昨日のMTR紅磡站近くの脱線事故につき暴徒テロで3面費やし総力特集。もはやカルトである。さらに付録の〈香港暴乱百日真相〉は「真相」には遠いが要保存の出来栄え。当然ながら721の元朗事件も831の太子站真相も警察暴力も北角幇も出てこないのだが。本当に暴徒が好き、暴徒なしには大公報は存在できぬ。結局、中共がウイグルとかチベットの反乱分子がゐることで中共を強固にまとめてゐるやうに一党独裁を正当化するには常に正当な?敵が必要なのだが。
大公報發特刊揭香港暴亂百日真相 促全港各界齊來止暴制亂
さすがに蘋果日報も「実は中共特務の仕業か?」なんてはせず。
で本日は九一八で満州事変から88年。江泽民の時に随分と盛り上げたが习近平になつて全国規模での追悼の荘厳さの極み。柳条湖の現場にある施設での式典に参加した大学生が「歴史の真実を学び中国の受けた犠牲、そこからの復興で自分も国家のため懸命に生涯を捧げたい」 と。
大連の領事事務所より日本人に出された「お知らせ」には九一八の歴史的経緯など一言も触れられてゐない。それを知らぬ世代の日本人が大連にゐるといふのに。かういふことに触れないのが「お国柄」か。
その九一八に先立ち昨日、香港では大埔烏蚊騰にある抗日英烈記念碑が「反送中」と汚される狼藉あり。日本の中国侵略で広東、香港に抗日の歴史あり烏蚊騰はその当時の拠点。東江縱隊以烏蛟騰為基地英勇抗戰 反送中の「暴徒」には广东人民抗日游击队东江纵队が「中国共产党领导的」なのが不愉快なのだらう。だが「抗日」は中国人のアイデンティティの構造に深く関はる。昨日だかからネットに中共が公式に「香港人は本当の中国人じゃない」とコメントした……と流れる。
画像は中国外交部の笑はない報道官(って全員、笑顔がないのだが)华春莹。これが香港は夷狄とされた偏見、いや寧ろ南蛮で結構、あんな連中と一緒になりたくはない、となる。すぐにこれが拡散されるのだが一体何ういふ発言なのか。ファクトチェックぢゃないが16日の外交部定例会見で日曜に香港で英国総領事館に抗議者押しかけ英国による香港の保護や英国国籍要求などあつたことに対しての問答。
(记者)问:一些香港示威者周日在英国驻港总领馆前游行,呼吁英方采取更多措施保护香港人,比如给予他们英国国籍。中方对此有何评论?
(华春莹)答:对于过去两天发生在香港的事情,特区政府已作出了回应。我想说,这些人去英国驻港总领馆面前,要求获得英国公民资格,我不知道他们还能不能算是真正的中国人。身为中国人,这样去乞讨外国的干预,我觉得是非常令人不齿的,绝对不是什么可以引以为荣的事情。
といふわけで、こうした行動は「彼らが本当に中国人なのかどうか私には信じられない」と発言したもので外国の干渉を求めるといふことへの非難。少なくとも「香港人は中国人ではない」ではない。华春莹なりに中国人=中共人のやうだが、その矜持あり、それのないものは中国人として風上にも置けぬとなる。かうだから最近、香港で関心高き王柯教授(神戸大学)のいふ中国の近代民族主義と愛国の呪縛に陥つてゐる。
Nation,原意是以國民主權為核心而成立的國家和人民之間的契約關係,基礎是對個人權利的尊重;日本用漢字譯作「民族」後,由於日本單一種族、單一語言、萬世一系的天皇體制,使民族成為血緣關係的闡述。至於「中華民族」這個詞語,最初是由梁啟超在甲午戰爭後於1898年提出的,他所想像的「民族」,是以獨立個人的國民作為構成nation state的主體。到孫中山提出「驅除韃虜,恢復中華」號召革命推翻滿清,就給「中華」賦予排滿並以單一漢族為主體的意涵。王柯認為,漢人革命家為了從滿清手中奪回統治正當性而發明的「中華民族」,比「日本民族」的定義還要狹窄。「中」表達地域概念,「華」表達文明形式,「族」表達血緣關係,這三重元素證明「漢」(「民」)是一個必須具有自己國家的集團(「民族」),並以此區別他者、尋找敵人,「滿」是一個不能與「漢」成為同一種nation的「異類」。
