癸卯年七月十四日。気温摂氏25.4/32.8度。晴。家人とこの夏の青春18きっぷの最期の2回分使ひ乗り鉄の一日。今日のターゲットは八高線。水戸駅0735発の水戸線小山行。もう学校は二学期が始まつてゐるやうで高校生の通学時間。暑いのに。下館からは小山に向かふ乗客で車内は混雑し始めたが、また今日もセミクロス型の車両で1席対面のシートで向かひ席に荷物置いたまゝ「誰も坐るなよ」と念じてゐるバカな乗り鉄のオジサンゐて誰もが不愉快だつたが1人睨みの効きさうなオジサンが「スミマセンね」と荷物どかさせて対座したのはご立派。0907着の小山も十分に暑い。両毛線の0927発の高崎行きが入線してゐて幸はひ。高崎までロングシートで1時間53分。どうせなら赤城山から榛名山など山を眺めたいがロングシートだと進行方向左側の日向側に坐ることになり反対側に坐ると今度は山並みに背を向け殺風景といつては沿線の方に失礼だがあまり面白くもない。赤城山(1,828m)が筑波山(877m)よりも低く見えるのはいつものこと。足尾山脈から榛名山を望み、やつと「こちらの方に来た」気分となる。高崎に1120着。他人事ながら前橋から高崎に入るとき、この隣接の二大都市の関係がいつも気になる。
群馬県民なら知っている 仲悪い前橋と高崎 それでも大合併で政令市ありえる?(産経新聞)
高崎は猛暑覚。前橋で最高気温35.3度。高崎駅だとか大宮駅だとかいくつもの路線が集まるターミナル駅が好き。それにしても高崎発小田原行きなんて未だに慣れない。2/4番線の上りホームの先に八高線の3番ホームあり。
ホームの高崎駅名物の駅そば屋が閉まつてゐて「ついに廃業?」と思つたら冷房の故障で夏の間は当面休業と貼り紙あり。ホームのそば屋でも屋内で立ち食ひが多いなか高崎駅は未だに昭和レトロの「外食ひ」。猛暑の高崎でかけそばなんてホームで食べられたものぢゃない。上信電鉄の列車を眺める。上毛電鉄も乗りたいが両毛電鉄も未だ乗つてゐないし、このあたりは改めて来なければ。
八高線は高崎から高麗川(埼玉県日高市)までは非電化のまゝ。高麗川から八王子の区間が電化されたことで高崎から八王子の直通運転がない。
高崎~高麗川は1両か2両のディーゼル車運行で高崎を1156に発つこの列車は1両。そこ/\の乗客数。そこでお昼のお弁当を広げてゐるのもちょっと恥ずかしい。舞茸弁当なので舞茸がメインだからエビの天ぷらも舞茸の下に隠れてしまふ。
途中駅の児玉は塙保己一の出身地。その児玉の町に田島屋旅館あり。宿場町にある古風な旅館なのだが温泉で湯治でもない児玉のこの小綺麗ではあるが変哲もない旅館が三島由紀夫や中村光夫などが訪れてゐる。吉田健一の『酒に呑まれた頭』で、この児玉の町とこの旅館が親しみをもつて綴られてゐる。当時の原型を保つてゐたが数年前に廃業。乗客の多くが寄居と小川町で東武東上線に乗換へるのに下車。今更ながら東武東上線が東京と上野(カウズケ、上州)を結ぶから東上線なのだと気づいた。自慢ではないが東武東上線に池袋から数駅でも乗つたことがない。なにせ成増、和光市、朝霞とかに用事がない。本当は渋川まででも延ばせば本当の東上線になつたのだが。
高麗川に1325着。猛暑のなか駅前の郵便局まで出向てみるが郵便局に風景印はなかつた。児玉や寄居に比べ駅前も殺風景な高麗川。八高線の電化がこの高麗川駅までなのは高麗川駅が川越線の終点で八王子から電化となつた八高線の電車は川越線で川越までの直通運転のため。そこから先(高麗川~八王子)が非電化のまゝとなつた。そこで高麗川駅周辺はそこそこの宅地開発がなされたのだが電化により八王子経由で東京行きだつた直通運転列車も昨年春のダイヤ改正で廃止。中央線電車へのグリーン車両導入で10両から12両編成となることで五日市線と八高線への乗り入れがなくなることに。
今回この八高線を青春18きっぷでの乗り鉄一日周遊にしたのは一つは吉田健一が児島の田島屋旅館をお気に入りと書いていて八高線の旅が出てゐたこと。そしてもう一つは家人は東大和市に実家がかつてあつて駅でいふと西武新宿線の武蔵大和なのだけれど国立、立川から狭山あたりは生活圏で鉄道もずいぶんと利用してゐるのだけれど狭山に行くときも西武線で八王子は中央線で八王子から狭山に行く八高線はこのあたりで唯一乗つたことのない路線だつたこともある。八高線は高麗川から南は電化されてはゐるが単線のまゝで多摩の丘陵のなかを抜ける沿線の風景も愉しく乗つてみるには面白い路線だつた。箱根ヶ崎を過ぎると車窓に広がる光景は横田基地。基地滑走路を北から望む。次回は機会があれば上毛電鉄から上信電鉄、秩父鉄道、西武秩父線そして東武東上線にきちんと乗り鉄してみたいところ。
八王子から中央線特快で新宿。アタシは一昨日どこかに置き忘れた日傘は丸の内線の可能性もありアタシは東京メトロの忘れ物総合案内のある飯田橋駅へ。メガネや傘などネットでの物品詳細確認の難しいものは直接こちらで。飯田橋の地下鉄駅も構造が複雑だが遺失物の総合案内はJRの飯田橋駅からだと西口を出て牛込橋を渡り地下鉄構内に入るとすぐのところ。南北線の市ヶ谷方面の改札のすぐ上にある。職員は親切ですぐに遺失物を探してくれたが残念ながら日傘の該当はなし。もはやあきらめるしかない。新宿に戻り家人と合流してベルクでビールを飲む。少し早めに帰れさうなので東京駅から常磐線の1727発勝田行きに乗車。この後の列車になると退勤ラッシュでグリーン車も混雑する。ビール(サッポロ黒ラベル)をぐっと飲んでからまい泉のカツサンドと福井の日本酒(黒龍)。