富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-11-23

十一月廿三日(火)曇。HK L&G Film Festival(香港同志影展)の上映の一つで“Miss Kicki”なる台湾&瑞典の合作映画(予告編)は九龍塘のFestival Walk商場の映画館。昔、イケ/\だつた瑞典人の女性が台湾出身の元カレ(曾志偉)と旧交温めやうと台北に向かふ。この女性には幼いうちに里子に出した息子がをり、十代になつたその息子を、親子関係の再構築もあり台湾旅行に連れて行くのだが、旅先では母が元カレとの再会に奔走するうちに息子は台北で出会つた少年と淡い恋におち……と。知己に紹介された旺角通菜街の按摩屋で足浴。地元民ぢゃない、とバレたら北京か、星加坡か……と、とう/\日本人とは思われもせず。
▼先週末の大和屋さんの牡丹亭、今日の蘋果日報で畏友William障ナ達智君は張敏儀大姐に必見と勧められ期待三分で観たが
杜麗娘離魂,我回魂;再沒用擔憂如何捱過這夜,只可惜時鐘過十一時,精選折子《牡丹亭》以及〈回生〉,心中狂喊演下去!演下去!不自覺已然進入粉絲團。
と感動を隠さず。張敏慧女史は信報の劇評で大和屋の「那是不完全純正的崑劇」が初舞台から64場経た今日、さまざまな制約や慣れぬ所作、など克服しつゝ形になつてきたと評す。
坂東最大的優點是他的內斂,我曾說過:「盡量少動,甚至不動。那是對演員素質的大考驗,一個功力不夠,全場就會塞滿悶氣。坂東很清楚自己的優勢條件,恰當地掌握戲曲的『寫意』韻味,尤其是如凝鏡般的斜倚入夢、沉痾病態,形體的美,足已跨越了年齡和性別。到了這一刻,外在技法已經不重要,他神疲氣弱的魂離狀態,有壓場力度,凝聚了每位觀眾的心。難怪在兩個多小時裏,〈寫真〉的對鏡自憐,及〈離魂〉的無常病態,最觸動觀眾。」在「靜」與「慢」的氛圍下,那即將離去的神態韻味就是去年看到的最難忘印象。能劇、歌舞伎演員擅於「凝定」,以凝定姿態注入魂離、死亡觀念,是最佳配搭。
少しでも崑曲の素晴らしさを継承したい、広めるお役に立ちたい、と語つてゐた大和屋がもはや芝居の最後で声高に「牡丹亭上三生路」と歌つてみせたのは(香港では予めの録音に合わせてゐたが)もはや崑劇の女形で第一人者の如き風格。大和屋といふ役者は歌舞伎でも女形で「アタシがゐなければ……」で崑劇にまでその意地が強まり最終的には世界の演劇のなかで女形としての位置を占めたいところだらう(実際に「敵なし」だらうが)。張敏慧女史は劇評の最後で
劇場裏見到張繼青老師(写真右),不由得心裏再次湧現去年寫的一句老話:「我仍然喜愛張繼青的《牡丹亭》」。
と告白してゐるのが印象的。同感。……ふと思つたが矢野顕子に崑曲を歌はせたら絶品なのでは?


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