富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

方方『武漢日記』


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マカオでは春節までにワクチン接種で香港はまだもう少し待たなければならないのは一国両制の優等生たるマカオ優先か。香港でクラスター警戒での地区封鎖や集合住宅一棟の強制検疫。蘋果日報によれば「封区」にHKD2.3m(3,160万円)費やし9,684人を検査して感染者1名だつたと。 


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快晴の日曜日。引っ越しして4ヶ月以上経つて断捨離だつた居間も家財道具が賑やかになつてしまつたが、もうこれ以上は置かないだらう。気温は摂氏17度で暖かい春のやう。ひなたでは摂氏20度以上に感じて汗をかくほど。旧県庁から弘道館に公園を歩くと梅もずいぶんとつぼみをつけて冬至何某といふ早咲きの梅はもう満開。


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茨城県独自の緊急事態宣言は今月28日まで延期になつたものゝ週明けから休館してゐた公共施設は再開。市立図書館で借りた書籍も返却期限過ぎてもまだ大丈夫と高を括つてゐたが週明けにはさういつてゐられない。途中まで読んでゐた方方『武漢日記』封鎖下60日の魂の記録(河出書房新社)  を慌てゝ読む。昨年の今ごろ武汉が封鎖されたなかでこの著者、作家の方方がブログに日記を発表して当局から目をつけられブログが削除されたりさまざまな圧力を受けても武漢から状況を毎日発表し続け話題となつた作品。状況は事実その通りなのだが読んでわかつたことは、著者はけして武漢での当局、そして政府の疫病対策全てを批判してゐるのではないこと。武漢市内で深刻な感染拡大があり外出禁止となるなか当局の防疫のための対策については理解と協力そして称賛も惜しまない。但し一昨年暮れの武漢にある海鮮市場でのウイルス拡散から市内で感染が拡大してゆく初期の段階で対応をおざなりにした当局こそ重大な責任がある。SARSのやうな感染症が広がつてゐるといふ噂が広がつても、すぐにそれを信じて防疫に配慮しなかつた自分たちの不注意。それでも人命にかゝはる重大な感染があれば当局が対応しないはずがないといふ思ひ。それが人命にかゝはる深刻な感染症の拡大でも傲慢で無責任な態度をとつたこと。政府過信といふ誤謬。重大な危機にあれば「政治的公正」(それは中共では本来の意味を意図的に曲解して「党の方針に従ふこと」を示すのだが)つまり上からの指示がなくとも常識的は判断で動くはず、事実を隠蔽するはずもないと著者は信じて、それを微信のチャットにも書いてゐたのだといふ。それが実際には裏切られ事実は隠蔽され都合の良い報告しかされず昨年の1月23日、習近平による疫病宣言と武漢封鎖を待つことになる。そしてこの日記は旧暦正月の1月25日から始まる。著者の日記が武漢での市民生活の状況や検疫に懸命に従事する人々への称賛から怒りになるのは2週間後、ちょうど陰暦で元宵に当たるのだが、李文亮医師の死去。新型肺炎の発生を声高に叫んだ医師を当局は警告を与へ、懸命に治療を続ける中央病院で李医師は自ら感染して命を失ふ。

  • 文明度を測る基準は、高いビルや強力な軍隊ではなく、国の弱者に対する態度である。
  • 人を害する悪魔を銃殺しなければ民衆の怒りは鎮まらない。

かうした記述があつて方方のブログは検閲対象となり削除される日が生じる。

本心を言えば、わたくしは死をそれほど恐れてはいません。わたくしはすでに中国人の平均寿命を超えており、自然な死が遅かれ早かれやってくるでしょう。しかし感染症のために死ぬのはまさに「他殺」と同じです。わたくしはとても受け入れられません!(向欣然:黄鶴樓再建、湖北省博物館新館設計の建築家)

