富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十月初四

気温6.9/20.6度。快晴。出先でハイビスカスが瀕死の状況から見事に育つてくれたのは良いが鉢植えで育ちすぎ枝分けと挿し木の時期を待つてゐたが未だ蕾も少なからず致したかなく強引に枝分けとプランターに挿し木を済ます。バルコニーのプランターの土も弱つてゐたので土壌改良剤混ぜたり。ほとんどシルバーワーク。かなり汗をかく。

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▼水府から東京を頻繁に往来するがJRは特急の「トクだ値」を使ふと30%OFFなら2,710円。乗車券が2,310円なので+400円で特急で1時間余なので各停のグリーン車よりずっとお得。高速バスが2,000円だが2時間かゝるので「トクだ値」を使ひたいが1ヶ月も前に予約=移動の時間を決めないといけないのが難。今朝これで12月の特急を予約したら往路は取れたのに復路がクレジットカード(ViewCardの大人の休日カード)での支払ひで拒まれる。JR東日本のシステムエラーではなくクレジットカード会社の3Dセキュアの認証失敗ださう。試しに同じViewCardのビックカメラカードにしたらすんなり認証。ViewCardに電話すると状況確認して2時間後だかに電話あり。JR東日本の「えきねっと」でカード不正利用多発でシステム上のセキュリティ上げて今回の復路で決済不可となつた模様だといふ。カードぢたいの記録で何か問題もなく(未払いとか不正利用)なぜ往路では認証され直後の復路が不可だつたのかは理由不明。これを判断するのはAIださう。同じViewCardでもビックカメラで認証された点はセキュリティのシステムが違ふのか電話の相手も説明できず。いずれにせよセキュリティを通常の状態に戻してゐるので通常に使へるはずだといふ。もう我々が判断できるレベルでシステムは動いてゐるのではない。

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一昨年から愛読してゐた『能楽タイムズ』も年明けで休刊の由。昔ならこの公演情報が貴重だつたのだらうが今はネットで更新情報満載。さうなると舞台評や対談などの面白さこそ、なのだが『演劇界』も休刊したやうに、それも六ッかしくなる。つまらない評論なら不要だが村上湛君の月まとめの舞台評など実に面白かつたので、それが読めなくなるのは残念。

陰暦十月初三

気温摂氏4.4/17.4度。快晴。


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ツルウメモドキを乾燥させて果皮もきれいに落として、また飾る。


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台所にはカーネーション。早朝は日が照るまでもうアラヂンのストーヴが活躍。燐寸の燃えたのを入れるのに随分前にホームセンターで安売りしてゐた仏壇用のやつが偶然にアラヂングリーンで同じ色だつた。

お別れ会@水戸芸術館

陰暦十月初二。気温摂氏6.4/18.4度。快晴。

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この夏以降、水戸芸術館にとつては重要なお三方が相次いでご逝去。本夕その「お別れ会」水戸芸術館で開催される。

森英恵(理事長) 吉田光男(副理事長) 小口達夫(水戸室内管弦楽団名誉顧問)お別れ会|水戸芸術館

母の随行で末席を汚す。会場に入るとステージ上に室内楽のセットとピアノ。水戸室内管弦楽団(MCO)の追悼演奏はあると思つてはゐたが弦楽四重奏とか小さなものを想像してゐた。明後日から定演(第110回)でリハも始まつてゐるから、かうなつたか。藤田真央君のピアノを今日この場で聴くことにならうとは。


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市長の随分と長い(20分くらゐ?)追悼の言葉は原稿も見ずに言葉は滑らかだが追悼どころか文化、芸術に関する施政方針演説の如し、でクサる。市議会議長のあとに小澤征爾館長の名前もあり「まさか?」と思つたがメッセージで堀傳・楽団長が代読。短いメッセージだつたがさすがマエストロオザワで堀さんの感無量の声を絞り出すやうな叫び。水戸芸術館は創設者である佐川一信市長、江戸秀雄初代理事長、吉田秀和館長に続き地元の最良のパトロンとして運営に尽力された吉田さんとMCOの実質的プロデューサーであつた小口さんのご逝去は本当に痛ましい。今回のこのお別れ会の発起人にマエストロオザワ、芸術館設計した磯崎新氏の名前もあるがお二人とも高齢で体調もすぐれず……もうかうした大人たちの後継者の不在。

