富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-09-21

九月廿一日(水)昼に太古坊湾岸の「袖山」にて評判の蟹味噌と雲丹和えたパスタ食す。かなり身体に悪さうだ が塩辛さもなく極めてあつさりと而も生麺のアルデンテtuttoさが蟹味噌と雲丹に実によく合わさり見事。見事。で きればドライな白葡萄酒でもいただきたいところ自粛。かなり諸事に忙殺され午後七時間際に中環Stanley街Colorsixにて写真受領。先日のF2 で撮影の風景写真の5Rでの焼き増し及びデジタル化画像。デジタルはスキャンすら避けラボでのネガからのデジタル化。本日日剰に掲載の画像は一切色彩処理 施しておらず。同じStanley街のChung Pui Photo SuppliesにD70s用リモートシャッター購ひに寄ればリモコンシャッター予想以上に廉価に驚き、ついつい何れも購入。店の者曰くニコンといへば周 辺小物の高値であつたがデジタルカメラになり驚くほど周辺小物の値段下がる、と。確かに。何気に店の者の背後のガラス棚に眼をやれば1971年に発売の Nikon F2用のファインダーであるとかaccessory shoeなどが「新品」で販売されている。何といふ店だ。思わずF2談義。シャッターの精度の良さ。FCCにてハイボール二杯。独り新聞数紙に目を通す、 この時間の至福。帰宅してハヤシライス。ワイルドターキーのソーダ割。NHK のニュースで国会開会の光景眺める。自民党新人83議員の登院風景。地震がなければまだ山古志村村長。早稲田のスーパーのおっちゃん。就任ご挨拶と書かれ た名刺数百枚を議員事務所にて受領し「選挙で応援していただいた方にご挨拶」って誰もおっちゃんに投票しておらず。電話一本で数合わせに、と請われ比例区 名簿に名前乗せただけで偶然に当選。市民の感覚で衆院に、とご本人おっしゃるが「当選するとは思いませんでしたので」と議員就任辞退して今日の選挙制度の おかしさをば世に問うことこそ、おっちゃんに出来たことのはず。猪口女史の登院に孝教授が同行。まぁ社会科見学なのだろうか。登院し感無量で感涙に咽ぶ猪 口女史。そりゃそうであろう来年には外相だ。森さんが「歳費がこれだけもらえてよかったとか、宿舎がこんなに立派でよかったとか、こんな愚かな議員がいっ ぱいいる。名前だけ入れといて当選した人もいる。内心忸怩たる思いだ」と嘆くのは杉村大蔵先生の当選。小泉三世の主張が郵政民営化ばかりだと思つたら杉村 先生の応募した自民党の候補者公募での課題作文も「郵政民営化構造改革について」だつたそうな。郵政民営化反対と書けば候補になれない、それしか「篩 (ふるい)」がないほど了見の狭き今日の自民党。民 主党の両院議員総会にて民主党新党首前原君、挨拶する様は経験浅き、ホテル結婚披露宴の司会の如し。もう国会など終わり。国会解散。解散は「解消する」の 意。王政復古天皇親政のほうがずつとマシであらう。現状への忸怩たる思いは森さんばかりか陛下とて同じことかしら。遅晩にTUMIの背嚢を繕ふ。数年の 使用で肩にあたる部分のナイロンが(TUMIは米国の警察で防弾チョッキに使用される高耐久性の素材と自慢するが)少しずつ解けてしまひ、ちょうど Nikeのバスケットボール用の指サックが同じような素材でクッション性もあり籠球などする筈もないので、それを開いてきちんと縫い付け補強する。深夜に ウイスキーちびちびと縫い物とは。
▼新界沙田は大埔道の老舗の郊外料理屋・雍雅山房(Yucca de Lac)閉業。1963年に、当時まだドライブなど裕次郎的に上流階級の享楽であつた時代に新界郊外の地、遠くに馬鞍山を望み眼下に吐露湾を見下ろす馬料 水の高台に開業。もともと広東省国民党将領・陳濟棠といふ人の別荘にてYucca de Lacは「湖辺の蘭花」といふ意。四旬の間に沙田は農村が人口七十数万だかの郊外都市となり眼下に長閑に走つていた鉄道は蒸気機関車が電化され、湾岸岸の 道路は高速道路となり香港と広東省結ぶ大動脈。馬鞍山は(15年前ですらキャンプなど行つた場所が)マンション立ち並び地下鉄の高架鉄道が走る。余も15 年程前に中文大学に寄宿の頃、大学の高台に位置する、この怪しげな場所、香港狸御殿か?と訪れれば見事な景色に昏時、麦酒と名物の焼き鳩に舌鼓。学生には 気軽に訪れるには安からず。敷地はHK$3.8億で売却され6億ドルだかかけ僅か17戸の高級住宅になるとか。
▼台湾から国民党の連戦、親民党の宋某に続き作家で新党の李敖が中共訪問。 李敖は黒竜江省だかが原籍の外省人。過激なる弁舌が売り物。発言が物議かもすところでは饒舌なる石原慎太郎想像すればよろし。李敖が訪中し昨日、北京大学 にて講演。李敖が歯に衣着せず弁舌、で中国の解放ムード演出。で李敖の講演の様子をテレビニュースで見れば「今日、俺がね、ここにこうしておりますってぇ ことは、みんな俺に「で、師匠、共産党を罵る?」と期待されているのでしょうが、さて、私が何をみなさんにお話したいかと申しますと、ここに取りー出した る一冊の本……」と李敖は大げさなジェスチャーで見せたのは毛沢東文集。「では読みましょう。『共産党は歴史の中で生まれた。歴史の中で生まれたものは凡 そ総じて始まりがあれば終わりあり。共産党も例外ではなく、いつかは消滅する時がある』……と、おっと拍手?、拍手はいけないよ拍手は」と談志だな、口跡 は。李敖もいろいろ考えたのだらう。中共におべっかは使いたくない、かと言つて当たり障りない話ぢゃ李敖の名に恥じる。で毛沢東とは。一瞬、共産党非難、 にも聞こえなくないが、毛沢東の述べるは高校生にでもわかる実にマルクス史観な共産党の歴史的使命と「発展的解消」にすぎず。結局、所詮は人気とり。政治 のお遊び。

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