多数の読者をもつてゐた方方のブログが閉鎖されてゐることが中共国内、海外にまでニュースとして伝はつたことで、このブログは閉鎖解除されたが、すると今度はネトウヨならぬ中共ゆゑ「ネット左翼」による攻撃に晒される。方方のブログがいかにデマかと宣伝することで信頼を失はせやうと。それでも方方はむしろ精神的に強くなる。

  • 死神がこの地でまだ葬送曲を奏でている。葬送曲が終わったら、私たちは解毒剤を探そう。
  • 「我々はいかなる代価も惜しまない」という言葉(政府がこの防疫に使ふフレーズ)を聞いたとき、自分がその「我々」だと思ってはいけない。その「代価」の方なのだ。

武漢の感染状況が少しずつ改善を見せ武漢に全国から集結してゐた医療関係者、軍の医務隊などが武漢を後にする。本来、一番状況をよく知つてゐる彼らは箝口令を敷かれたかのやうに武漢の実情を口にすることはできない。武漢での感染が制御できた偉業しか歴史の記憶には残らない。偽装。感染がほぼ0に向かふなか政府や当局、医療関係者らの「恩義に感謝する」といふ言葉が踊る。だが必要なのは当局の「市民への謝罪」。誤謬の責任追及。ペルーの作家・バルガス=リョサの作品集が書店の世界文学の棚から消えた……リョサが「中国が独裁国家でなければ新型コロナウイルスの流行は違う展開を見せていただろう」と発言したため。

極左は中国の国家と国民を滅ぼす存在である。改革開放の成果が、これらの人の手によって潰されるなら、それは私たちの世代の恥辱となる。さぁ来るがよい。あなたたちは策略の限りを尽くし背後の大物を総動員するがよい。私があなたたちを恐れると思うのか!

今の中共で、こんな発言が許容されるはずもない。

武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

この連日の長文の60日間にも及ぶブログ日記を数ヶ月で正確に和訳した飯塚容、渡辺新一両氏の作業も偉業。

農暦十二月廿五日

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農暦も十二月廿五日と年の瀬。大公報は国家と香港の安定と発展祝賀といふ提灯記事ですでに新年祝賀気分とおめでたい。蘋果日報が伝へる昨年の不許可で違法開催となつた六四集会主催者側24名の裁判。検察がこれを区域法院(The District Court、地方裁判所)審議としたが区域法院の裁判官が、審議手続きの煩雑さや被告側の公費弁護士費用等考慮すると下級審である裁判法院(Magistrates' Courts*1審議飛ばしたことに疑問呈したといふ。24名の裁判がそれぞれ個別に行はれるとなると香港に6つある区域法院に大きな負担で司法停滞すらあり得るが香港市役所が意図するところは、そこなのかもしれない。

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森喜朗トンデモ発言について昨日のTBSラヂオの〈アシタノカレッヂ〉で武田砂鉄の冒頭コメントが実に明解。森喜朗に限らず現政権でもスガ、アソウ、ニカイなどもこれまでどれだけ女性蔑視の発言をしてきたか。さらに女子スポーツの指導者♂でも選手への偏見あり。森喜朗は発言の一部が意図的に問題視されたとするが砂鉄氏が読む発言の前後を聞けばさらに理不尽なもので、かうした土壌は社会全体の問題。これを問題視する新聞も「女性蔑視と受け取られる発言」とするが、これは「女性蔑視の発言」であつて「……と受け取られる」なんて表現の甘さ。今週は自公議員の夜遊び、森発言、河合選挙汚職、スガ長男……とあまりにレベルの低いレベルでのスガ窮地ネタばかり。

(同性同士の絆に重きを置く)ホモソーシャルな社会では上意下達で「無駄な質問」はしないことが望ましいとされる。森氏の女性蔑視的な態度はJOCや組織委ひいては日本社会に残る「女性がいると何かと面倒だ」という価値観を体現したものだ。今回の発言は彼を持ち上げ会長の座に就かせ続けてきた人たちの責任ともいえる。日本のホモソーシャルぶり、特に女性の発言や異論を嫌う風潮が変わらないと今回のような発言も結局また許されてしまうだろう。(小田嶋隆


