富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

甲辰年正月十二日

気温摂氏4.4/9.4度。最高気温が昨日に比べ13.6度も低い。曇。霧雨(5.5mm)。去年も一昨年も今日は金澤に旅してゐた。

一年に一度あるかないか図書館からの借本が0となる。何だか宿題や課題もなく晴々とした気分。書籍はできるだけ購入しないで図書館利用してゐるが、それでも公立図書館にない本は購入してしまふので自然と「積んどく」の書籍も少しずつ増えてゐる。図書館といへば直近で読んだ小田雅久仁『禍』が本を開くと何だか異臭。何かと思へば本がタバコ臭いのだ。愛煙家の書斎の蔵書がタバコ臭いのならわかるけれど図書館の本なんて借りて読んでゐる間に煙草臭がつくものかしら。最初からそんな臭ひの紙で製本なんてことはないだらう。そんな、ふとしたことだが小さな違和感から破天荒に物語が始まると雅久仁の世界なのかもしれない。

この技術力、計画力と正確な実行こそ日本の世界に誇れる産業!と思つたが、そも/\渋谷駅みたいな複雑なラビリンス、ダンジョン構造の鉄道駅なんて他にないのだから、この培つたノウハウなんて輸出もできないか。

▼一昨日出向いた耳鼻科は建物も昭和レトロそのものなのだが診察室の診察機器もレトロな上に院長は今どき紙のカルテに万年筆(Lamyのサファリ)でドイツ語を綴り書き終はるとブロッターでゴシっとして……もはや「巫山戯てゐるんですか?」とすら思ふほど。重要無形文化財である。今どき万年筆ですら普段使ひも珍しい。重要無形文化財といへば山形の黒川に王祇祭をご一緒した近畿の大学のY先生(経営学)が万年筆持参されてゐた。黒川能のことなどきちんとノートに記録をつけられてゐた。それくらゐ万年筆ですら稀。黒川といへば今でもとき/\舞台が黒川の夢を見る。破天荒な夢なのだが。王祇祭を間近で体験させていたゞいたのがまだ今月初のこととは。何だかとても昔のことのやうだが印象は強烈。