富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-14

五月十四日(木)散髪。久々に湾仔のグランドハイアットの三鞭酒場で一飲。アタシはバーテンダーは男の職業、と思ふ。男勝りの豪傑の女将が仕切るパブはそれはそれで良い、が。でこのバーで珍しく女性のバーテンダーが切り盛り。ドライマティーニを作る作法は、正直言つて鳥渡、頼りない。がマティーニのあと白葡萄酒を一杯やり、バーを去らうとすると「マティーニは如何でした?」とアタシに尋ねる。お愛想ではなく真率に、は表情でわかる。つい“Good!”と答へてしまつたが本当は「一つのカクテルを作る時はそれに集中すること。あと15秒は短くできるでせう」は冷たいうちに供してよ、と言ひたかつたから。このホテルのボールルームで開催中のSeoul Auction通りかゝる。日本、中国、韓国とコンテンポラリーアートの潮流で韓国が鼻息荒く香港で競売開催、つて気持ちはわかるけど。折り紙で丹念に作つたブルース=リー、ちよつとメタボすぎないかしら。Z嬢と待ち合はせART HK 09(香港国際芸術展)。今年が二度目、でVIP券いたゞいた。草間彌生先生の関係で紹介いたゞいたオヽタファインアーツのO氏、K嬢にご挨拶してちよつとお話。O氏のお話が興味深い。アタシは草間先生がケータイまでは「やりすぎ」だと思ふしお若い頃の反企業資本主義的なムーブメントと相容れない、と素直に思つたが、よく/\考へれば老いても衰へず果敢に企業と対峙する姿勢は吉本隆明コム・デ・ギャルソン着こなしより更に過激なの鴨。草間先生の、まるで赤塚不二夫のやうなギャグつぽいキャラの犬が、参観者が「あ、猫!」と言ふのが可笑しい。コンテンポラリーアートも、もう何だか食傷気味なのは正直なところ。純粋に、素晴らしい作品もいくつか、はあるのだが全体のノリとしてはもう、鳥渡。Sara Rahberなる作家のアラビア化した米国趣味が興味深し。Z嬢と「作品よか画廊関係者ウォッチングした方が、あの人たちの雰囲気こそずつとコンテンポラリーアート」と首肯く。ぐる/\見回つてから北京水餃皇に食す。かつて鄙びてゐた食肆が「どうしたの?」といふ感じで盛況。しかも毛唐多し。味的にはちよつと最近、化学調味料強くない?と気になるところ。食事中のビールも、食後もなんだか恐ろしく喉が乾き閉口す。
グランドハイアットの三鞭酒場で読んでゐた蘋果日報の畏友William鄧達智君の随筆。もうあまりの表現力、言葉の美しさ、リズム……たゞ/\感歎するばかり。昨日、MTR西鉄で彼の家の近くを通り高架線から屏山を眺めたが、今ではすつかり団地の外れのやうな屏山のかつての樹木の中の風景よ。
月又轉圓,極晴的夜就是深也是藍。循著村邊小路歸去,五月入夏前最後一抹北風伴著月光印地亮如白晝。老屋邊上楊柳枝葉豐盛,月上樹梢,抬頭透過葉縫看,腳步輕挪,每一下那月葉重叠似剪紙又似萬花筒變化。夜未極深,走至長巷上山另一頭,後山隱蔽的大榕樹茂密葉底下望月,那剪影更鬼魅。少說也有一百數十年的老樹雖然未登上過甚麼大樹榜,留它一回清靜,它可是老一輩村人的禁忌;那個上幼稚園的早上,祖母未同行,過後山,領路的表哥驚喜報告:有人吊頸!從來沒人告訴過五歲的我死亡恐怖,走到樹下,死屍仍掛榕樹枝椏,我們流連盤踞細意端詳,自此樹林就是�夜也不是我的顧忌。英國人一百一十年前,在小山頂上蓋起新界首間理民府並警署,也在山腰植下數十棵從也是大英帝國殖民地移植過來的白皮尤加利,就是在我們童年也已粗壯得幾個小孩才得合抱;縱使一些經歷颱風倒下,枝葉重新爬起來長得比本來母體更健壯。山路另一邊本來滿植松樹,樹下我們聽松濤拾松針松雞,如今像香港幾乎所有松樹的命運,被吃松心毒蟲徹底消滅。(略)坐在尤加利樹群幽深一角望葉梢突現突暗月光,聽婆娑風過葉縫;夜甚安靜輕柔。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/