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紐育時報週末版のスドク。1と2がすとんと落ち着いたが、かういふときはアトが六ッかしい。それでもコツをつかむとある程度理論的に数字を埋めてゆくことができる。それはスドクの作り手が六ッかしくても、どれだけ美しいスドクを作れるか、が前提なのだが。

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(今日の工作)箱で作られた箱

ヤンゴン在住のT君お勧めでイワタニ 焼肉プレート (大) CB-P-Y3入手したのだがメタル感も美しい。最初、熱が通つてゐるのか?と思ふくらゐ「焼けた感」がなかつたが肉や野菜にきちんと火が通つてゐて驚いた。とにかく炭のやうに焦げない。しかもじつに美味。お手入れも手軽。

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役肉といへば役肉のタレ……だが今日の焼肉や塩と胡椒で十分に美味しかつた。

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「黄金の味」誕生秘話 | エバラ食品 にある通りエバラ焼肉のタレ「黄金の味」はNHK大河ドラマ染五郎Ⅵ主演の〈黄金の日々〉から。最終回だつたかに幸四郎Ⅷが呂宋助左衛門の実の父役で登場は。七代目なんて七代目といふだけで幸四郎だつたわけだが何だか今では白鸚の前名のやうになつてしまつた感あり。

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「とらや」羊羹 今年の歌御会始のお題「実」
 おわらひもいくさをいとふ革新の
 芸のゆくへに秋田も實る
……詠んではみたが和歌どころか狂歌くずれになつてしまつた。

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*1:英国の裁判所制度で日本の簡易裁とは異なる。裁判員は裁判官(magistrate)で法官(Judge)となる。

サッポロLAGARビール


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大公報の一面広告は重慶銀行の香港での上場。米国で中共企業の資金調達拒まれるなか香港が中共の金融センターとして機能。香港立法会は民主派議員総辞職のまゝで林鄭が好き放題で悪法立法も可なり。民主派といふ名の暴徒らが失せたことで市役所ナンバー2の政務司は議場で居眠り、建制派議員もスマホで競馬や相場の情報を見たり至つて平和。立法会では本来、議員の欠員があれば補欠選挙となるところ今回は本来、昨年秋の立法会選挙が行はれれば民主派優勢のなか疫禍を理由に任期を1年延ばしてゐる臨時の状況のため補欠選挙もできず。中共なので司法も立法も形式的であるから「これでいいのだー」なのか。
f:id:fookpaktsuen:20210205074636j:image森喜朗のとんでも発言が世界的に呆れられてゐるが森喜朗といふのは良くも悪しくもあゝいふキャラであつて好き放題して威張つてきた八十すぎのぢぢいが今回の発言で反省などするはずもない。問題はさいいふぢぢいをトップに据ゑ舌禍となるはずの発言も苦笑程度でスルーされてしまふ、さういふ場=日本といふことで、それが世界的に「やはり日本は……」と嗤はれる。今回は少なくとも「森はおかしい」といふ声がJOCでも山口香理事やテレビのコメンテータ、芸人からも声高に上がつてゐること。スガといひ「このまゝではマジに日本ヤヴァい」感がじわじわと広がつてゐるのだらう。

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ファミマ限定のサッポロLAGARビールが話題となり品薄になつてゐるのだといふ。サッポロファンのアタシとしてもやはり気になるところ。

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陋宅近くのファミマには並んでゐた。ビールといふより素朴なエールでコンビニだから冷やして売つてゐたが、これなら常温で飲んだ方が美味いと思つた。


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茨城県独自の緊急事態宣言も週末での終令は困難ださうで28日まで延長。それでも公共施設の休館措置はせず水戸市もそれに従ふ由。図書館の借本が返却期限過ぎてもまだ大丈夫と高を括つてゐたので焦る。

