富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十二日(月)曇。銅鑼灣のジムにて小一時間有酸素運動。灣仔の永華麺家にて蠣油薑葱撈麺食す。灣仔の屋外運動用品店Protrekにて先日「自宅からのトレイルランのための背嚢」購ったが貯水量1Lでは100kmトレイルの練習にはとても水足りず3L近い貯水量の別の背嚢購ふ。これまで使ってきた背嚢は4年ほど前の物でこの数年での背嚢の進化驚くばかり。FCCにて珈琲一服し新聞読み。再び尖沙咀のジムにて今度は筋力運動。九龍に薮用済す往復で『世界』読めば驚くことは、憲法改正反対の「九条の会」にて賛同人のうち井上ひさし小田実大江健三郎が若手で梅原猛どころか加藤周一三木武夫の睦子夫人らが加わり犬養道子が連載を書き「小泉政治の三年を問う」のが都留重人、とこの人たち八十代である。三十年前も『世界』では現役だった人が今でも先鋒に立つのは尋常に非ず。三十年前に学生で『世界』の読者が三十年後、大学の研究者などになりまだ当時の八十代の現役の先輩の書いたもの読む事実。この雑誌にて八十年代にT・K生といふ匿名にて「韓国からの通信」綴った池明観(チミョンクワン)氏の自伝連載始る。興味深いが池氏も七十八歳。書き手が七十代後半から八十代、読者は五、六十代では雑誌の名も『世界』から『老人世界』に変えるべきかも。この末期的症状惧れ儲っている時に廃刊した『噂の真相』の岡留氏はやはり卓見か。
法務省入国管理局のサイトにある不法滞在等の外国人通報制度。それにしても「我が国に入国し在留しておられる外国人の大多数がルールを守っておられることは言うまでもないことですが、一方、残念ながら、我が国には推定約25万人の外国人が不法滞在しており、法務省入国管理局が不法滞在者に対して厳格に対応することもまた、国民社会の要請であると考えています」といふこの拙文ぶり。「おられる」の繰返しは必要以上の尊敬表現、どうせなら「推定約25万人の外国人が不法滞在しており」も法の下の平等で「不法滞在しておられ」にするとか、ところでこの「国民社会の要請」とは何だろうか、国民と社会それぞれの要請か、深読みすれば国民社会の要請であり「外国人の意見はまた別」か(笑)。説明書きには「出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と略します。)第62条第1項には「何人も、第24条各号の一に該当すると思料する外国人を知ったときは、その旨を通報することができる。」と規定されています。入管法第24条とは、退去強制(いわゆる強制送還)についての規定であり、つまり第62条は「我が国にいる不法入国者や不法残留者などを知っていたら、入国管理局などに教えていただいて結構です」という趣旨の規定となっています」とあり、だからこの通報制度が有効である、と。但しこれは「不法滞在者と思われる外国人に関する情報を受け付けるものであり、適法に滞在している外国人に対する誹謗中傷は固くお断りします」とはしているが不審者通報は排外主義と密告制度の臭いあり。インターネット活用が五年は遅れていても入管での外国人管理だけは早い(笑)。いずれにせよ入管法第24条の定める不法滞在にあたる外国籍人士を知った時は通報することが「できる」だけの話で「するかどうか」は個人の判断なのだが、それにわざわざ「(略)教えていただいて結構です」といふ趣旨」と注釈するのも珍妙。例えばペルーのフジモリ元大統領とかこれで通報したいところだが日本政府はフジモリ君は不法滞在とはしておらぬか。この通報制度香港で当てはめれば居留ビザ切れているのに「ついうっかり」とか、就労ビザがまだ有効として(本当はビザ取得時の雇用関係にある職種にのみ有効なのに)勝手に転職している日本国籍人士だの、厳密には不法滞在。その場合、この通報制度などで香港の入境事務処に通報されても不思議ではなし。一度就労ビザ取得しておれば勝手な転職もすでに居留有資格者といふことで大目に見てくれる現状思えば、日本のこの制度の冷徹さをば感じ入るばかり。

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