西方原本是為了實現國民主權,保證民主、自由、平等、人權等普世價值而追求的nation state,在中國就成了由單一民族(漢族)構成的nation state——「中華民族」國家。原本是民主主義性質的nationalism,就這樣在近代中國被偷梁換柱,變成了一個「民族」至上的主義。而絕大多數中國人,不會意識到近代中國民族主義對nationalism的閹割和歪曲。於是近代中國的掌權者們得以大力宣揚「中華民族」的利益就是終極的價值。
通過滿清入關大屠殺、列強瓜分和日本侵華和南京大屠殺,以不斷宣傳「祖先遭遇慘禍的集體記憶」,而加強了「屈辱的民族主義」的集體意識。帶有復仇心理的「中華民族國家思想」成了一種春秋大義,民族主義在中國有絕對的價值。
民族主義巨嬰 - 李怡 | 蘋果日報 | 20190919
これ、日本では樋口陽一先生や小林節先生も立憲国家の基礎の部分で指摘してゐること。
反送中で609の100万人デモから100日経過で反送中に出口見えぬなか、この運動を見る目は良くも悪くも厳しくなつてきてゐる。このBBCによるAnson ChanへのインタビューもAnson Chanに対して逃亡犯条例は撤回できて反送中の目的はまず解消されたのに何故にそこで妥協せぬのだ?と執拗に迫り「反送中に否定的、親中的」とコメントに苦言もあるが番組は辛口の"Hardtalk"でインタビューアー(Stephan Sackur)も体制側の時の権力者相手ならまだしも在野の「民主派」相手にこれをやるのは逆に勇気も要るところ。この立場が欧米代表するものとしてはいけないが民主派への無条件支持でなければ、このあたりが良識か。
Opinion | Hong Kong’s Protests Could Be Another Social Media Revolution That Ends in Failure - The New York Times
紐育時報といへばリベラル左派で反送中の立場での記事が多い。だがこの記事*1は「たられば」は禁じ手だが20140831の全人代決定を甘んじて受け入れてゐれば提灯占拠とはいへ行政長官選出も普選実施だつたわけで今よりはマシな状況であつたのではないか、と。そしてSNSを基盤にした運動で出口が見えなくなつてゐる。
Are Hong Kong’s protesters headed toward an Arab Spring ending? - The Washington Post
この華府郵報の記事*2も組織と代表者なき、決定機関なき運動が「アラブの春」のやうな失敗に終はるのではないか?と憂ふ。
今日くらゐは何事もないかと思つてゐたら香港ジョッキークラブが今晩のHappy Valleyでの競馬開催取り消し。
721の元朗暴乱で白シャツ愚連隊との親密な関はり疑はれ反送中では建制派でも悪役中の悪役、立法会議員・何君堯の持ち馬「天禄」が今晩、芝1000mに出場でClass-2のため通常なら後半の山場だが反送中の抗議も視野に第1レースに設定。夕方の開場で抗議者集まれば……だつたが午前中に早々の中止決定。悪天候や競馬での事故による中止は少なくないが政治的な理由での取り消しは1978年の職員ストと1984年のタクシー運転手スト、それに2008年の四川大地震追悼を除けば直近でも1956年の双十暴動で、それ以前になると1941年12月6日の日本軍侵港時となるほど。何君堯はジョッキークラブ会員として正当に持ち馬があり、それの出場も健康上等問題もなければ主催者側で出走取消の権限はなく何君堯が自ら取り消さぬ限りは一頭=一人の馬主のために全レース取消しとなる。何君堯自身は状況鑑み競馬場に行かぬなど措置をとるつもりだつた由。
今日のこの措置を鄧小平の一国両制で「舞照跳、馬照跑」(ダンスホールも競馬もそのまま)といふ名言引き合ひに出して「競馬もダメになつた」と嘆いてみせる言もあるが競馬開催じたいが否定された=賭博禁止ではない。あくまでアクシンデント。
それにしても反送中が香港のあらゆる面に大きな影響を与へるやうになつてしまつた。
▲THKのこの番組、それ/\の立場の、それでも中立からリベラル左派が多いが、一人語りで自由に発言させる。今回は民陣の岑子杰君。NHKにはできない番組だらう。RTHKは視聴料もとらず香港政府の予算、つまりは我々の税金で運営されているが、これだけ政府からも距離おいた制作姿勢で忖度もないから立派。