Mozart, Divertimento K.136 - MCO

吉田秀和館長の「水戸へのプレゼント」たるMCOの演奏はモーツァルトで藤田真央君のピアノによる協奏曲23番から第2楽章。全曲は今週末の定演のお楽しみ。それにしても追悼の演奏としてMCOの演奏としても格別のもの。真央君は同じ曲でもきちんと音色から、そのときの大切なものを醸し出す才能がある。続いてディヴェルティメント K.136はサイトウキネンからの大切な曲。本当に素晴らしい献奏となつた。

遺族からのご挨拶で最後の小口夫人の凛とした姿勢でのご挨拶が見事に会を締めくゝられた。吉田館長に請はれNHKを定年前退職してMCOにかかゝられた小口さんの喜び。ステージでもヴァイオリンの安芸晶子さんらメンバーも小口夫人の言葉には感涙。

考へてみれば江戸秀雄は筑波の出で旧制の水高に学び地元の人といへばさうだが水戸には縁のなかつた吉田秀和さんが小澤征爾森英恵、小口さんらを水戸に呼び、こんな芸術空間ができてしまつた。佐川市長と吉田さんは地元で、それの親方だつたのだが、この遺産をどれだけ活かすことができるのかが問はれてゐる。会が終はりロビーではパイプオルガンの演奏(浅井美紀さん)のなか献花。吉田家、小口家のご家族にご挨拶。吉田光男さんのご家族とは昔からのおつきあひ。母によれば小口ご夫妻も水戸に来られるとご贔屓にしてゐたゞいたさう。

陰暦十月初一

気温摂氏9.3/13.9度。曇。群馬の柿、奥久慈(大子町)の蘋果(陽光)などいたゞく。家人も出かけてゐて晩に戻り、ごはんは簡単にと近所の餃子無人販売所で餃子贖ふ。半年ほど前に開業当初は間口二間半ほどの店舗で二間幅の大型冷凍庫2機に冷凍餃子がずらりと充当されてゐたが今日行つてみたら冷凍庫は正面の1機のみでメインの宇都宮餃子も在庫は2打ほどで他の種類の餃子や野菜餃子、焼きそばなどもラインナップに加え、その在庫も少しに押さえゐた。餃子無人店舗も増えすぎて需要に対して供給過多。

「再び真剣勝負で戦いたかった」って何うせまた負けるだろ。晋三一強政権成立の最大の功績者として追悼演説は適役。そもそも晋三のあの国会論戦でのはぐらかしぶりを見てゐたら真剣勝負する相手ぢゃないだろ。自民党は野田さんの銅像でも建立すべき。

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陰暦九月晦日

気温摂氏10.4/14.6度。暦は霜降も過ぎたといふのに出先で手をかけてゐるハイビスカスが鉢植ゑなのにまだ毎日のやうに花をつけてゐる。昨日、もう翌朝に開くのを待つ蕾が枝のところでへし折られてゐたのを見つけた。そこで剪んで陋宅に持ち帰つて、これも活けるといふのかしら。今朝それが見事に開いてくれてゐた。


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叔父が喉頭癌で春に入院して転移がなかつたのが幸はひ放射線治療など功を奏して退院。その見舞ひではない、快気祝ひに母と家人と出向く。お家の敷地の先に建物建築中でF祭典社のセレモニーホールつまり葬儀場である。自宅の近くにコンビニだとか超級市場、ホームセンターや病院ができたのなら「そりゃ便利になつたこと」といへるが葬儀場ではさうもいへず困る。だがご本人が「自動車に乗せてきてもらつて「葬儀場のところ」といふのも何だか」とネタにして笑つてゐた。

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那珂市東木倉の手打ち蕎麦〈だぼう〉に久しぶり。もう肌寒いが温かいお蕎麦では汗をかきさうで鴨せいろ。美味。秋も深まり少し寒い季節は着る物もなか/\六ッかしい。ユニクロヒートテックステテコといふのを春と秋には愛用してゐたが1枚残して夏前に処分してゐたのでユニクロ(那珂店)に寄ると今年のラインナップにないといはれる。親切な店員で調べてくれたら昨年の在庫がまだ大型店にはあるといはれ慌てゝ水戸元吉田店へ。Mサイズはグレーが残り3枚で買ひ占め。