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農暦十二月廿三日


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九龍佐敦の上海陸金記瓜子大王(長い店名である)といへば銅鑼湾の「么鳳」と並び著名な豆菓子の専門店で殊に瓜子(瓜の種子)が評判。春節で卓上にお菓子を並べるから今が書き入れときだが陸金記では疫禍で例年の甘粛省への仕入れもできてをらず大陸客も来ず売上げも落ちて年越しも困難と大公報。香港市役所は防疫を理由に公共場所の出入りに検疫アプリの利用を制度化(蘋果日報)。当然これは市民の行動掌握が可能で抗議活動取締りにも利用可。一昨年なら街灯の智能電柱の薙ぎ倒しなど抗議活動で行われてゐたほどだつたのに。

接触通知4カ月届かず「COCOA」アンドロイド用で障害:朝日新聞

一昨日の日乗でインドでの3億人対象のワクチン接種やIT駆使した感染管理のこと(NHK)を書いたが日本では政府が推進したアプリでの不具合とは。今日の朝日新聞(オピニオン欄)で何故にかうしたIT技術での感染防止が上手くいかないのか、識者がコメントしてゐる。「国に不信?アプリ不振」(朝日新聞)

感染接触判明アプリに海外の事例をイメージして期待を抱いた人も多かった。だがCOCOAはプライバシーへ配慮重視で各自の端末内に情報をとどめる「分散型」。行政が情報を直接取得できる仕組みではない。通知が届いた人が外出や他人との接触を控える。個人が自分の判断で行動を変えることを期待する仕組み。他の対策と組み合わせて効果を発揮するため個人がアプリの実益を感じにくい。通知漏れの障害が長らく気づかれなかったのもこのためだろう。その期待は感染の第2波が収まった昨秋には幻滅に変わっていったように見える。COCOAが普及しない理由として「個人情報に関する懸念」があると当初考えた。だが実は使ってみて「アプリとして(見た目が)洗練されていない」「中途半端」という声が個人情報への懸念よりも先に語られたのが印象的。大きな不具合が明らかになった今、品質に関する信頼はさらに損なわれてしまった。(工藤郁子・大阪大学社会技術共創研究センター招聘教員)

かうしたアプリやサイトのセンスの良し悪し。マイナポイントでもCOCOAでもとにかくセンスが悪い、使ひつらいのは事実。香港や台湾のアプリがどれだけ見た目もよく使ひやすいか。

今回のコロナ禍が、「個人情報は命を守るもの」という新たな認識を日本人が持つ歴史的なステップになるような気がする。連日ニュースで報じられている主要な街頭の人出の状況の情報は携帯電話会社が持つデータを利用している。匿名や統計処理を施したうえで個人情報を社会全体のために役立て個人にも利益が還元される。いま多くの国民はその実例を目の当たりにしているといえる。国家が個人情報を握れば「監視社会」になるとの声もある。しかし震災時や感染症対策など人々の「健康」に目的を絞れば、きっと許容されるはず。ただ成果を積み上げながら国民の信頼を得ていくには少し時間が必要かもしれない。大切なのは「目的や筋道を明らかにして決定する」というデータ管理のガバナンス。誰によって、どの分野で、何の目的で使われたのかが全て分かるようにする。その透明性を確保できれば専門家など第三者がチェックすることも可能。こうした統治が実現できない限りは、やるべきではないとも考える。(村井純・慶応大学教授)

「インターネットの父」村井先生はビッグデータの活用に期待をかけるが重要なのは、そのガバナンスで、それができないのならやるべきではないとする。つまりガバナンス思考に乏しい今の日本では無理か。

