富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月廿二日(金)晩にQuarry BayのEast Endにて編集者S嬢と打ち合せ済ませエール2パイント飲みひとまず週末。帰宅して韮鍋。当初は和田エミのレシピであったがだいぶ進化して「たれ」は韮の葉の下半身をミキサーでゲル状にして醤油や酒、出汁で味つけするのだが、この「たれ」が格別で、おそらく納豆なんてこれで食べたら最高に美味いはず。テレビつけるとNHK映っており間違ってNW9が流れており安倍三世組閣構想のため今夜、山梨は鳴沢村の別荘に向う、と「報道」。組閣までして首相就任できないと最高に面白いのだが……。別荘で組閣構想ねぇ、と考えると小泉さんの清貧ぶりも懐かしいが(とすでに小泉三世も「さん」づけの仲間入り鴨)、この安倍三世の別荘行き伝える内容にNW9のキャスターは「会津の男」にもかかわらず「週末、どんな人事構想が……」などと口にしつつニヤニヤと楽しそうな表情。この柳澤秀夫なる会津の男、戦場報道の硬派、と思っていたが意外と「安倍さんに親近感」で、意外と一本釣りなんかされると竹中平蔵的な意味のない役割を演じ切れる鴨。内閣といえば文相には「北海道の子熊」中川昭一君という下馬評あり。教育改革も進展か……乎。その安倍別荘行き報道に続いたのが「相次ぐ飲酒運転での事故」報道。昨日今日「激増」ぢゃないのに。飲酒運転に巻き添えで娘をなくした父親が「娘が結婚して、結婚式で涙流したかったのが、葬式を出すことになったとは」とカメラの前で号泣。その悲しさが本音で哀しみには何も言わぬがテレビで「娘の結婚式での父親の涙が葬式の涙に」がテレビ的に製作側にはどれほど「おいしい」か。菊田一夫だよ、これじゃ。もしかすると、の想像だが、どんどんこうして演出が事実を凌駕する、ってのは、例えば、テレビの取材に「いいから、帰ってくれ!」の父親に「お父さん、お父さんがテレビで訴えてくれることで、凶悪な飲酒運転が少しでも減って、その犠牲になる人も命が助かるんですよ、娘さんもそれを望んでいますよ、きっと」なんてADに言われて、いざ収録始まれば素人の口から「娘の結婚式での父親の涙が葬式の涙に」という制作者サイドが思ってもいなかった最高のコメントが取れる……のくり返しなもかもしれない。
▼東京都による入学式や卒業式での日の丸に向う起立、君が代斉唱の強要は不当とする都立高や擁護学校の「左翼な」教職員が東京都「ファシス都」教委など相手に強制に従う義務なしと訴え東京地裁難波孝一裁判長)は違反者処分とした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想・良心の自由を侵害する」として違憲違法と判断(廿一日)。石原ファシス都知事本日「控訴するのは当然」と語り都は方針を見直す考えはないと述べ知事に盲従の都教委も臨時の校長連絡会を開き都立学校長約二百五十人に対し「これまで通り通達に従って指導してほしい」と改めて指示。司法による判断尊重などという常識もなく「たかだか地裁ごときが俺たちのやり方に文句つけやがって」程度の認識かしら。杉浦法相など「個人的な一議員としての感想」としつつ英国旗「ユニオンジャック」を例に「血塗られたユニオンジャック、という表現があるくらいだが、それでも英国民は国旗として変えない。そこを思い起こしてほしい」「一部報道では、日の丸・君が代軍国主義を連想させると言うが、戦争に至った経緯とは関係がない」と発言。法相はどうも日の丸に嫌悪感もたれること不服らしいが今回の裁判は国旗国歌への強制に対する提訴であり「日の丸が日本の国旗としてふさわしいかどうか」の裁判ぢゃないのに。まるっきしわかっておらず、で法相とは。首相小泉三世に至っては「法律以前の問題じゃないですかね、人間として国旗や国歌に経緯を表するのは。人格、人柄、礼儀の問題とか」と。「……とかぁ」で打ち切るとかぁ首相的にはちょっとヘンじゃないですかぁ、そのへんの女の子じゃないんだからぁ、だが小泉三世のこの発言、さすが当世日本の「とても一般的な常識」でこの程度かしら。これが「礼儀とかは法律以前の問題じゃないですかね」ならその通り。だが国家は、とくに近代国家は「こうしましょう」ということで成立するもの。その国家を維持するため法律(だから法律は国外には適用されないでしょう)。その国家の象徴としての旗であるとか歌は法律以前にあるはずもなし。国家の首相たるものが近代国家の基本の「きの字」も理解せぬまま「あってあたりまえ」の如く骨の髄まで<国家>への親しみ。この客観性のなさ、が怖い。が「国旗や国歌に親しみを感じるのは「日本人として」当たり前でしょう」は小泉三世と国民の多くの素直な感想か。国旗国歌への強制は強制と思わぬが憲法となると安倍三世など現行憲法は「大きな強制の中で制定された」もので、それが「日本人の精神に影響を及ぼしている」とさらにカルト的な思考になるのだが、この安倍三世の自民党総裁就任につき(朝日新聞の調査で)「よかった」が国民の57%で安倍三世に親しみを感じるが59%の結果。女性に人気、のばかばかしさ。戦後の日本の「いい加減さ」享受しておきながら戦後憲法が日本人の精神にきっと「悪い」影響を及ぼしている、って「あなたには悪い霊が憑いています」の三流カルト宗教のレベル。この教祖様に親しみ感じる人たちが自分の周囲で10人ちゅう6人もいると思うとぞっとする。
▼先週土曜日にホンハム市街をミニバスで通り抜けると工業ビルのまえに観光バス泊まり間抜け面の田舎漢旅行者がビルにある貴金属かの「特設売り場」に入っていく態を見たが、このあたりかつては日本人相手の「ファクトリーアウトレット」だったのが今ぢゃ大陸からの田舎者相手の貴金属屋。客寄せに、と商売人が「純金のトイレ」など設けたのが数年前だったが、今度は純金のマンションまでビル内に設けての客寄せ。それに「へぇ……すげぇもんだべ」で見せてもらったんだから何か一つでも買ってくけ?の世界。田舎者といえば中国資本の招商銀行なる銀行集団が今日、香港で上場。この招商銀行の頭取が「山西省の山奥から出てきたような」オヤジで、それが香港交易所でシャンペン片手に「上場、乾杯〜!」なんてやっている。見てるほうが恥ずかしい、が資本主義はすごい。

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