富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

地産商越富貴越不道徳

fookpaktsuen2010-07-19

七月十九日(月)晴。早晩に掃捍埔のジム。Rowing Machineを日本語で何と呼ぶのか知らぬが何処のジムでも米国の同じ会社のモデルが主流(www.concept2.com)で全身筋力運動と有酸素運動が同時に出来ることで望ましい。昔はジムで香港公園やピークを眺めながらよくやつてゐたのだがジムを換はつて止めてしまつた。それに腰痛でかうした運動が怖いこともあつた。が久々にやつてみるとやはり全身運動で気持ち良い。トレッドミルで走るような疲れも心拍数が上がる心配もないのが良い。トレーニング終はつて心地よい晴天に施設内の露天酒巴に寄る。香港では珍しいビヤガーデンだが客が些か。麦酒一杯で快楽時間=ハッピアワーのはずがHK$48といはれ何?と思つたら女給が勝手に出してきた南京豆がHK$20なのだ、といふ。そんなもの注文した積りもなく勝手に置いて、普通のバーならたヾなわけで、それがHK$20とは暴力バーの如し。帰宅して窓際でよく育つた紫蘇の自家製ジュースをウオツカで割つて飲む。紫蘇を酢で割つたらすごい赤みが出て酒で割るとアタシには似合はないお洒落なピンク色のカクテルになつちまつたが美味至極。BBC Promsの録音をネットで聴く。開幕演奏はBBC楽団でマーラーの8番。アタシは余り好きになれぬ盛り沢山すぎの「千人の交響曲」。野菜沢山の夕食。新盆は過ぎるが八月の盆に向けまだお盆提灯の需要あり提灯張りの内職を深更まで。マーラーの8番のあとワーグナーマイスタージンガー聴いたが気分的にどうも提灯張りの仕事の効率が悪くなりモーツァルトピアノソナタ(若い番号を主に)聴く。モーツァルトが作業効率上げるのは事実である。
▼かつて新鴻基地産の創業者・郭得勝のアシスタントを長年務めた潘慧嫻なる方が「地産覇権」なる書籍を上梓。財閥系デベロッパーが香港返還決定の1984年の中英合意での政府土地政策を受け積極的に不動産投資始め「地產商越富貴越不道徳」「醜惡的怪獸」となつたと指摘の由(蘋果日報)。中英合意で政府の土地払ひ下げが年間0.5平方キロに制限されたことで地価高騰が予期され地産商挙つて土地投資始め1984年に長實(李嘉誠)が黄埔、新世界発展(鄭裕彤)が湾仔の展覧会議中心など積極的に開発。また70年代から新界の農地買収も続けてをり今日の新界ニュータウン建設の基礎に。また大手財閥がバス、ガスや電力など公共事業が傘下にあつたことで、そうした車庫、発電所などの施設郊外移転により一等地のそれを大型団地建設。この財閥系地産商のうち所謂「六大家族」が李嘉誠(長實と和記、香港電力)、郭氏三兄弟(新鴻基、Ciberport數碼通)、李兆基(恒基兆、中華瓦斯)、鄭裕彤(新世界、新創建)、吳光正(包玉剛からの九龍倉、會徳豊、CableTV)、嘉道理(中華電力、香港上海大酒店)でこの六財閥だけでも香港の20以上の上場大手企業を有し株式時価総額でHK$158兆の規模。土地とカネを呑み続け巨大化する財閥系地産商はまさに怪獣。暴れるだけならまだしも李兆基の会社のやうに売買契約偽称でマンション価格操作の疑ひまでかゝると言葉もなし。
▼香港競馬はいつの間にかシーズンオフに入つてゐたが蘋果日報の競馬欄とか眺めてゐると面白いのは香港代表の梁家俊君がシンガポールクランジ競馬場で開催の見習いジョッキー盃で優勝がトップ記事なのは当然として、デットーリが独逸のHansa Preis(2400m、G1)で「鑄鐘大師」に騎乗で優勝、とかおそらく日本では斉藤さんのサイトくらゐしか出てこないやうな情報が写真入りで詳細にわたり報じられてをり、また6月のニュースだがスミヨン騎手がGrande Course de Haies d'Auteuil 2010で騎乗のMandaliがフランスの大障害五千米で60馬身以上の大逃げで勝利のこととか、これが競馬専門紙ならともかく一般紙でこの世界の競馬情報って蘋果日報ははほんとに敬服。最多勝騎手はホワイトさんで十年連続の偉業。本当に乗馬が好きなわけで、この夏も意太利で十日だか休暇のあとは夏恒例で小倉競馬で一ヶ月の客串(スポニチ)。湯布院くらゐ往かれるのかしら。

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