富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-02-03

二月三日(金)気温は摂氏廿四度。Tシャツ一枚にて外を歩ける陽気。(以下、カメラの話が延々続くので興味ない方はお読みにならぬほうがよろしい)先日、畏友O君のブログで昨年12月に発売後生産追いつかぬ人気の(ヨドバシドットコムで注文から2カ月待ち)ニコンのデジカメ一眼用ズームレンズ、AF-S DX VR ED18-200mm F3.5-5.6Gが香港にも入荷、と知る。旺角の永成撮影器材公司で「有貨」だそうな。価格も香港で消費税ないことなど考慮すると日本の価格と比べても「買い」であること確か。でふらりと、永成とは姉妹店で、馴染みの店員もいる萬成撮影器材訪れれば店頭にてまさにこのレンズ購入中の客あり。陳列なく店員に「在庫ある?」と聞くと「陳列はしない」と勿体ぶり。買う客以外にはお見せもしません、で「買いますよ」と告げる。値段はO君に聞いた通り。すると何があったのか(おそらく余の背後にいた店長からの指示)店員は「店長、こちらのお客さん……」と振った。その店長が提示の価格はHK$200高い。先ほどの価格指摘すると「在庫がない」でHK$200高ければ「最後の一つ」と宣う。HK$200高ければ在庫が出てくるのか、と客を小馬鹿にせし不遜な態度に呆れ悪態ついて店を出る。萬成撮影器材といえば香港でも有数のプロ級の店で尖沙咀の観光客相手の「免税」店ぢゃあるまいし、萬成と永成の経営者は京セラと合弁で事業するほどの企業の経営者、でContaxの代理店でもある。それほどの店の店長の態度に呆れを通り越して悲しい思い。で永成をば訪れると、この店のほうがずっと真摯に接客するが在庫切れ、いつ入荷か約束できず、と。あちこちニコン特約店の看板掲げるカメラ店覗くが一軒のみ1つ在庫あり、で価格は萬成のふっかけ額より更にHK$500高。さて困った。このレンズを捜し歩きたいが、荷物が重い。レンズ5本とニコマートELのボディを持ち歩いているのだ。というのは、実はいくつか使っておらぬレンズをば処分して、このニッコール ED18-200mm VR 購入に当てる算段で、あれこれ考えた結果、放出は、まずニコンのデジカメD70sのレンズキットであるAF-S DX ED 18-70mm F3.5-4.5Gで、18-200mm VRがあれば我のような「その場でなりゆき撮影者」には18-70mmはなくても良い。でAI AF ED 18-35mm F3.5-4.5Dも使えば面白い広角ズームだがやはり18-70mmがあると、わざわざ持ってあるきもせず。でこれも処分対象。そして「とり合えず望遠」と思って入手のAF 70-300mm F4-5.6Gも軽さは重宝だがやっぱり「廉価レンズらしさ」で満足できず。望遠にはマニュアルフォーカスの往年の名レンズ 70-210mm F4.5-5.6もあるが、これもデジタルカメラに装着すると今のレンズでは想像できない明るさをば発揮するが、ひらすら重い。プロの写真家ぢゃないので、そう何本もレンズは持ち歩けない。あくまで散歩中に、ぱちり、のアマチュアである。となると上記の4本は処分して、それほどに評判なら(こちら)18-200mm VR一本でいい、と思う。O君の言葉を借りれば「建築写真を撮ったり、美しいボケを生かした女性(と限定してみる)ポートレートを撮るなら、立派で明るい単焦点レンズを使うべきなのでしょうが、都市の今をつかみ撮るなら、機動力に溢れたこの一本で必要十分ではないでしょうか」。いつもながら上手いことを言われる。その通りだ。でレンズを整理していたらContaxのGシリーズの標準レンズであるプラナーT*45mm F2も「この際、放出しようか」という気になる。なにせ広角のビオゴンT*28mm F2.8を使い出してから、これは全く使っていない。ContaxのGというカメラは外で頻繁にレンズ交換して撮影するような性格じゃないので(と信じている)「街に出る」時にはやはり好きなビオゴンT*28mmを装着して出かけることになる。Contax Gシリーズのカール・ツァイスのレンズなのだから、歴史的にもコレクションとしては当然「とっておく」べきレンズではある。だが「使わないものをとっておく」趣味はない。愛着があれば当然、壊れた万年筆までとってあるが、このプラナーT*45mmは好きになれないまま、レンズにいつも「申し訳ない」と思っても本棚にポツンと置かれているのなら、放出して誰か使いたい人に使ってもらってこそレンズ。……で以上5本を今回、放出することに。であるからED18-200mm VRの購入と、その5本を満足いく価格で下取りしてくれる店も尖沙咀の香檳大廈あたりで探さねばならぬ。それとニコマートELのボディもファインダ内の汚れ除去が必要で修理屋に出そう、と持ち歩いている。話が長居が以上のような状況で旺角で途方に暮れた。とにかく中環へ戻ろう、と決意。だがそれから中古レンズの下取りはかなり時間もかかる。で中環で、ふと興利相機公司(25 Lyndhurst Terrace)の存在を思い出す。ContaxのT2も中古のG1の購入も此処であったし、新品も中古もライカからニコンまで小さい店だがデリカシーのある品揃えの店。「ひょっとして全てが此処で済むのでは?」という期待で興利相機に参れば幸運にも18-200mm VRの在庫あり。