富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

La Cage aux Folles

fookpaktsuen2015-02-13

農暦十二月廿五日。朝五時頃起きてシャワー浴びタクシーで中環。空港へ。08:50発のCX548で一路、羽田。このフライトは去年の7月だかに決めたのだが、その段階でCもPYも完ぺきに空席なしYも後方5列だかきれいに空いてゐる以外は全部塗られてゐて、何よ?これ状態。仕方なく、その後ろ5列で予約。大きなミッションでもあり丸買ひでもされたのかしら。ブロックかけられてゐる感じ。フライト日近づけばCもPYもブロック解除されるか、と思つてゐたが結局そのまゝ。一昨日48時間前でネットでチェックインしようとしたらポコっと一席だけYの最前列空いてをり、そこに。確かにかなり満席。だがバラバラの客ばかりで旧暦で十二月も二十五日となると、もう旧正月連休の旅行者なのかしら……となると、かなり高値で代理店が一年前からでも押さえてゐたといふことか。Yの最前列窓側3席の通路側だつたが窓側2席に子ども兄弟で煩くはなささうだが母は通路の向かふで離れ/\。アタシの方から「席を替はりませうか?」とスッチーに声をかけ善人ぶるが(最前列の席はさうは譲るまひ)実は子どもから逃げたいだけ……で反対側の最前列も結局一つ空いてゐて(上級客用で最後までキープしてあつた席なのか)そこを宛れる。羽田につき気温は摂氏9度。初めて京急電車で品川。タクシーで麻布鳥居坂の旅寓に下榻。荷物片付け六本木に出て日比谷線で日比谷。帝国ホテルロビーのカフェ。久が原T君から日生劇場の歌劇“La Cage aux Folles”の今晩のチケット受領。T君は昼の部見たあとで少しゆっくりするつもりが彼は晩に別な芝居見る予定すっかり忘れてゐたさうで閑話もできず。母も来て軽く食して四方山話。日生劇場。昨年の夏、帝劇で市村正親主演の「ミス・サイゴン」見るつもりが市村休演で、その帝劇も日本製のミュージカルも初めてだつたが今日の日生劇場も初めて。母に驚かれる。今晩の話は米国製の映画で見てゐたが、まぁ市村演ずるザザの存在感。最初は年増のドラッグクィーンにしか見えないが、だん/\とザザ舞台に現れることに安定感といふか光明皇后でも現れたか、といふ安心感生まれ始め、いつの間にか市村演ずるザザの、彼女への憧れ、人格への強い信頼すら感じるほど。私は私、私は確固たる信念もつて生きてゆく、と晋三に負けないやうアタシたちもその歌の通りに思つてゐないと。普段芝居や映画で泣いたりせぬアタシが市村の存在に思はず目頭緩む。一人の役者の存在で、その舞台、空間が完成してしまふ、そんな演じ手はベルちゃん、コーちゃん、八重子、大成駒……とゐるが久々にその流れにある市村といふ大役者の舞台拝んだ晩。母と久々に奥麻布のバーに寄るつもりが寒風強く母には辛からう、旅寓に還らうか、と思つたが母が「こんな芝居を見たあとに白面で還るのものねぇ」と。タクシーで六本木抜け麻布消防署の方から元麻布に入りバーH。母はこのバーは二度目。カルヴァドスソーダ割り飲む。雪も降らず幸はひ。足元泥濘み天気崩れでもしたら、このバーには来られぬ。鳥居坂の旅寓に還る。