蓮實重彦監督 小津安二郎〔増補決定版〕』(筑摩書房)通読。「小津的なるものと小津的「作品」とのズレを画面を通して明らかにする」ことが狙ひださうなのだが正直、蓮實先生のディスクールについてゆくのが精一杯。

小津的なものという暗黙の申し合わせの支配から小津安二郎を救い出すためにも、われわれはその作品を見続けなければなるまい。そして、あの画面からこの画面へと滑走しつづけ、間違ってもその一つを特権化したりはしないこと。解釈が始まる瞬間、人はもはや瞳の廃棄をおしとどめることはできない。たがいに反映しあうあの画面、この画面の焦点に身を置き、その場でおのれの消失を体験すること。「無」とは、一篇の映画の中に描かれているのではなく、見ることのうちに生きられる体験なのだ。それが、残酷さと境を接した快楽であうことはいうまでもない。

アタシには何だかよくわからない。蓮實先生の小津論で小津安二郎は「小津的なもの」から救済されたのかしら。むしろ蓮實ワールドに溺れてしまひさうなのだけど。評論は潔いこと。それが最も大切な気がする。

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菊花賞拾遺。皐月賞のジオグリフ、ダービーのドウデュース、いずれも2着に甘んじたイクイノックス……それら春2冠の連対馬不在となつた菊花賞昭和32年以来65年ぶりだつたのださう。そこでダービー3着のアスクビクターモアが意地を見せた。

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照顾胡锦涛先生🇨🇳

陰暦九月廿八日。霜降。気温摂氏10.5/23.5度。晴。

菊花賞キタサンブラック産駒のガイアフォース(松山)1番人気で横山武騎手で応援したいドゥラドーレスは3番人気。2番人気のアスクビクターモア(田辺)かガイアかと悩み距離は3千と長いが出走から一度裏さへ上手くいけばアスクではないか、と読んではみたものゝ平地G1で1番人気馬15連敗が続くなか、それを止めるのはガイアしかゐないのでは?なんて妄想が始まつてしまつたら結果はアスクで7番人気のボルドグラーシュ(吉田隼)の追撃をハナ差でかはして2.02.4のコースレコード(前記録は2001年に2.02.5のナリタトップロード)で優勝。競馬で余計な物語を演出してしまつてはいけない。

(那覇市長選)自公支持で城間前市長支援の知念氏初当選 「オール沖縄」翁長氏破る:朝日新聞

城間前市長曰く個人としては辺野古移設は反対。だが那覇市長選挙で問はれるのは市政運営であつて政治姿勢ではない、と。御意。翁長前知事の倅(35)が何のやうな人か知らぬが沖縄の基地の問題は本来は沖縄選出の国会議員そして県知事に委ねるべき。自民党出の翁長前知事の掲げた「オール沖縄」が沖縄で分断の温床になる必要はない。むしろいま求められるのは理性的な保守中道だらう。城間さんくらゐのリベラル保守の強かさこそ大切。

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胡錦濤前総書記の党大会大詰め退席が大陸で一切報じられぬなか、少なくとも退席の事実を新聞が報じられたのは香港の一国両制か……それにしても明報の記事もあくまで党政府は胡錦濤の健康上の問題で退席と報じるのみでそれ以上の猜疑は一切ない。
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代々木能舞台

陰暦九月廿七日。気温摂氏11.5/21.5度。新宿角筈1のCTにて散髪。全面的信頼の理容師T君は祖父母に会ふのが楽しみと正月3年ぶり中標津に帰省なのださう。羽田から1日1便だが2時間(札幌は2便で1時間)と思ふと常磐線で水府に戻るのとあまり変はりないのかも。代々木能舞台お能のため初台へ、のつもりが新宿から京王線で各停に乗つたのに次は笹塚。あっ……初台と幡ヶ谷は京王新線だよ。それは昭和53年から。これは初台に来るのが昭和以来といふより痴呆か。笹塚から初台に戻るのだから角筈から歩いた方が早かつた。家人と代々木能舞台。都内で唯一残る屋敷内能舞台なのださう。客席に通されるとこのやう。

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廊下に並べた板の背凭れのない長椅子に並んで座り中正面から舞台を見るとこんな感じ。橋掛かりの桁行が五間半。舞台はこんな風に見えて鏡板は渡邊伍光(鏑木清方門下)の作。

