富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-02-02

二月初二日(木)晴。なんでもテレビ朝日のスクープだったようだが沖縄で「自殺」のN氏の動かす香港での投資ファンド云々だとか日本M&Aマネジメント株式会社のT社長の香港にある関連会社だとかホリエモンの香港の隠し口座だとか「きっこの日記」ではライブドア広報担当のO嬢が今週初めに香港経由でマニラにほちゃらら関係で飛んだとか……久々に「怪しい香港」が注目される。やはり香港は怪しくないと。マカオライブドア関連では出てこないのだろうか。まぁマカオの場合、北朝鮮の偽米ドルのように「怪しい」どころか単にご法度すぎるが(笑)。昨晩の爆竹と花火はさすが政府民政局の仕切りで午前二時にはぴたりと終わりか、すでに臥床に微睡み定かでなし。ただ夜中に吠える野犬の遠吠えこそ幾度も耳障り。Hyatt Gold Passportの特典だそうで朝の珈琲の提供が客室にあり。午前七時と指定せば目覚ましがわりにぴたりと珈琲届く。珈琲に新聞添えられて届かば嬉しいがマカオのホテルは何処も新聞の到着遅し。新聞といえばいつの間にかMacau Postなる英字日刊紙あり。クラブフロアのラウンジにて朝食。曇り空。タイパ島をジョギング。ホテル出で菩提園から小高い高級住宅地抜け競馬場、澳門運動場。昨晩の喧騒も嘘の如く静まりかえるタイパ市街も朝に走れば石畳の道に樹木多く南欧風の洒落た建物は朝日を浴びて実に小ぎれい。ジョギングも心地よくタイパ住宅博物館。此処はかつての葡萄牙人の避暑地にて海岸に美しい住宅並び今では博物館として公開。かつての海岸沿いも埋立で此処もさぞや内陸になっているかと思いきやさすが世界文化遺産にご指定の都市だけに辛うじて埋立地の中にここだけ沼に造成して景観のみ保つ。周囲のいくつもの大型カジノ建設などおぞましいかぎりながらタイパの市街にせよ此処にせよ残すものは残す姿勢だけはまだ立派。結局一時間、10kmほど走りホテル戻り。スパに行けば太陽が昇るにつれ雲も失せ見事な晴天。スパのバルコニーにて日光浴(日光浴というのはキョービ、身体に害悪)。この三日でまた土人の如し。スパの風呂につかり昼すぎにホテルをばチェックアウト。荷物預け満員の小型路線バスにてコロアネ島。とにかく静かな処、と竹湾のPousada de Coloaneに参ればバス通りから階段を下りていきなりピールサイドに出れば予想通り人影もなし。この小さなホテルに一週間もの長居がほんの数年前の如く思えるが已に13年ほど昔のこと。当時から営業大丈夫かと懸念される閑静さであったがプール施設拡充に驚く。竹湾の海岸一望するバルコニーつきの客室と、このプールとレストラン以外は何もなし。レストランも客は誰もおらず。さっそうとレストランに現れ簡単な昼食を済ませ出かけて行った13年前にこのホテルに泊りし時、まだ三、四歳だったかプールで遊んでいたこのホテルの経営者の息子、十代後半の青年に成長。ヴィーノヴェルデに葡萄牙の生ハムのメロン添え、海老の大蒜炒め、スープ、子豚のローストと食す。青い空、その空を映すプール、遠くに海を眺め……喧騒増すマカオで此処は別世界の静けさ、此処ならまた泊りたい、と話しておればザワザワと人の声聞こえ嫌な予感すれば「出た〜っ!」で中国からのツアー客ご一行様のご到着。バンコクのInter Continental Hotelのプールに香港人家族数組現れし騒々しさに勝るとも劣らぬ環境破壊ぶり凄まじ。広東語なので広東省の何処かからのツアーらしいが、この南欧の田舎に佇むが如きホテルも彼らにとっては「ったく、こんな不便な地味な宿屋に連れてこられて……」と不満げ。客は部屋に押し込まれツアーガイドと宿の女将がテラスで何やら口論。どうも他のホテルが満杯で流れてきた、かなり値段も叩いての素泊まり一行の様子。レストランから窓越しに聞き耳立てれば客がエアコンがつかぬと苦情らしいが宿にしてみれば多少暑いほどの陽気ながら海からの心地よき南風、こんな日になぜ冷却機をば稼働させねばならぬか、と。ツアー客も何処かで昼飯終えて辺鄙な宿に連れてこられ一向に観光だかカジノだかに連れ出されもせず部屋で待機。さすがに子どもらは飽きてわいわいと走り出て来てプールサイドで大騒ぎ。葡萄牙人の宿の主人の「危ない!」と剣幕に触れる。親も子どもらだけ遊ばせ、此処が広東省各地の温泉レジャー施設と異なることなど理解できておらぬのだろう。いずれにせよこのホテルがどうして潰れておらぬのか、に納得。ホテル側は「できればこんな客は泊めたくない」様ありありで客もこの鄙びたホテルの良さもわからず。悲劇。のんびりと食事済ませば一時間半ほどすぐに経ち、バスの通る道路にあがるとすぐ来たバスは往路と同じ運転手。話好きで運転しながら知り合いの客相手にここのマンションは相場がいくら、だのここは買い手があまりつかぬのは云々とタイパ島の新興住宅地の説明に余念がない。ハイアットに戻りプールサイドのアーケードに並ぶソファでしばし休憩。レストランのバルコニーでもこのプールサイドでもパイプ煙草が実に美味く感じるのがマカオ。香港ではあまり吸いたいとも思わぬのだが。ホテルのシャトルバスでマカオフェリーの波止場。結局、二日のあいだ一度もマカオ市街に出ずじまい。ジンをタンカレーとゴードンの2本、ウオツカ1本免税で購い(持ち込み制限越えてるか)午後四時半のフェリーで香港に戻る。晩はさすがに二日の葡萄牙料理三昧で胃が疲れ日本蕎麦茹でて食す。マンションで近所の賑やかな声など聞こえてくると、普段から香港はかなり大声だが正月だと余計に大声。SARSの頃の静けさ懐かしくもあり。
