富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

宇都宮市電

癸卯年九月初九。重陽。気温摂氏7.7/22.8度。快晴。ホテルは素泊まり。朝食をコンビニで前晩に購入も味気ない。牛丼屋とかの朝定でもない。昨晩立ち寄ったバーのバーテンダーが教へてくれた朝から開けてゐるお店がこちら『今日、うどん』。爽やかな若いご亭主。朝7時開始で朝からお酒も出してゐて(今日は自動車運転なので飲めないが)夜の8時まで。

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このうどんそぼろめしの朝のセット1,000円でちょっとお高め?と思ふが、こちらはこども食堂もやつてゐて登校日の放課後、小学校高学年から中学生がこどもだけで立ち寄るとうどんを提供してゐて、その費用が大人の客の一杯のうどんから。こども食堂とかやつてゐる飲食施設は正直、お味は多少大目に見られさうだが、こちらはお味もしっかり。美味しくいたゞいた。それにしても怖いのは宇都宮の高校生の自転車暴走。登校時で急ぐのもわかるが歩道や狭い裏道を歩行者などまるで蹴散らかすやうに走る自転車の群れは恐怖そのもの。歩行者が道路の隅を歩いてゐるのに正面からこっちに突進してくるのだから「どけ!」である。命がけで数センチも逸れずに歩いたらユニオン通りで正面から来た女学生は直前でハッとしてアタシを少し回避して傍らを擦れ違はうとしたので思わず汚い言葉をつぶやくが聞いてもゐないだらう。それでも奴らの登校時間ラッシュの過ぎたあとのユニオン通りは心地よい。オリオン通りが煙いアーケード街になつたのにユニオン通りは明るい。飲食店やブティック、昔からの商店が並んでゐる。「何となく宇都宮の青山」と思つたらユニオン通りの商店街は「宇都宮の原宿」と名乗つてゐた。青山だと思ふのだけど。昭和27年に4つの商店会が統合されてユニオンなのださう。

宇都宮ライトレール株式会社 今日の乗り鉄はこちら。宇都宮駅(東口)から終点まで往復すれば良いのだけれど、そのあとは自動車なので宇都宮駅で駐車料金払ふのもなんだしホテルまで戻るのも面倒。地図で見ると5つ目の駅(宇大陽東キャンパス)の近くの郊外大型商業施設(ベルモール)に超級銭湯あり。ホテルに大浴場もないので朝風呂はこちら、と決めて自動車で出かけてみる。郊外のかういつた施設にしては珍しく駐車場は無料ではない(今年6月から)。明らかにLRT対策なのだらう。ここでPark&Rideをされたらたまったものぢゃない。その次の駅(平石)はP&Rできる専用駐車場あり。超級銭湯に一浴してからLRTに乗車。向かつて来たのは下りで終点(芳賀・高根沢工業団地)行き。それに乗車。

平岩を過ぎると車窓からの眺めも目に楽しく鬼怒川を渡り飛山城跡駅から丘を上ると星陵高校駅で当高校や作新学院のキャンパスなどある教育地区。そこから本田、キャノンといつた大規模工場のなかをLRTは進む。工場の敷地内外を工場の従業員が昼休みで散歩してゐる。芳賀町本田技研などの有力産業があるので宇都宮市とは合併しない。宇都宮に工業団地があることを初めて理解したのは小学生のときに「仮面ライダースナック」のラッキカードの送り先がカルビー宇都宮工場の存在。東京の本社ではなかつた。宇都宮から仮面ライダーカードのアルバムが届いた。


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このあたりは多摩丘陵のやうに山あり谷あり。その高低差をこの電車は進んでゆく。終点駅は本田技研の工場横でコンビニどころか飲料自販機すらないとは。坂東の輩は東京からでも大宮からでも市川からでも筑波山が見えると「お、筑波!」と心が躍る。宇都宮からでも同様。西には日光の連峰が雄大なのだが、それでも筑波山が美しく見える。

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終点から宇都宮駅東まで乗車(400円)。平日の昼間だが途中から混雑。市街地に入ると渋滞する道路の自動車走行よりLRTの方がずっと快適。宇都宮駅から下りで宇大陽東キャンパス駅まで戻る。8月の開業から今は地元客に加へてアタシのやうな物見遊山客も多く経営に必要な需要客数を上回つてゐるのださう。今日はもうミッションも終了。ふだんはやらないことだが「ドライブ」に。日光はコロナ禍でも2度訪れてゐるし宇都宮美術館は月曜休館、宇都宮動物園は家人と来た方が楽しい。一気に北上で塩原へ。50kmほどあるが東北自動車道で時間稼ぎ。このあたり何だかスピリチュアルで、それもちょっと亜流なのが興味深い。ピラミッド元氣温泉とか大麻博物館とか。なぜなのかしら。その少し北は那須御用邸もある。


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宇都宮に戻ると午後7時。ムッシュO氏のバーPの開店時間。口開けの客となる。「いらっしゃいませ」とご亭主におしぼりを通してぐっと握手される。マティーニを頼むと「夕食前で空きっ腹に」と笑はれる。それがいつも作法だから。二杯目はご亭主がそこまで強い酒でも良いのなら、と半ば賭けでピンクジンを勧められる。いきませう。そろ/\次のお客が来たら引き上げるのだけど今晩はアタシ一人でこの馳名のバーを独り占め。静かに飲むバーも好きだがO師は親しみあつて客との会話もお好きなやうで上野文具、筑波の眺めから栃木の干瓢のことまで。干瓢生産がどれだけ大変か、それで干すタイミングで天候次第でその年の収穫がダメになつたりとか子どもの頃からのことなのでお詳しい。喉も乾いて三杯目はハイボールデュワーズ)。バーを舞台にした版画が掛けられてゐて当然のやうに成田一徹と思つてゐたが眼鏡して見ると作風の違ひ。成田作もあるが一枚だけで、他のそれらはご亭主によるものださう。それでは手先も器用で上野文具に詳しいことも納得。話はまだ/\続き「もうこれで〆かしら」とギムレット。それにしても話が面白い。重たい扉が開いて次のお客が来られた。時計を見たら22時。まぁお酒がお好きですね、それじゃまたどうぞ、と送られる。本当に伝説的にすごいバーであつた。最後の一言が笑顔で「次は奥さまとぜひご一緒にどうぞ」。さすがに夕食抜きで空腹を覚えてユニオン通りで店内の若い親方と目のあつたもつの店(もつたじ)へ。もつ煮込みとハイボール。店内は賑やかな宴会一組。カウンターはアタシ一人でご亭主とそのご母堂もほんとうに優しく宇都宮の接客はとても印象良い。楽しい一晩となつてホテルに戻ると23時半。きちんとお酒を飲んで優等生である。


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さうさう昨日は菊花賞。横山武君騎乗の◎ソールオリエンスが1番人気。7番人気の▲サヴォーナ(池添)が絡むことに期待。結果4番人気の最外枠ドゥレッツァ(ルメール)がスタートから一度取り見事で2歳未勝利馬戦から5連勝で優勝。2着の○タスティエーラ(2番人気)に3.5馬身差とは。◎3着で○◎のワイドだけ的中とは悲しい。