富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦九月晦日

気温摂氏10.4/14.6度。暦は霜降も過ぎたといふのに出先で手をかけてゐるハイビスカスが鉢植ゑなのにまだ毎日のやうに花をつけてゐる。昨日、もう翌朝に開くのを待つ蕾が枝のところでへし折られてゐたのを見つけた。そこで剪んで陋宅に持ち帰つて、これも活けるといふのかしら。今朝それが見事に開いてくれてゐた。


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叔父が喉頭癌で春に入院して転移がなかつたのが幸はひ放射線治療など功を奏して退院。その見舞ひではない、快気祝ひに母と家人と出向く。お家の敷地の先に建物建築中でF祭典社のセレモニーホールつまり葬儀場である。自宅の近くにコンビニだとか超級市場、ホームセンターや病院ができたのなら「そりゃ便利になつたこと」といへるが葬儀場ではさうもいへず困る。だがご本人が「自動車に乗せてきてもらつて「葬儀場のところ」といふのも何だか」とネタにして笑つてゐた。

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那珂市東木倉の手打ち蕎麦〈だぼう〉に久しぶり。もう肌寒いが温かいお蕎麦では汗をかきさうで鴨せいろ。美味。秋も深まり少し寒い季節は着る物もなか/\六ッかしい。ユニクロヒートテックステテコといふのを春と秋には愛用してゐたが1枚残して夏前に処分してゐたのでユニクロ(那珂店)に寄ると今年のラインナップにないといはれる。親切な店員で調べてくれたら昨年の在庫がまだ大型店にはあるといはれ慌てゝ水戸元吉田店へ。Mサイズはグレーが残り3枚で買ひ占め。

蓮實重彦監督 小津安二郎〔増補決定版〕』(筑摩書房)通読。「小津的なるものと小津的「作品」とのズレを画面を通して明らかにする」ことが狙ひださうなのだが正直、蓮實先生のディスクールについてゆくのが精一杯。

小津的なものという暗黙の申し合わせの支配から小津安二郎を救い出すためにも、われわれはその作品を見続けなければなるまい。そして、あの画面からこの画面へと滑走しつづけ、間違ってもその一つを特権化したりはしないこと。解釈が始まる瞬間、人はもはや瞳の廃棄をおしとどめることはできない。たがいに反映しあうあの画面、この画面の焦点に身を置き、その場でおのれの消失を体験すること。「無」とは、一篇の映画の中に描かれているのではなく、見ることのうちに生きられる体験なのだ。それが、残酷さと境を接した快楽であうことはいうまでもない。

アタシには何だかよくわからない。蓮實先生の小津論で小津安二郎は「小津的なもの」から救済されたのかしら。むしろ蓮實ワールドに溺れてしまひさうなのだけど。評論は潔いこと。それが最も大切な気がする。

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菊花賞拾遺。皐月賞のジオグリフ、ダービーのドウデュース、いずれも2着に甘んじたイクイノックス……それら春2冠の連対馬不在となつた菊花賞昭和32年以来65年ぶりだつたのださう。そこでダービー3着のアスクビクターモアが意地を見せた。

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