朝日新聞読めば広告に今度は産経新聞社の『諸君』に三笠宮の殿下の発言あり。皇室というもののお立場が……と思えば朝日の社説が「寛仁さま 発言はもう控えては」と異例の皇族への注文論調。よーは「発言が政治的に利用される」と。もう充分に利用されている。皇族を政治的に利用することの不敬。その利用するのが保守反動右翼と自認する人たちなのだから(本当の意味で保守反動右翼ぢゃないのだが)困ったもの。だが幕末から皇室利用は手慣れたもの。ところで皇室といえば靖国について新右翼一水会」代表・木村三浩氏は「A級戦犯合祀の問題などをクリアする必要があるが本来なら陛下が参拝されることは問題ないと思う。ご親拝され亡くなった方を慰霊することで平和の尊さを訴える必要がある」とした上で麻生発言に対しては「麻生氏の発言にはねじれがあって、小泉首相が中途半端なパフォーマンスで英霊を政治利用するのは、『いかがなものか』という趣旨での発言だと思う。だが、それを言うために(麻生氏が)陛下の名を利用するのは、いかがなものか」と苦言呈しているそうな。麻生発言はよーするに「天皇をダシにした小泉批判」と。だが麻生家的には天皇を「玉(ぎょく)」として利用するは維新以来の伝統、かも。それにしても憶測の域を出ぬ麻生発言の真意。どこに力点があるのかも不明。言ってる本人もよくわかってないのかもしれない、という噂もあり。
▼香港鼠楽園が昨日と本日、入場制限一杯の三万人の入場者あり「満員御礼」で昼には入場制限で一旦閉門。本当はあと数千人入れたところで問題ないのだろうが満員札止めの宣伝効果期待か。昨日は入場できぬ旅行者の子どもが正門前で泣く姿、今日は怒った訪問客が「今日しか来れぬのに」「明日来いというのならホテル宿泊を手配しろ」と苦情申し立て正門を乗り越え入場しようとする者もあり混乱。この映像がまた日本で流れると「園内で子どもにそのへんでおしっこさせる」「何処でも平気で煙草を吸う」などに続き「野蛮な中国人」のイメージ増大。実は欧米でのサッカー観戦の混乱のほうがずっと野蛮なのだが。だが期待値として「欧米の野蛮さ」は無意識のうちに忘却され「野蛮な中国人」だけが日本人の脳裏には焼き付けられる。
▼一昨日、深?との境界、沙頭角で死んだ鳥、更に昨日、黄大仙で見つかった鳥の死骸から鳥インフルエンザH5N1型の陽性反応。政府の漁農自然保護署は沙頭角のこの「死鳥」から半径5kmの住人の飼育する家禽類をば処分。この「死鳥」は飼い主が大陸の親戚から譲り受けた鳥だそうで飼い主家族は病院に隔離されたが鳥インフルエンザ感染見られず釈放。本日より香港公園、九龍公園、海洋公園の観鳥園、米埔の野鳥保護地域などのは暫定閉鎖。
▼中国で中国共産主義青年団(日共にとっての民青の如き組織なり)の機関誌『中国青年報』の付属週刊誌『氷点週刊』が中国の歴史教科書の内容批判して定刊処分となった件、その詳細は抗日戦争での国民党軍の働き評価した点だったそうな。共産党八路軍の歴史にのこる大勝利も実は国民党軍の功績大きいこと揚げ「もっと全面的、理性的な観点から歴史に向き合わなければならない」と実に真っ当な正論。それに対して党政府の宣伝部は「党史の記述と違う」だの「国民党を美化し、共産党を貶めている」と。さすが。
熊本市朝鮮総連の建物に対する固定資産税を熊本市が一部減免したのは違法として拉致被害者の支援団体が熊本市長に減免措置取消しなど求めた裁判。請求棄却の一審判決を控訴審判決で福岡高裁朝鮮総連について「北朝鮮の指導のもとに北朝鮮と一体の関係で在日朝鮮人の私的利益を擁護するために活動しており、わが国社会一般の利益のために活動していない」「総連の会館使用は公益のためとは言えず税減免には理由がない。熊本市の措置は違法」と指摘。わからぬでもないが、お寺や神社、怪しい宗教団体ですら公共性認められ固定資産税が課税されていないこと考えると微妙。これについて熊本市長が市の判断としては総連の公益性を考慮して税の減免をしていたとして高裁の判決に驚きを隠さず。こういう市長もいるのか、とキョービではむしろ驚かされる。それもこれも仙台市長梅原某君のおかげ。それにしても日本の政治関連の裁判、だいたいが一審がリベラル、高等裁判所で反動判決、で最高裁は数年かけて玉虫色か訴え棄却で逃げる、というパターンが多くないか。裁判官も「判官としては優秀だし立派だが「お国の裁判というもの」がわかっていない」だと地裁止まりで「お国の裁判というものがわかってはいるが裁定があまりに反発喰らうタカ派」だと高裁レベル、で結局「それ以外」の優秀な司法官が出世して最高裁に殿上。

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