富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Virtuelle Koloskopie

癸卯年十月廿二日。気温摂氏0.3/14.3度。晴。三ヶ月ほど前の定期検診で大腸癌につき要精密検査とされ原因は便潜血があつたからださう。検便の前日だつたかかなりの硬便で裂肛の出血があつたので、それが原因ではないかと思ふが主治医に相談したところ折角の機会だと思つて大腸癌の検査をしてみるやうに勧められ本日の検査に。

大腸CT(CTコロノグラフィー)慶應義塾大学病院

昨日の朝食から食事のたびにガストログラフイン(ヨード系造影剤)の5%水溶液を200mlずつ3回飲む。けして不愉快な味ではない。食事は昼からGlico製の大腸検査食。昼は大根とじゃがいもの鶏そぼろあんかけで夕食は煮込みハンバーグ。いずれも白粥がつく。これが予想以上に美味い。

大腸検査食 エニマクリン コロミル 6188981

夕食の2時間後にマゴクロール酸とピコスルファート(いずれも下剤)、ガストログラフインを混ぜた水溶液を400mlも飲む。これがちょっとジンフィズのやうな味で不味くない。この検査の説明を受けた際に病院職員に、この下剤服用後の下痢がいつ来るかわからず寝てゐる間など無意識の間に軟便を漏らして下着や寝衣、シーツなど汚す場合もあると驚かされてゐた。寝るまでお腹がぐる/\する程度だつたが念の為に大人用の簡易おむつをして寝る。睡眠中に何度か腹瀉感で目が覚めてトイレに行くと朝からの服薬と消化良すぎる検査食の所為で軟便どころか所謂「水様便」で腹痛もけしてひどくない。かうした検査用の事前処理は不快感ないやうにかなり改善されてゐるのだらう。一度「お漏らし」してゐたがもはや水状の液体少量で実被害なし。朝起きからは昨晩寝しなに飲んだ下剤水溶液の残りを400ml余り飲む。病院へ行くまで自動車運転中に急な腹瀉になつたらと心配もしたが腹痛もなく病院についても通常の軽い便意で鏡花ではないが瀧の白糸できれいなもの。代々木系の病院なのだが、ついにマイナ保険証のカードリーダー設置。積極的に使ふやうには思へないが来院者がマイナ保険証しかない場合に代々木系医療機関の方針にある「無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす」からして「マイナ保険証は受け付けません」はできないのだらう。職員がロシアのウクライナ侵略反対で“NO WAR”といふバッチをつけてゐるのも頼もしい。CTスキャンの機械に伏しての検査は10分ほどだつた。検査結果は数日後に。さすがに空腹感あり病院に近い「茨城タンメン」で少し早めの昼餉にありつく。店の前に自動車を泊めた老婦が店に入るなり「こゝはビール飲めんのけ?」と開口一番。店員も客も「飲酒運転するのか?」と驚いたが助手席に乗つた老夫が所謂アル中でビールがないところでの食事など無理なやうで老父は店に入るなり通りすがりの店員つかまえて「ビール、ビール出してくれっけ」と叫ぶ。“Ask, and it shall be given”である。ビールを美味さうに一口飲むと落ち着いたやうで幸せさうに微笑んでゐる。アタシもこのまゝ飲酒を続けてゐたら、あゝなるのかしら。昨晩は久しぶりに肝休日となつた。

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