富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

« Les secrets de la calligraphie de Sugawara » et « Le suicide des amoureux à Sonezaki » au Théâtre National

癸卯年七月二十日。夜中から雨だつたが朝、出かける頃には傘も要らず。北関東は宇都宮では午後3時迄に1時間で110mmの記録的大雨。線状降水帯が発生で水戸も降水量は79.5mmにもなつたさう。

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ホテルの客室から外を眺めると目の前が三省堂書店神保町本店。建て替へのため取り壊しが済んだところ。この書店に中学生のとき初めて来たときはトーマスクック社が発行してゐた世界鉄道時刻表を入手するためだつたはず。この時刻表も2013年だかに廃刊。当時この時刻表を眺め世界空想旅行がどれだけ楽しかつたことか。

神保町から半蔵門線2駅で国立劇場。本日は朝10時45分から10時間余こちらに。第一部と第二部は菅原伝授手習鑑の全段通し上演の後半。第二部には寿式三番叟も入る。第三部は曽根崎心中

お昼のお弁当は国立劇場謹製の「スペシャルサンドヰツチ」で夜は第三部だけ見る家人が買つてきてくれた神田志乃多寿司の助六。〈菅原〉は四段目の「北嵯峨の段」と五段目(大内天変の段)の上演は昭和47年以来51年ぶりなのださう。「北嵯峨」は四段目(寺子屋)の序節としては大切。〈大内〉は大娯楽スペクタル。これを上演するコストなど考へると上演が省かれたのも納得。本日は豊竹の咲太夫、三味線の鶴澤清治、人形遣ひの和生、勘十郎と玉男と文楽の所謂「人間国宝」五人出揃ふところ(玉男の認定は七月)咲太夫は〈三番叟〉で翁の担当だつたが残念ながら体調不良で初日から千穐楽まで欠番決定は残念だつたが若手まで奮闘で文楽らしい楽しさ。〈菅原〉を通しで見たあと〈曾根崎〉だとあまりの大時代的な話から大阪の若い男女の心中といふ話に頭の転換が大変だつた。どちらも面白いのだが。本日の義太夫と三味線では「寺子屋」後半の呂勢太夫と清治が良く「大内」での寛太郎さんの若さゆゑ体力のある三味線も立派。〈曾根崎〉は玉男の徳兵衛と和生のお初で後者のお初のまぁ姿の綺麗なこと。それにしても〈菅原〉で松王丸が登場すると駕籠から登場で吉右衛門丈に見えてしまふ(哭)。

昔は芝居(といつても大劇場)が跳ねると劇場から有楽町経由の東京駅、四谷経由の新宿駅行きのバスがあつて、そのバス出発の電光掲示がまだ残つてゐるが今はそれもなく夜な/\地下鉄の永田町駅まで歩き有楽町でJR乗り換へ。常磐線の特急で泥酔客がトイレで倒れてゐて嘔吐もひどく同行者があたふたで柏駅で救援。車内アナウンスは「車内で病人が出たため」で柏駅での停車時間が少し長くなり当該の男子用トイレは「故障中」でご迷惑をおかけします。勝田終着後の清掃など本当に対応は大変なこと。