各国の新型コロナ対策には国民の価値観が投影される。社会生活を営むうえでまず何を重視するのか。その違いが対策の方向性を左右する。
世界を「生存」と「自由」のどちらを重視するか。
西欧や英米:「自由」重視。コロナ感染対策でも個人の行動の制限には非常に慎重。
アジア諸国:「生存」を優先する傾向が強い。国民の自由を大きく制限する対策で拡大を食い止め。
とりわけ中国はデジタル技術を使った監視システムでコロナを抑え込み。(略)スコア化による評価の監視システムはコロナ前から中国社会で広く受け入れられ。社会信用スコアの「セサミクレジット」は公共料金をきちんと支払うなどしてスコアを上げればローンが低金利で受けられる。こうしたシステムは「資本主義的な発展をベースに「より快適に、安全に暮らしたい」という人々の欲望に応える形」で実現。多くの中国人は各人の信用度や感染リスクが点数で表されることを「便利」「安心」だと考えている。
日本人の価値観はどうなのか?「生存」を重視する東アジアグループに入るものの、その中においては比較的「自由」を重視するという立ち位置。生命の危機は避けたいが自由やプライバシーも守りたい。接触確認アプリ「COCOA」には、こんな中途半端さが表れているのではないか。
新興国の中にはデジタル監視技術を使った中国のコロナ対策に倣おうとする国は少なくない。シンガポールではコロナ対策の接触確認アプリが犯罪捜査にも使われている。
この手法は強権的な統治につながる危険性がある。中国政府が香港への介入姿勢を強めているのはその予兆。西側諸国は今後「中国型監視モデル」の広がりにいかに対峙するのかが問われる。(生存か自由か、選べぬ日本:梶谷懐・神戸大学教授)

結局のところ、どっちつかずで判断も迷ひ「何もできない」国になつてしまふのか。

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普段あまり音楽を聴きながら歩かないのだが防寒で耳当てにBOSEのヘッドフォンを用ゐてストリーミングで音楽を聴きながら歩いてゐたら水戸芸術館の前で小澤征爾指揮の水戸室内で第九の、それも第三楽章が流れてきた。
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この磯崎新の空間がなんてそれに合ふのかしら。寒さのなか思はず立ち止まつて第三楽章を聞き入る。 

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«Bijutori» de Kaiūndo, un magasin de bonbons à Matsumoto

立春


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大公報つまりは党政府、それに隷従する市役所の公式発言なのだが教育での「通識」教科を改革することで社会の不安定を正すと。学校教育で社会安定を目指す指導ができてゐない偏向があるからダメとする。日本の自民党もこれに近い錯覚だが一党独裁だからレベルが違ふ。 蘋果日報報じるのは市役所によるクラスター警戒での特定大廈の封鎖で検疫拒否だと門鎖破つてまでの強制。それで住民検疫の結果、感染者0といふ結果。この強制検疫が明らかに何か別の予告のやうな気がしてならず。陰謀論に与するわけぢゃないが今回の武漢肺炎ぢたいまるで何か今後の世界への予兆のやうに思へてならず。

ミャンマー静観する中国「民主化より安定求める」朝日新聞

「軍が国の発展でしかるべき役割を果たすことを支持する」(今年1月にミャンマー訪問の王毅外相の弁)のが中共。「軍」を「党」に置き換へれば中共そのもの。「西側諸国が押しつけた選挙制度による中小国の失敗は民主主義の代価」と宣ふ党紙(下)。だが一概にこれを否定できないくらゐ世界は病んでゐる。

社评「缅甸民主化进程何以再生巨大变故」环球时报 

目前世界上的国家治理模式很少,西方又强推他们的选举制度,中小国家总的来说没有什么选择,在走向现代化的过程中,大多接受了西式选举制度,他们因此而遭遇的失败和坎坷则被解释为“民主应有的代价”。中小国家除了延续传统制度,想搞政治体制摸索和创新基本没有可能。

それにしてもミャンマー国軍が主張する「選挙で不正、存在しない有権者の投票があつた」といふ主張は米国総統選でのトランプの主張とまるっきし同じ。次の選挙では反軍派の立候補に圧力かゝるのは必至(香港も同様だ)。ヤンゴンに居住する知己T君のことも気になつてゐたがアタシが顔本に載せた「JRでディーゼル機関車DD51引退」の記事に彼からフツーに「いいね!」が入つた。ヤンゴンT君曰く「市街はいたって平静を保つてゐます」と。軍の臨時政府化は1年は続くだらう、と見方は冷静。現地とはさういふもの。一昨日、ミャンマーで国軍クーデター、アウンサンスーチー国家最高顧問ら軟禁といふニュース流れ国軍による道路封鎖、国営銀行へ現金引き出しに行列とか映像流れると日本のメディアではすぐ「現地に支店や製造拠点のある日系企業は社員の安否確認に」となるが今回のクーデターは市街戦でもあるまいし、それほどの事態ではない。NHKのニュースでは「さきほど映像の字幕でヤンゴンと出たものは正しくは首都ネピドーでした」。