アタシらの長椅子の前に茣蓙の敷いてる板の間も舞台。西側の壁に張られた布の裏は鏡板で松が描かれてゐて実はこちらが「敷舞台」。

こんな具合で敷舞台と中庭に本舞台のある珍しい形。敷舞台は大正12年の建造で昭和8年に四谷より当地に移築。空襲でよくぞ焼失免れたもの。甲州街道の向かひ側の幡ヶ谷は全焼だが初台から参宮橋一帯焼け残つたのは東に明治神宮があり都心からの類焼免れたからなのだらう。中庭に建つ本舞台は昭和25の建造(いずれも現在は国の有形登録文化財認定)。それでかういふ構造に。夏も冬も半屋外には厳しい条件の能舞台で、この時期だからこそ。本日の番組は舞囃子で小早川康充の〈歌占〉のあと浅見慈一さんの〈三井寺〉で子方(小滿丸)は武田智継君。

お能のあと初台から降り参宮橋の商店街に入り小田急線を渡り舊五輪選手村傍らを歩き代々木公園へ。犬の散歩多し。原宿から表参道へ。芋を洗ふがごとき人出。南青山まで歩くのに裏道入らうにも、このあたりは一筋入ると崗だ谷だとやゝこしい街並み。早晩の夕食まで1時間余あり太田記念美術館に入る。

はこぶ浮世絵-クルマ・船・鉄道

このタイトルからすると明治までなら大八車だとかしか想像できないが「運ぶ」といふ点で広重などの作品に登場する街頭で商品売り歩く人、旅の荷を持ち運方、馬方など的で物を運ぶ人々ばかりか(些か強引だが)深川の料亭で料理を運ぶ人からの姿まで。面白い。

特別展「鉄道開業150周年記念 人物でみる日本の鉄道開業:港区立郷土歴史館

など運輸に纏はる展覧も幾つかあり。この太田記念から根津美術館前までGoogle地図で歩いて20分だが表参道は本当に歩行者に溢れ歩くのも難儀。この2年半かうした人出に慣れてゐないので混雑のなか歩くのが大変。天ぷらの〈みや川〉で午後5時開店で口開けかと思つたら、もうお一組あり。堺の出で東都に下つて南青山で店を構へ半百のご亭主の天ぷらの世界が何ともいへず。天つゆのお出汁が鼻を擽る。前菜のやうに吉野葛の天ぷら。さっぱりとした掻き揚げまで美味しくいたゞく。

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前回は六月に母と国立劇場で京蔵さんの舞台拝見のおり晩は早五時から満席で五月に家人と来て以来。そのときは渋谷に出るのに首都高下の六本木通りから青学キャンパス下を潜つてしまつたので本日は素直に表参道から銀座線で渋谷へ。渋谷駅で埼京線の方に「新木場行き」とか池袋行きの特急踊り子だとか何だかキツネにつまゝまれたやう。品川から水戸に戻ると水戸駅のホームがまるで渋谷駅の埼京線のやうな混み具合で駅舎のコンコースも今まで見たこともないほどの人出。今晩(夏祭りの花火が順延で)千波湖の花火大会だつたやう。それにしても十代の若者ばかり。家人曰く今どき電車で花火見物は自動車もない若者だけなのかしら。確かに。

泣く子も黙る中共である。胡錦濤が党大会の席上で重要な議決の前に退席させられただけ、つまり明らかに習近平体制への不満ある胡錦濤が党大に出させれただけ、まだ法治ならぬ「党治」の原則はあつたのか。この程度で驚くなかれ。これまでの中共百年なら内ゲバ、粛清、鄧小平のやうな失脚や幽閉、劉少奇のやうな虐殺すら常套手段。それに比べれば、かもしれない。それにしても前党総書記が党大会の壇上から退出させられるにあたり壇上に並ぶ党中央お歴々のあまりの「見て見ぬふり」に一党独裁専制体制に背筋もぞっとするばかり。それにしても胡錦涛退席のその瞬間が、党大会大喜利前で外国人記者団入場の際に露見されてしまつたとは。まさに事故現場。わざ/\これを世界に見せつけるほどのつもりもあるまいし習近平にとつては三期目続投決定の重要な場面でとんだミソをつけたもの。またさらに無表情となり首が傾げるか。