富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

方方『武漢日記』


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マカオでは春節までにワクチン接種で香港はまだもう少し待たなければならないのは一国両制の優等生たるマカオ優先か。香港でクラスター警戒での地区封鎖や集合住宅一棟の強制検疫。蘋果日報によれば「封区」にHKD2.3m(3,160万円)費やし9,684人を検査して感染者1名だつたと。 


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快晴の日曜日。引っ越しして4ヶ月以上経つて断捨離だつた居間も家財道具が賑やかになつてしまつたが、もうこれ以上は置かないだらう。気温は摂氏17度で暖かい春のやう。ひなたでは摂氏20度以上に感じて汗をかくほど。旧県庁から弘道館に公園を歩くと梅もずいぶんとつぼみをつけて冬至何某といふ早咲きの梅はもう満開。


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茨城県独自の緊急事態宣言は今月28日まで延期になつたものゝ週明けから休館してゐた公共施設は再開。市立図書館で借りた書籍も返却期限過ぎてもまだ大丈夫と高を括つてゐたが週明けにはさういつてゐられない。途中まで読んでゐた方方『武漢日記』封鎖下60日の魂の記録(河出書房新社)  を慌てゝ読む。昨年の今ごろ武汉が封鎖されたなかでこの著者、作家の方方がブログに日記を発表して当局から目をつけられブログが削除されたりさまざまな圧力を受けても武漢から状況を毎日発表し続け話題となつた作品。状況は事実その通りなのだが読んでわかつたことは、著者はけして武漢での当局、そして政府の疫病対策全てを批判してゐるのではないこと。武漢市内で深刻な感染拡大があり外出禁止となるなか当局の防疫のための対策については理解と協力そして称賛も惜しまない。但し一昨年暮れの武漢にある海鮮市場でのウイルス拡散から市内で感染が拡大してゆく初期の段階で対応をおざなりにした当局こそ重大な責任がある。SARSのやうな感染症が広がつてゐるといふ噂が広がつても、すぐにそれを信じて防疫に配慮しなかつた自分たちの不注意。それでも人命にかゝはる重大な感染があれば当局が対応しないはずがないといふ思ひ。それが人命にかゝはる深刻な感染症の拡大でも傲慢で無責任な態度をとつたこと。政府過信といふ誤謬。重大な危機にあれば「政治的公正」(それは中共では本来の意味を意図的に曲解して「党の方針に従ふこと」を示すのだが)つまり上からの指示がなくとも常識的は判断で動くはず、事実を隠蔽するはずもないと著者は信じて、それを微信のチャットにも書いてゐたのだといふ。それが実際には裏切られ事実は隠蔽され都合の良い報告しかされず昨年の1月23日、習近平による疫病宣言と武漢封鎖を待つことになる。そしてこの日記は旧暦正月の1月25日から始まる。著者の日記が武漢での市民生活の状況や検疫に懸命に従事する人々への称賛から怒りになるのは2週間後、ちょうど陰暦で元宵に当たるのだが、李文亮医師の死去。新型肺炎の発生を声高に叫んだ医師を当局は警告を与へ、懸命に治療を続ける中央病院で李医師は自ら感染して命を失ふ。

  • 文明度を測る基準は、高いビルや強力な軍隊ではなく、国の弱者に対する態度である。
  • 人を害する悪魔を銃殺しなければ民衆の怒りは鎮まらない。

かうした記述があつて方方のブログは検閲対象となり削除される日が生じる。

本心を言えば、わたくしは死をそれほど恐れてはいません。わたくしはすでに中国人の平均寿命を超えており、自然な死が遅かれ早かれやってくるでしょう。しかし感染症のために死ぬのはまさに「他殺」と同じです。わたくしはとても受け入れられません!(向欣然:黄鶴樓再建、湖北省博物館新館設計の建築家)

多数の読者をもつてゐた方方のブログが閉鎖されてゐることが中共国内、海外にまでニュースとして伝はつたことで、このブログは閉鎖解除されたが、すると今度はネトウヨならぬ中共ゆゑ「ネット左翼」による攻撃に晒される。方方のブログがいかにデマかと宣伝することで信頼を失はせやうと。それでも方方はむしろ精神的に強くなる。

  • 死神がこの地でまだ葬送曲を奏でている。葬送曲が終わったら、私たちは解毒剤を探そう。
  • 「我々はいかなる代価も惜しまない」という言葉(政府がこの防疫に使ふフレーズ)を聞いたとき、自分がその「我々」だと思ってはいけない。その「代価」の方なのだ。

武漢の感染状況が少しずつ改善を見せ武漢に全国から集結してゐた医療関係者、軍の医務隊などが武漢を後にする。本来、一番状況をよく知つてゐる彼らは箝口令を敷かれたかのやうに武漢の実情を口にすることはできない。武漢での感染が制御できた偉業しか歴史の記憶には残らない。偽装。感染がほぼ0に向かふなか政府や当局、医療関係者らの「恩義に感謝する」といふ言葉が踊る。だが必要なのは当局の「市民への謝罪」。誤謬の責任追及。ペルーの作家・バルガス=リョサの作品集が書店の世界文学の棚から消えた……リョサが「中国が独裁国家でなければ新型コロナウイルスの流行は違う展開を見せていただろう」と発言したため。

極左は中国の国家と国民を滅ぼす存在である。改革開放の成果が、これらの人の手によって潰されるなら、それは私たちの世代の恥辱となる。さぁ来るがよい。あなたたちは策略の限りを尽くし背後の大物を総動員するがよい。私があなたたちを恐れると思うのか!

今の中共で、こんな発言が許容されるはずもない。

武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

この連日の長文の60日間にも及ぶブログ日記を数ヶ月で正確に和訳した飯塚容、渡辺新一両氏の作業も偉業。