歩を楽しんでゐるが、まぁベトナムやタイ、フィリピンなど多国籍。彼らは日本人以上に春の桜を楽しんでゐる。まさに日本にゐることを実感する桜なのだらう。桜の花の芳香?と思つたら、そこはかとなくガラムで少し遠くにインドネシアのグループ。


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桜川沿ひでアイリッシュパブ(ケルズ)が丁度午後5時の開店で口開けの客となる。店内からも桜川岸の土手の桜を眺める。桜の花見に来たのだが今晩は外食のつもりでゐたが何だかベトナム料理でよくね?と思つたのは花見でたくさんのベトナム人を見たからかもしれない。旧県庁近くの市街のベトナム料理屋(アオバヾ)に飰す。


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県立図書館入り口の三の丸の土塁の桜も見事。

帰宅してこのNHKスペシャルを見た。

Last Days 坂本龍一 最期の日々 - NHKスペシャル - NHK

癌でもはや末期、余命短いこと識つた坂本龍一の映像。日記。まるで荷風散人の末期の日剩のやう。番組の映像はある程度は内容を予感してはゐたが何とも感銘だつたのは亡くなる昨年三月の亡くなる数日前の東北ユースオーケストラ(TYO)のコンサート当日。

吉永小百合の詩の朗読があり病室でその中継を見ながら酸素マスクをして意識も少し朦朧とするなか映像の音楽に合はせ無意識なのか指揮をする坂本龍一坂本龍一の次男坊による録画なのださう。その数日後、他界の直前も昏迷のなか手はピアノを弾いてゐた。