富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-12-24

農暦十一月初七。快晴。日曜でクリスマスイヴで世の中は祝日気分。顔本で見ると知己の多くが外遊中。官邸で書類整理。茶器を並べてみると予想以上にしっくり。有馬記念はまぁキサンブラックの強いこと。スタートからハナをとり安定した走りのまゝ後続を寄せつけず1と½馬身差で優勝。1番人気馬に賭けられないアタシは(明らかに好調ではなささうな)サトノダイヤモンドで負け。午後遅く中環へ。いくつか寄りたいところあつたが連休中の日曜とあつては年末とはいへ休業の店舗多し。辛うじてGough街の土屋鞄製作所訪れる。直接こゝの経営は香港の小物系の輸入問屋なのだらう。土屋の大人のランドセル背負つた客は一目置かれたか。太古城へ。ユニクロヒートテック下着や靴下買つたり官邸執務室用の湯沸かしや無印でお盆等購入したいのだがクリスマスイヴでとんでもない混雑。聖誕祭は異教徒であるし元々が節句を祝ふ感覚欠如のアタシにとつては歳末のこの商場の賑はひは荷風三人の境地にて迷惑不便以外の何ものでもない。帰宅して連休なので多少余裕ありテレビつけると「たけしのテレビタックル」とか橋田壽賀子とのネタも面白みも感じられずNHKの動物の赤ちゃんスペシャルとコント番組LIFEを見る。熊本の特集で商店街・上通りが懐かしい。マツモトレコードももう今はない。過去の番組で「ザ・プロファイラー」の立川談志特集。若い頃の『現代落後論』を三一書房から上梓したころの談志には興味あるが政治家になつてから、そして落語で「業」を説くやうになつてからの談志がアタシは大の苦手。あの<芝浜>はとても聞けない。志の輔はそれを何事も他人事(ひとごと)でなく我が事として考えるのが大切と談志の芸談。談志は何を語つても談志の○○論になる、と志の輔の指摘はさすが鋭い。それが好きか嫌ひか。私は嫌ひ。三木助志ん朝のやうなさらっとした語り口が好き。
▼藻谷浩介「少子化の果てに」夢見る末広がりの未来(毎日新聞、時代の風)。少子化が叫ばれ日本にとつて重要な課題だが日本以上に韓国、台湾そして言及されてゐないが香港、シンガポールも深刻で、少子化は日本の将来にも重要な影響与へるが藻谷先生の分析では必要以上に悲観ではない。人口減少によるメリットもあり今後また人口が多少なりとも増加する、経済社会を維持するだけの人口が確保できる可能性。たゞし「公共投資よりもずっと消費増効果の高い生活保護を削減し貧困家庭の子育てを困難にする(晋三政府の)愚策は引っ込めていただき、働きながら子育てしやすい環境の整備に努めれば」の話。
▼香港への開通も間近?の高鉄で中共への入出境手続きが香港でとなる「一地両検」は、これは(この日剩で何度も言及の通り)跨境の列車なのだから計画段階で想定されたことで最早致し方ないこと、と思ふ。これが「一国両制の原則に反しない」とか中共や香港の御用政府が言ふのは「タテマエとして想定内」だが「基本法に完全に符合する」とか言ひ切つてしまふのは明らかにウソ。少なくても「基本法では想定していなかった点だが鉄道設営では致し方ことで、これが一国両制を壊すものではない」くらいの声明に抑へておくべき。さらに香港の行政長官リンテイゲツガが年末の休暇に桂林に遊ぶのに、わざわざ皇崗から香港出境、中共入境して深圳北站まで地下鉄で移動して北站で桂林行きの高鉄に乗つてみせ不便さと「一地両検」の必要性をPRしてみれるのは愚の骨頂、呆れるばかり。忙しいんだから飛行機で行けよ。