癸卯年八月初一。気温摂氏23.6/31.9度。
POSTALCOのA4サイズのスナップパッドが欲しいと思って（ちょっと高いのだけど）さすがにかういふものは通販で即買ひは憚れる。
コレド室町３にあるCLASKAといふ店舗に扱ひあるとわかつたのでコレド室町３に寄らうと思つて銀座線を降りたら京橋のホームにゐるアタシ。室町は京橋ぢゃないだらう。昔は成田から夕方便で香港に還るときに箱崎！からリムジンバスに乗るのに室町砂場で日本に未練の最後の蕎麦を啜つてゐたが室町砂場は地下鉄なら三越前なのに。こんなことで間違へるとは情けない。銀座線で三越前に戻りコレド室町３の当該店舗に赴いたら文具はもう扱つてゐないといふ。POSTALCOの直営店が京橋（京橋エドグラン）にあるのでそちら紹介されるが須磨帆で見たら今日は休業で「金曜日が休み？」と思つたら今日まで数日間、店内模様替へで臨時休業。銀座伊東屋にも寄つてみたが結局はAmazonでキングジムのこちらを選んだ。
伊東屋といへば愛用の回転式日付けスタンプが「年」は未だ数年残してゐたが摩耗して「日」が押せなくなつてゐたので伊東屋なら香港の頃から愛用のShinyとか輸入品もあるかしら？と思つたら伊東屋はもう今は国産のシャチハタとかも含め回転式の日付けスタンプすら扱つてゐないとは。ちなみに香港で普及してゐたShinyは香港なので英国とかの普及品かと思つてゐたが（製造は中国とかで）それが実は台湾ブランド。
DATE STAMP｜Shiny Stamp® 日本総代理店 株式会社スタンテック
これもアマゾンに輸入品が1,000円ほどで出てゐた。伊東屋に来て須磨帆からAmazonに文具を注文とは。輸入文房具ってかつては夢のある世界で数寄屋橋のソニープラザとか日比谷のアメリカンファーマシーとか立ち寄るのがどれだけ楽しかつたか。そんなことを思ひながら銀座を歩く。鳩居堂。好みの焼香（法雲香）と線香（真如）書ひ求め箸の夏野で知己の所望で丸直（上越三条）のミントケースを入手。６丁目のレストランあずまでカツ載せハヤシライス。新宿。晴れてはゐるのだが何だか雲行き怪しい。傘は持つてゐるがゲリラ雷雨が来さうと思つたら午後２時くらゐにすごい雷雨。これで小雨になるのかと思ひきや夕方もう一度雷雨。足止めをくらふ。気象データで見ると東京の降水量10mmほどでウソだろ？と思つたら「東京」は皇居北の丸公園。新宿に近い観測データのある練馬で見たら40mm強の雨が降つてゐた。雨も歇んで空も少し晴れる。歌舞伎町の所謂「トー横」がどんなところなのか見学。まだ夕方だし大雨のあとで路上に「トー横キッズ」もおらずハッピーなオジサンたちが雨にズブ濡れで路上に座り込んで酒を飲んでゐる。Bergでホットドックとビールで腹ごなしして千駄ヶ谷。国立能楽堂。
もう歩行も能はぬ桜雪師は座椅子のまゝ切戸口から本舞台に運ばれる。源次郎師の小鼓で一調。まるで誦唱（シヤウジユ）。萬師の狂言（萩大名）は数年前、師の元気の良さが何だか見てゐるほうの精気すら吸ひ取られるやうな気がしてゐたものだが今ではすつかり（やっと？）アクが抜けて93歳の狂言役者の崇高なる世界。弟の万作師が狂言を高尚なる世界に導いてゐることに対して素直に、狂言の面白さを素直に何う見せるか、それを意図的に考へる世界のもはや彼岸、そこに面白さがふわっと浮遊してゐるやうな世界。能は友枝先生の〈白田村〉である。アタシは老いて境地に辿りつく前の友枝先生を知らないので変化がわからないのだが今は努めて友枝先生の年に数回の舞台を見るやうにしてゐる。二番目、修羅物なのだが戦乱の武力よりも田村麻呂に委ねられた祈願が全面に出て、これをいま演じるシテ方では友枝先生の他に誰がゐるのかしら、と考へさせられた。
ワキの森常好改メ宝生常三師の本当に謡ひの上手さ。声と声調がじつに見事。聴き惚れる。鼓の大小（國川純、曽根正博）も地味なやうで、これくらゐの囃子方の位置といふのもありなのかと思ふ。この国立能楽堂開場40周年では前回、６日に金春安明〈山姥〉で、（小書）波濤ノ舞のはずが杖を手に普通に立ち回りされてしまつたが本日の友枝先生がきちんと動きを伴ひ舞はれて安堵するといふ複雑な心境。能楽堂を出ると幸ひ雨も霧雨。常磐線に乗るのに千駄ヶ谷から東京、上野に出るのも億劫で総武線を代々木でさくっと山手線に乗り換へ品川へ。明日から三連休だからか午後９時の品川駅はとんでもない混雑。少なくとも阪神優勝の余波ではないことだけは確か。