DD51の初代は昭和37年に日立製作所の水戸工場製で、その後も多くを製造。常磐線でも特急ゆうづるや急行十和田も牽引。水郡線でも活躍していた。
2011年3月に起きた東日本大震災DD51形は燃料不足に陥った被災地へ緊急の燃料輸送のため全国から集められた。運行可能なルートの中に非電化区間があったためだ。設けられたルートは横浜から新潟を経て盛岡と郡山(福島県)へつなぐ2つ。郡山ルートにある磐越西線はその4年前に貨物輸送をやめていたこともあり郡山の運転士たちが急きょ(愛知県にあるJR貨物の)稲沢機関区へ向かいDD51の運転講習を受けた。当時、最年長だった渡辺勝義さん(68)=福島県郡山市=は「DD51を運転するのは十数年ぶりだったが長い付き合いがあったので不安はなかった」。郡山ルートを使った輸送は、震災2週間後の3月25日から始まった。約3週間輸送を続け2ルートで運んだ燃料はタンクローリー約2,800台分。郡山ルートで使われた車両は解体されて残っていない。

相変はらず朝日新聞高橋純子(編集委員)のスパークがすごい。それにしても指摘は言ひ得て妙。

やる気がないのか。向いてないのか。練習不足か。そして気づいた。首相は打ち返すどころかそもそもラケットを握っていない。首相がやっているのはいわばドッジボール=避球である。日本ドッジボール協会の理念にはこうある。「ドッジボールではその『かわす、逃げる』が神髄なのです」「上手に逃げることができればヒーローにもなりえるのです」。

 前首相(晋三)はラケットを握ってはいた。だがアウトをインと言い張ったり(結局やっぱりアウトだったり)、ルールを勝手に読み替えたり相手をやじったりして競技を汚した。それと比べてどちらがマシか、なかなか答えに窮するが、コートに立つなら下手でもラケットを振る、さもなくば退場、どちらかしかないとひとまず申し上げて、私からのあいさつとさせていただきます。

作為警察更需要「知法犯法」と香港警察トップ


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蘋果日報社主ジミー黎智英を保釈したら何んな「再犯」が憂慮されるといふのか。茶番の極み。

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香港警察トップの鄧某が昨年の香港の治安状況について記者会見。昨年45人の警官が刑事事件で逮捕で前年比ほゞ倍増。法治どころか放置された野犬化か。これにつき鄧某は「作為警察更需要知法守法」(警察として法を知り法を守る必要がある)といふべきところ「作為警察更需要知法犯法」(法を知り法を犯す必要がある)とコメントしてしまふ。さすが。スガも驚く発言事故。スガといへば10都道府県(栃木除く)に対して緊急事態宣言を3/7まで1ヶ月延長決定で晩に記者会見。今晩は「次の予定がありますので」ではなく「予定時間を過ぎましたので」で記者会見終了。

なぜこんなダメな国、政府になつてしまつたのだらう。世界の優等生が成績下降。落ちこぼれになりませぬやうに。

“3億人にワクチン” 接種状況をデジタル管理 インド | 新型コロナウイルス | NHKニュース

インドでの先ずは3億人対象にワクチン接種。個人の接種状況などを一元的に管理するデジタルプラットフォームを政府が開発。準備が整へばアプリで摂取場所や日時を選んで予約でき接種の回数などが管理できるほか接種を受けた証明書もデジタルで発行され必要に応じて交通機関や飲食店を利用する際に提示可。「アーダール」ヒンディー語で「基礎」の意)と呼ばれる個人IDは今では人口13億人のうち9割以上が登録。指紋や虹彩と呼ばれる瞳の模様などの情報を登録し個人と番号とをひも付けは、もともと貧困層への給付金の配布のために導入で、つまり文盲でも対応可といふこと。外出制限での現金給付ではアーダールから支援必要とする人を速やかに特定して個人の預金口座にオンラインで送金。日本のマイナポイントのわかりづらさとは雲泥の差。

