富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

水戸→郡山→福島(阿武隈急行鉄道)仙台

癸卯年六月十三日。気温摂氏23.5/37.4度。水戸で今年4度目の猛暑日。朝から日差し厳しく水府の大通りで日陰縫ふやうに水戸駅。家人と青春18きっぷで遠出。水戸駅を07:28発の水郡線で郡山行きに乗車。5両編成の列車は夏の週末でそれなりの混雑。18きっぷの鉄ちゃんも少なからず。彼ら平気でクロスシートの座席を2人対面の席で向かひ側に荷物置いたまゝにしたり4人のボックス席も明らかに「来るなよ」の圧をかけててゐたり郡山近くで立つてゐる人も多いのに最悪の一人は到頭、荷物どかさず2人対面席独占でかうした「悪鉄」には呆れるばかり。

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水郡線は山方宿を出て袋田、大子、矢祭山の先まで久慈川を縫ふやうに走る。こちらは鉄道旅の景観だが久慈川もかなり水嵩がない。茨城北部の山間で夏は暑く冬は寒い大子で本日の最高気温は38.1度を記録。矢祭山の見事な渓谷。山間を抜けて東舘の小さな町。とても印象的な新しい小学校。地域の5つの小学校を統合してできたメガ教育拠点として話題になつてゐた。矢祭町立矢祭小学校|三上建築事務所 水戸と東京にオフィスのある公共建築やオフィスビルなどでかなり水準の高い建築家の設計で納得。その他、矢祭町山村開発センターだとか矢祭もったいない図書館だとか矢祭町は町長のユニークな発想による実現は興味深い。茨城の大子町と福島の矢祭町が県境を越えて境跨自治体として成立とかしても面白い。水郡線の駅も無人駅も含め駅舎も個性的であつたり。無人駅化で駅舎も老朽化で解体された結果としての川東駅。地域のコミュニティーセンターとなつてゐる磐城塙駅。福島は公共施設の建築が面白い(福島建築探訪)。

10:50に郡山駅着。お昼には少し早いが「郡山ブラック」らーめんも食べてはみたいが猛暑で駅舎から出る気がせず。駅ビル(エスパル)に会津蕎麦の店(湖穂里)あり会津の酒もあり。11時の口開けで入り地酒飲み比べから「純米」を選び会津そばは胡桃せいろ。会津若松の名倉山(これが名倉酒造で純米酒なのかは瓶を見てないのでわからないが)まことに美味い酒。

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東北本線の在来線の各停は、って東北本線はもはや各停しか走つてゐないローカル線なのだが!列車はロングシート乗り鉄にとつては本当につまらない。東北地方は東北本線ばかりか奥羽本線とかもロングシートださうで少しでも長い距離だとこれはつらい。旅情といふものもない。

福島駅に到着。夏は酷暑の福島市の気温は37.9度。駅を出る余裕もなくホームの端から阿武隈急行福島交通の私鉄ホームへ。福島交通飯坂線は小学校1年の時に福島出身の祖母の帰省に連れられてきて祖母が兄弟姉妹で飯坂温泉に集まつたとき連れて行かれてから乗つてゐない。まだ存続してゐるだけでも大したもの。朝夕は15分間隔で昼間も1時間に2、3本運行はご立派。

福島交通飯坂線

そのホームの反対側が阿武隈急行国鉄の福島駅から伊達を経て阿武隈川沿ひを縫ふやうに走り阿武隈川を越へ宮城県に入ると東北本線槻木駅まで。私鉄といふと戦前からで歴史が古さうだが国鉄の旧丸森線(槻木〜丸森)の開通が昭和43年で福島までの第3セクターとしての「全線開通」が国鉄民営化直前の昭和61年のこと。その後も東日本大震災、2019年の台風19号での壊滅的な被害など紆余曲折もあるが(阿武隈急行線(歴史)- wiki)復旧。何なのだらう、この運行経営の気質の良さと温かさ。車両も昨年2022年に新型導入(AB901型)で職員も親切で何だか楽しい気分。こちら人生で初乗り。楽しみにしてゐた。

阿武隈急行のAB900型(左)と旧8100型


途中の梁川(やながわ)駅で槻木行きに乗り換へ。こゝからが阿武隈川に沿つて走る鉄道旅の醍醐味。阿武隈川水郡線で矢祭から福島に入ると阿武隈川が近くに流れ蛇行する阿武隈の川を渡り福島に入り福島市内も二度、この川を渡り、また幾度と川を眺めて飽きない。だが蛇行する川ゆゑ大雨での被害も甚大。阿武隈川を渡り丸森へ。この川沿ひの道路は国道349号線水戸市街のみずほ銀行水戸支店の角から茨城県北の旧里見村、福島に入り矢祭山から角館、伊達を抜け阿武隈急行鉄道に沿ひ宮城の柴田町で国道4号線に至る。その距離266.7kmでドライブあまり好きぢゃないアタシもこの国道は走破してみたい。

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槻木で東北本線に乗り換へて14:40に仙台着。水戸を出てから7時間。仙台の今日の最高気温も35度超の猛暑。東北で、だ。ユニクロで冷房用の薄手のカーディガンと肌着(いずれも今朝、用意し忘れ)書ひ求め中央通りから東三番町あたりを抜け広瀬通を渡り今日の宿(三井アーバンホテル)へ。楼上の大浴場で湯に浸かるが室内の風呂場も室温が熱く露天風呂に出たら高い外気温で熱中症になりさう。水風呂がほしい。仙台は5年前の終戦記念日常磐線がまだ富岡〜浪江間が不通で連絡バスが走つてゐたときに、そのルートを水戸から仙台まで下り仙台に来たがほんの2時間ほどの滞在で東北新幹線で東京に戻つてしまひ(こちら)ゆっくりできるのは2014年の夏の来仙以来。晩に旧友やお世話になつた長輩ら集まつてくれて酒をぐび/\飲みながら旧交を温める。昔の思ひ出話に大笑ひ。仙台は日曜晩だといふのに遅くまであちこち人出多く昭和末の昔よりも随分と賑はひ。若い人が多いのが仙台。