富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十三日(火)小雨模様。午後より雲一つなき快晴。陽差し強し。右耳昨晩より水が入ったような、或は冷房機の雑音の如き音微かにあり養和病院に電話すると空き時間が耳鼻科の診断時間と合わず百年ぶりに「韓国カラオケより高い」港安病院訪れ耳鼻科W医師の診断請ふ。水も入っておらず音叉試されると高音は問題ないが低音の音叉にて左耳で間違いなくCの音が音叉右耳に近づけるとE音に聞える妙。精密な聴力検査施されるが聴力検査では異常なし。数年前の強烈な眩暈から右耳の時々の不調あるが今回も原因わからず。疲労であるとか精神的なことも影響ありか。左右の平衡感覚に難ありとは(笑)。早晩にジムで小一時間の筋力鍛錬。全勝同士で朝青龍雅山破った一番、確かに強いが(ってジムで相撲中継しているのでなく帰宅して、の話だが)押倒しでも相手の首に手をかけて思いっきり相手斃す様に大鵬北の富士の美しさなど過去のこととしても同じ力でも北の湖千代の富士、二代目貴乃花の全盛時の力相撲とも全く異なる、これは格闘技かとそれが良いのか悪いのかわからぬが格闘技と思わされる、が美しさは余は其処に見い出せず。カレーライス食す。カレーとバーボンソーダが何故か合ふ。小熊英二氏『市民と武装』読む。米国に於ける武装論試論としての「市民と武装」、そして米国の文化多元主義と国家統合についての「普遍という名のナショナリズム」といふ二本の論文。気鋭の小熊氏が米国を語るわけで読むには十分に値する。だが実は内容は9-11以降に書かれたものではなく九十二、三年に書かれた論文。千七百円は高すぎるぞ慶應義塾大学出版会。論文集の抜刷りとはいわぬがせめてブックレット形式でもっと廉価に抑え読むべき若い読者に供するべき。(内容についての感想は後日記載。)米国といへば今日のHerald Tribune紙の二面にElena Lappinといふ記者が“Keeping America safe from foreign writers”といふ記事で書いていたがこの記者が英国Guardian紙の契約で米国入りの際に英国旅券は米国査証免除であるにもかかわらず記者の場合I(Information)ビザと呼ばれる査証必要だそうな。自由の国が海外の報道者に神経質。そういえば米国ではインターネットもプロバイダーが(つまり官憲の要請に応じれば官憲も)利用者のメール内容の閲覧が法律で認められているそうな。現実にインターネットなどプライバシーがあるとは思えぬがそれでも法律で検閲をば合法化しているのとは話が別。米国らしさか。
▼先日、Y氏らと尖沙咀の雲陽閣にて台湾だの日本の鉄道の話となり、秋田や山形の新幹線の話から新幹線と在来線といふ区分があるが地方新幹線のように地方と東京結ぶ効果あっても秋田だの山形県内には便利さより在来線の廃止や本数削減など不便もあり、こういった在来線の鉄道路利用して新幹線走らすのは「在外線」とでも呼ぶべき、と軽口叩いたこと突然思い出す。
親中派御用政党「民建連」にて唯一選挙民の支持高き陳婉嫻女史が民建連を離党。民建連に対して97年返還前までは市民の支持集めたが返還後は世論からも乖離し理想と異なってしまった、と陳女史の弁。現実にこのままでは九月の立法会選挙にて反民建連の流れで自らも落選の可能性高く労働団体基盤として選挙に向かふ選択。本来97年以降董建華率いる特区政府において立法会で最大勢力の与党となるべき政党のこの為体。結局、董建華と同じく欽定で本人らに実力も感性も臭覚もなきことゆへの結果。
▼SCMP紙にロイター電で「小泉安泰、自民党は問題に直面」といふ記事あり。選挙の結果、公明党との連立で過半数維持した小泉政権イラク派兵や年金など国民の不満もあっても他に小泉政権打倒するだけの力が政権内、国会内にないことで06年9月の自民党総裁選挙までの長期政権になる可能性も高まる、と。それに対して自民党は小泉に対する党内対抗勢力を持ち得もせず従来自民党支えてきた党内での派閥力学だの新勢力の台頭といった自浄作用力を失ってしまった、と。これを読むとある面では小泉三世の「自民党をぶっ壊す!」と約った言葉に嘘はないか、とすら思わざるを得ず。

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