富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

小泉文夫『日本の音』(平凡社ライブラリー)

癸卯年十一月廿七日。気温摂氏▲1.9/7.6度。晴。

日本の音 (平凡社ライブラリー71)

この小泉文夫日本の音』(平凡社ライブラリー)は新刊は昭和52年に青土社から刊行されたもので、更に各章の初出は昭和41年〜49年つまり半世紀も前なのだからもはや古典の部類のやうだが今日これを読んでも内容が全く遜色ない。日本の音楽を「日本独自の」とか「日本で培はれた」とせず(この本の副題にあるやうに)「世界の中の日本音楽」として日本音楽について思考を巡らしてゐる。

私たちは、日本の文化は日本人特有のものと強く考えがちであるが、以外に国際性をもったものであることを無視できない。

日本独自のものなどこの世にはなく、たゞ独特の持続と変化を遂げただけなのだ。その産物を何う評価するか、は勝手。だが最初から「独自のもの」など「ない」といふこと。

もし現代音楽は何かということを、今の時点でみるのではく、ずっとあとの時代から振り返ってみたときに、おそらく人々は20世紀こそ初めて大衆が自分たちの音楽を発展させ、しかも国際的に交流が始まり、そのなかで特に黒人のリズムや表現が世界的に強い影響力をもった時代と規定するかもしれません。