陰暦十月初二。気温摂氏6.4/18.4度。快晴。
この夏以降、水戸芸術館にとつては重要なお三方が相次いでご逝去。本夕その「お別れ会」水戸芸術館で開催される。
森英恵(理事長) 吉田光男(副理事長) 小口達夫(水戸室内管弦楽団名誉顧問)お別れ会|水戸芸術館
母の随行で末席を汚す。会場に入るとステージ上に室内楽のセットとピアノ。水戸室内管弦楽団(MCO)の追悼演奏はあると思つてはゐたが弦楽四重奏とか小さなものを想像してゐた。明後日から定演(第110回)でリハも始まつてゐるから、かうなつたか。藤田真央君のピアノを今日この場で聴くことにならうとは。
市長の随分と長い(20分くらゐ?)追悼の言葉は原稿も見ずに言葉は滑らかだが追悼どころか文化、芸術に関する施政方針演説の如し、でクサる。市議会議長のあとに小澤征爾館長の名前もあり「まさか?」と思つたがメッセージで堀傳・楽団長が代読。短いメッセージだつたがさすがマエストロオザワで堀さんの感無量の声を絞り出すやうな叫び。水戸芸術館は創設者である佐川一信市長、江戸秀雄初代理事長、吉田秀和館長に続き地元の最良のパトロンとして運営に尽力された吉田さんとMCOの実質的プロデューサーであつた小口さんのご逝去は本当に痛ましい。今回のこのお別れ会の発起人にマエストロオザワ、芸術館設計した磯崎新氏の名前もあるがお二人とも高齢で体調もすぐれず……もうかうした大人たちの後継者の不在。
吉田秀和館長の「水戸へのプレゼント」たるMCOの演奏はモーツァルトで藤田真央君のピアノによる協奏曲23番から第2楽章。全曲は今週末の定演のお楽しみ。それにしても追悼の演奏としてMCOの演奏としても格別のもの。真央君は同じ曲でもきちんと音色から、そのときの大切なものを醸し出す才能がある。続いてディヴェルティメント K.136はサイトウキネンからの大切な曲。本当に素晴らしい献奏となつた。
遺族からのご挨拶で最後の小口夫人の凛とした姿勢でのご挨拶が見事に会を締めくゝられた。吉田館長に請はれNHKを定年前退職してMCOにかかゝられた小口さんの喜び。ステージでもヴァイオリンの安芸晶子さんらメンバーも小口夫人の言葉には感涙。
考へてみれば江戸秀雄は筑波の出で旧制の水高に学び地元の人といへばさうだが水戸には縁のなかつた吉田秀和さんが小澤征爾、森英恵、小口さんらを水戸に呼び、こんな芸術空間ができてしまつた。佐川市長と吉田さんは地元で、それの親方だつたのだが、この遺産をどれだけ活かすことができるのかが問はれてゐる。会が終はりロビーではパイプオルガンの演奏(浅井美紀さん)のなか献花。吉田家、小口家のご家族にご挨拶。吉田光男さんのご家族とは昔からのおつきあひ。母によれば小口ご夫妻も水戸に来られるとご贔屓にしてゐたゞいたさう。