富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

癸卯年十月廿一日

気温0.1/13.8度。晴。かなり久々に笠間へ。今年一月末に板谷波山生誕150周年の作品展を県立陶芸美術館で見て以来。水府から笠間まで山間を抜ければ紅葉も美しいところ今年はやはり何だか灼けたやうな枝葉の色づき。陋宅を自動車で発つときFMラヂオ(NHK)かけたらシューベルトピアノソナタ21番の2楽章始まつたところで(鋼琴はペナヘム=プレスラー)家人が「下手したら、この曲の終はる前に笠間に着くかも」と。山間の峠越えで水戸から笠間に入つたときもまだ2楽章であつたが幸はひ?に笠間市街に入る前でシューベルトの奏鳴曲は終はつてくれた。笠間日動美術館

藤田嗣治展。レオナール=フジタといへば乳白色の肌の色の裸婦像だとか、あの風貌の自画像とか印象が強いが今回の没後55周年展では〈ちんどん屋三人組〉や国策協調の〈勇敢なる神風特攻隊〉などの絵画や〈御遠足〉の挿絵など周辺の作品も多く興味深いところ。油絵具をこんなにも繊細に日本画のやうに扱へるだけでも惚れ/\改めて見入る。

県陶芸美術館。家人がぜひ見てみたいといつてゐた、こちらが本日まで。

テーマ展「江戸の粋、極上の縞 浅野榮一の江戸小紋」茨城県陶芸美術館

浅野榮一は茨城県美浦村の生まれで家は祖父の代からの染師。児玉博(1999~1992)の精緻な型紙を用ゐての江戸小紋の縞染。型紙は反物の幅一尺に対して長さ7寸ほど。それを繰り返して反物の長さ(3丈)に仕上げてゆくのだから。それも細かな縞の文様でズレが全くわからないほどの超絶技巧。本日は展覧の最終日で浅野榮一氏(77歳)ご本人が会場にゐらして仕業などを説明。50代後半くらゐは本当に次から次へと自分でも評価できる作品が作れてゐたが齢を重ねると今ではもう午前中仕事すると疲労困憊で作業に集中できず午後は1反ほどの畑を耕してゐるのださう。児玉博さんの型紙は最高峰で、これほどの作家は不世出。この型紙の再生もできず劣化があり榮一による染めも終わればアトがない。よつて反物の出来上がりがまだ待たれてゐるのださう。

企画展「皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展」茨城県陶芸美術館

陶芸美術館で榮一さんは第二展示室で企画展はこちら。

皇居三の丸尚蔵館では今は特別展示「令和の御代を迎えて」開催中。高松宮家の茶器多数展示あり。

午後は水戸芸術館よろず狂言を見る。同館では毎年、萬と万作の会とそれぞれ狂言あり萬の方は初見。能のときに顕教的な萬師の舞台がこのところ面白い。テケツ発売からだいぶ日を過ぎてゐたが脇正面1列目中央の席をゲット。万蔵さん体調不良休番の由。

「萬狂言水戸公演」出演者変更のお知らせ|水戸芸術館

なお、この変更によりチケット料金の払い戻しを希望される方は、開演前に、水戸芸術館チケットカウンターにチケットをお持ちください。

どうしても萬蔵さんの舞台を楽しみにして来たか、代役では納得できぬ!といふ客がはたしてどれだけゐるのか知らないが能では亀井忠雄先生逝去で広忠さん代替でも料金の払ひ戻しなどないが水戸芸術館小澤征爾休演がトラウマになつてゐるのかしら。これにより本日はオープニングトークは万之丞の代役。狂言は萬師が孫の万之丞、拳之介と他愛ない〈蚊相撲〉と万蔵に代はり万禄さん(母方の祖父が万蔵Ⅵで萬(万蔵Ⅶ)が叔父、当代万蔵とは従兄弟の間柄)の〈鈍太郎〉の二番。後者は万蔵(当代)による小書「萬乃古式」で、これは万之丞さんの説明では元々がエンディングなど男尊女卑的だつたものを現代の感覚で見直して云々……は実のところ本妻と妾に手車させて退場、を橋掛かりで手車から落とされ女房ら二人退場のあと「この世の中、女が強い」だか「手強い」と嘆いて終はり。「じつは女房の尻の下に敷かれてゐる」の戯け言こそ威張つて見せる男の甘えで、こんな甘えの許容で実は女は立派と思へる社会ならお気楽。だから近代革命も経ずに自民党政権でかうして安定して(何も解決もせぬまゝ)ゐられるのだが。

笠間で飲食店2棟が全焼 けが人などなし|NHK

いつも笠間の通称ギャラリーロードを通ると蕎麦の〈柊〉が開いてゐるか、混み具合は?と確かめ陶芸美術館のある笠間陶芸の森の駐車場に入る道路でいつも繁盛の〈そば切り一兵衛〉眺め「こゝは行列で入れないね」と通り過ぎるのだが今日その店舗が「あれ?ここだよね」で目に入らず、そこには無惨にも火災で全焼の焼け跡、そこで器とか陶器なのかしら焼け跡から収集して軽トラに片付けする方の姿。15日早晩の火災の由。

【チャンピオンズC】中京開催初!レモンポップの逃げ切りV 最高払戻金額も更新 : 日刊スポーツ

米国馬レモンドロップキッド産駒でゴドルフィン所有の◎レモンポップ(坂井瑠星騎手、1人気)は今年のフェブラリーステークスも制しており10月の南部杯で強さ見せてて仕上がりも良い。だが◯クラウンプライド(川田騎手、3人気)を推したい。◎が最外15枠から先行で走り切り◯は全く見せ場もなく11着。◎以外は大荒れで2着に12番人気のウィルソンデソーロ(原)が上り36.6秒で後尾から競り上げ3着のドゥラエレーデ(ムルザバエフ)は9番人気。ウィルソンの複勝1,820円、2-3着のワイド29,790円で3連複469千円、3連単1,90万円と払い戻し金額も過去最高とは。ウィルソンはキタサンブラック産駒。ドゥラエレーデとて2015年に皐月賞→ダービーのドゥラメンテ産駒であつた。それにしても酒井騎手まことにさわやかな風情である。

f:id:fookpaktsuen:20231205212509j:image (日刊スポーツ)