https://digital.asahi.com/articles/ASP23458XP1XUPQJ006.html

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仁左衛門〈女殺油地獄〉


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香港で行政長官が中央政府出先機関・中联办の代表と同席するのは香港返還記念日や国慶節の祝賀であつて一国両制下で香港の通常の行政に関することで同席などあり得ないはずだつた。それが春節を前に林郑が中联办主任・骆惠寜と一緒に香港警察慰問だといふのだから。もはや香港の一国両制など記憶遺産でしかない。


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水府で田美小路の陋宅から歩いてすぐの大坂通に「小林」といふ米穀店あり。そこのおにぎりが美味しいと評判。この界隈に転居して4ヶ月目で今になつて食べてみる。たしかに良質の米を立派な炊き具合で握り飯の具も海苔もよい。お惣菜も美味しさうだつたが厚焼き卵も上出来でマカロニサラダは黒胡椒たっぷりで、とても万人受け狙つてゐないのが見事。この米穀店は屋根看板に「水晶米の店」「大町販売店」とある。水晶米は茨城のコシヒカリで、これの元締めは水戸地方食糧販売企業組合で、この「こばやし」といふ米穀店が、その食糧組合の「大町販売所」となつてゐるのは日本で食糧管理制度(食管法、昭和17〜平成7年、実質的には自主流通米認可の1990年迄)下に、この今の水戸の「食糧販売企業組合」の元が同制度下の食糧配給公団で、この小林といふ米穀店は大町にあつた米穀販売所の名残りなのだらう。

昨晩のことになるがNHKの劇場中継で松嶋屋の〈女殺油地獄〉を見た。2009年に歌舞伎座改築前の記念興行で松嶋屋にとつて河内屋の与兵衛役で当たり狂言はこれが一世一代。豊嶋屋の女房お吉が孝太郎で娘お光がまだ9歳の千之助。豊嶋屋に梅玉。河内屋の徳兵衛に歌六高砂屋はかうした役が上手。歌六も悪くない。お吉は「脇の甘い女で、その甘さが色気に裏打ちされて非業の死を遂げる」(湛君の弁)なのだが孝太郎さんは演技上手だが実父の演じる与兵衛よりも年増のカタギな女房に見えてしまふ。この松嶋屋のこの芝居で今でも忘れられないのが昭和帝崩御のすぐ後、平成元年3月歌舞伎座のそれ。徳兵衛は父・仁左衛門(先代)が入婿ゆゑの悲哀を演じきつてみせた。お吉はこの年に数へで古希の京屋。その脇の甘さのある色気たっぷりのお吉を見事に演じて孝夫との豊嶋屋での油まみれの場面の壮絶さといつたら、もう言葉がない凄さ。この月の昼の部には大成駒の〈関扉〉。

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歌舞伎でアタシは何うしても歌六Ⅲからの家系がきちんとアタマに入つてゐない。歌六Ⅲから時蔵Ⅲには繋がるのだが、その時蔵Ⅲの兄が吉右衛門で弟が中村屋だといふのがピンとこない。先々代の幸四郎Ⅷと哲明勘三郎XVIIIが従兄弟といふことになるのだから。この歌六Ⅲからの家系は播磨屋で、だから吉右衛門播磨屋なわけだが戦後、時蔵Ⅲの息子の錦之介が萬屋で銀幕のスターとなり当時、この家が挙つて萬屋となつたわけだが播磨屋は平成になつて又五郎丈逝去で吉右衛門(当代)一人となつてゐたところ当代の歌六Ⅴと歌昇の兄弟が萬屋から播磨屋に復帰で、これもまたやゝこしいところ。