値段はO君から聞いた価格。ご主人に事情話してレンズ見せると笑顔で気軽に査定始め当方の気弱な予想を上回る買取り額提示される。これで18-200mm VRとの差額は、まぁ余の競馬の余剰金で、と言いたいところだが、競馬で大負けした時くらいの金額。で話うまくまとまる。ニコマートELのクリーニングも此処に預け淡い期待通りに万事済む。萬成での不愉快とこの興利相機での客への懇親ぶりの温度差。店を出て、思わず余計なお世話だが、同じようにいくつか放出して、このレンズの入手検討中のO君に電話して興利をばご紹介。で実際に撮影してみると、この写真は中環の地下鉄站のホーム。望遠200mmいっぱいいっぱいなので、この画像はホームの中央から列車5輛分の先にあるホーム尖端を狙ったもの(1/30秒 F5.6、露出補正もデジタルでの色光補正もなし)。手持ちで、このブレのなさはさすがVRレンズの技術だが、行き先掲示板のネオンサインから時計の時間、最遠のエスカレータの表示まで、これだけ写れば素人には大満足。帰宅途中に近隣のC医師の診療所に寄り診察受ける。ここ数日、右手の指(中指から小指)、手の甲に神経痛の痛みあり。膏薬も効かず。頸の神経の麻痺が恐らく原因だろうが、とひとまず鎮痛剤処方され週明けにも直らなければ精密検査できる専門医紹介する、とC医師。老いた証拠か。C医師につい「恭喜發財!」と年賀の挨拶するとC医師の性格もあろうが小声で「Happy new year!」と言い返される。確かに医者が「恭喜發財」は患者が多いことで真面目なC医師は口にすまい、と勝手に納得。帰宅して昨日昼までのマカオでの食事の影響あり(今日は朝、パン一つ食べただけで、昼も空腹感なく食べておらず)今晩はうどんを煮てざるうどん。ニコン銀塩フィルムカメラから撤退、京セラもContaxのカメラ製造中止……とそういう時代に、カメラバックに、デジカメはニコンD70sに本日入手の18-200mm VR一本、それに「白黒の写真」撮影にContaxのG1にビオゴンT*28mm、「カラーのスナップ写真」にContaxのT2、重いのだがちょっと無理して「カラーの写真」にニコンのF2にNippon Kogakuの往年の50mm F1.4とニッコールの28mm F2.8の2本を、入れてみる。この<満足>がカメラバックに納まる幸せ。デジカメ的には、ここに「デジカメでのスナップ写真」にリコーのGRがあり、「白黒のデジカメ画像」用にEpsonR-D1があったりしたら至福なのだがR-D1のためにはMマウントやLマウントのレンズが欲しくなるし、それならなぜライカのMシリーズに辿着かないのだ?と自問の時間が始まる。こんなことを考え出すと夜も眠れなくなるので止めたほうがいい。
▼女帝、女系認めるかどうか、で皇室典範改正が自民党で思わぬ作用。郵政民営化衆院選挙大勝で、あれだけ節操もなく小泉翼賛体制となった自民党が、さすがに「天皇制の呪縛」が作用したのか、小泉内閣の閣僚の間でも皇室典範改正を今期の国会で通すことに疑問の声あがる。だが小泉三世のチープな英雄観であるから戦後日本の自民党のあるべき姿を変えた政治改革の次は、皇室のあり方まで自分の総理在任中に見通しをつけることへの自負なのであろう。小泉三世といえば総理在任中にイラク派兵や郵政選挙など疑問をば挙げたらキリがないが何よりも問題は真紀子大臣解任で陛下に「嘘を上申」の大罪。天皇をも畏れぬ小泉三世であるから皇室典範改正も「へのかっぱ」だろうか。
旧正月の連休中にエジプトで香港人ツアー客乗せたナイル河観光のツアーバスが時速120kmの高速でカーブ曲がりきれず横転し14名が死亡、他に重軽傷者多数。たかだかナイル河の観光に、なぜ時速120kmも出せる冷房完備の大型高級バスが必要なのか。オンボロバスで砂ぼこりの中、暑さにめげず、でよろしかろう。妻をこの事故で亡くし自分も怪我を負った男性が泣きながら語るは、事故のあと何輛も香港からのツアー客乗せた観光バスが通りかかり助け求めたが応じられず、死傷者が増えた、と非情を訴える。
タイ王国では首相タクシンの一族による株式売買で不正取引疑惑(NNA)。タクシン一族の持ち株会社、Shin Corp.の全株式のシンガポール政府系投資会社への売却で時価総額US$19億の取引。首相就任以前のタクシン氏が自分の有するShin社株をば一旦は自分の設立した英領バージン諸島にある投資会社に移し株式分割、この投資会社を息子に譲渡、この投資会社からタクシン父子はShin社株を1株1バーツで購入し3日後にシンガポール系投資会社に49.25バーツで売却。株売却益は158億バーツでしかも非課税というライブドアも真っ青の手口。やりたい放題。日本に小泉あり。タイに王室と国王も畏れぬタクシンあり。
▼タイといえば「微笑みの国」のはずがタイ南部のイスラム教地区の仏教化政策は義務教育に地元者ではない仏教徒の教員をば派遣しタイ仏教に基づいた「国民教育」の普及から始まっておりイスラム系住民の反発が暴力化。教育のもつ政治性の顕著な例。教師というのは、純粋に子どもの教育を担いたい、と思う人多く、その<教育>が近代国家にとって国策事業でどういう効用が期待されているかなど想像もしない、できない人もあり。立派な教師というのは、そういった「狙い」を漉かして義務教育というシステムを上手に使って自分の理想の教育をしてしまうことだろう。