富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月三日(月)小雨ノチ曇。遅晩一人北角の某店にて拉麺食す。店主の日式でなく本格的な拉麺香港にて供しようといふ態度敬服、だが折角西山製麺の麺まで仕入れても茹で方に難あり。ちょっと茹ですぎで且つ解れておらぬ麺。考えられるのは茹でる時によく解してないことだがそんな初歩的な仕損じあるはずもなく、おそらく大鍋で茹でているがその日に大量の麺の茹ですぎで湯が濁ってしまい水どんどん足しておらぬため解しながら茹でているつもりが麺がベトベトしてしまい「シャキッ」と茹だらなずと察す。
▼一昨日、S氏持参の東京書籍の出した観光ガイド『香港攻略本』なるレストランガイド本、ページめくっていたら銅鑼灣の益新あり店閉じて五ヶ月経った今でも誰かに「益新連れていって」といわれること少なからず益新存在せぬことに涙禁じ得ず。だが益新の名物料理であった檸檬鷄に「鶏肉のムニエル・レモンソース風味」と紹介あり、あれはムニエルだったとは抱腹絶倒、ムニエルとはフランス料理の料理法の一つで『魚に』小麦粉塗してバターで焼き上げたもの也、鶏のムニエルも珍しいが、そもそも檸檬鷄は「鶏肉の唐揚げに檸檬ソースかけたもの」であってバターで焼かず。而もサービスのよさでは定評あった益新は「特別サービスはよくない」と。ムニエルが何かも知らぬ田舎漢ではまともなサービスなど受けられる筈もなし。この『攻略本』詳細なデータの中には各レストランの地元客比率とかサービス、日本人の多少、トイレの清潔度などあるのだが、評価にどれだけ信憑性あるのかかなり疑問。そもそもレストラン評価など客観性ないがミシュランであるとか匿名の評定家足を運ぶわけだが、この『攻略本』その記述一見すれば実に無責任且つ信憑性に欠けるものであること明か、椅子から転げ落ちるほど驚く。益新が「特別サービスはよくない」のだが金持ち常連以外には慇懃無礼の感もある海都海鮮酒家は「気さくで親切」と……鮑魚だの燕の巣でも食べれば親切かも知れぬが気さくとは。で、陸羽茶室は「サービスはあまりよくないが日本語のできるJohnさんは親切」と(笑)。陸羽など常連の店にて観光客に慇懃無礼は当然、言葉も通じないから日本語のできるJohnさんだけが親切と思えた、とその程度。野暮。白眉は北角の東寶小館にて、日本人も行く、とあるがここは日本人か地元民でも「街市の汚い熱食中心など行ったことない」若い世代が時々あらわれる「スター」との邂逅期待して参って繁盛しているわけで、つまり日本人とかそういう連中「しか行かない」店なのだが、この街市にある、つまり当然、他よか汚かろう、しかし他の街市の熱食中心に比べたら冷房完備で段違いにきれいなこの店なのだが、ここのトイレ評価は他頁は「きれい」だの「あまりきれいじゃない」だの「普通」だなのに比べ東寶小館だけ「日本人向きではない」と。日本人=衛生的?で東寶のトイレは「汚い」という意味か、支那式なので日本人向きぢゃないのか?、日本式の雪隠じゃない、という意味か、いずれにせよ非常に不快さ伴う表現。この程度の認識は観光客ならいざしらずそれをレストラン評価として買くライターもライターならそれを出版する東京書籍も東京書籍。東京書籍、社会科教科書では検定教科書のなかで良識的と定評「あった」大手ながら最近は新潟県中里村の「雪国はつらつ条例」を「雪国つらいよ条例」として教科書に載せたり公民教科書での誤植ミスなど大丈夫だろうか、この出版社。